勇者の曾孫の迷走録

たくみ

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23.エリザさん友達紹介してください①

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「ふう……」

 今日も無事に授業が終わり口から漏れる息。

「あら、アレン様お疲れですか?」

「おっと恥ずかしいところを見られたな。レナベル嬢」

 廊下でレナベル・アスキン伯爵令嬢が声をかけてくる。彼女はクラスは違うが婚約者のエリザと仲が良いのでまあまあよくおしゃべりする仲だ。

「ふふっ最近魔法の実践訓練が厳しくなってきましたものね。私も最近ため息が増えてきてしまって困っておりますの」

「ははっ」

 誤魔化すような笑いが口から出てくる。

 ごめんなさい、レナベル嬢。俺のは昨夜遅くまで本を読みすぎて授業中に寝なくて良かったという安堵の息です。

「アレン!」

「わっ!」

 急に大声で呼ばれ思わず悲鳴が……レナベル嬢にくすりと笑われた。恥ずかしい。

「どうかしたかい?」

「そんな呑気にしてる場合じゃないぞ!リカルドがエリザ様に公開告白してるらしいぞ!」

「は?」

「今!学園内のカフェで!」

「んなわけないだろう。リカルドが友人の婚約者に懸想したからって公開告白するやつだと思うのか?」

「いや、そんなやつだとは思ってないけど」

「それにエリザのこと好きだったらあんなにも奇怪な行動しないだろう?」

 マザコン発言までして彼女作ろうとか。

「そうだけど。…………リカルドちょっと変わっじゃなくて面白いところがあるから」

「…………………………」

 それは否定しない。

「二人共失礼よ」

 レナベル嬢の言葉に止まっていた時間が動き出す。

「一回行ってみるよ。情報サンキュー。レナベル嬢それでは」

 レナベル嬢がフワリと軽く微笑み頷くのを確認してから歩き出す。すると後ろから聞こえてくるは先程の彼の声。

「アレン!気をしっかりもてよ!」

 …………いや別に気落ちしていないが。



 カフェに向かう俺に何人かから声がかけられる。

ーーーーーリカルド様がエリザに跪いていたわよ。

ーーーーーリカルドがエリザ嬢に詰め寄ってるって。

ーーーーーリカルドがエリザ嬢に頭下げてたって。

ーーーーーリカルド様が嫌がるエリザさんに迫ってるって。

 うん?告白は信じていないがどうやらリカルドがエリザに向かって何かをしているのは事実のようだ。

 カフェにつくと取り囲まれてはいないが明らかに視線を集める場所があった。というか美男美女の組み合わせ、普通に目立つ。しかも、美男が美女に向かって膝をついて目をうるませて両手を自分の胸の前でスリスリしながら拝み倒していては嫌でも目立つ。

 何やらお願い事をしているようだ。

 それもとてつもなく必死になって。

 あまり近づきたくないかも。エリザは賢い。リカルドとも親しい。これはエリザに任せても良いのでは?

 あっ、エリザと目が合った。

 如実に語るヘルプと浮かんだ目。婚約者に助けを求められて助けないやつは男ではない。気は進まないが二人に近づく。

「リカルドなにやってるんだ?」

「あっ、アレン」

「すごい目立ってるぞ。一回ちゃんと座って話そう」

 彼はキョロキョロと周囲を見回す。さっと逸らされる視線。

「本当だな。すまない」

 彼は座ると気を利かせたウェイターが持ってきてくれた水をがぶ飲みする。少し落ち着いたようだ。


「で、お前は一体何をお願いしていたんだ?」

「よくわかったな。お願いしていることに」

 あれだけ必死な目をして頼む!って感じで頭を下げていれば察するだろう。

「俺達、友達だろう?」

「アレン」

 二人で友情感満載で見つめ合う。

「で?」

「ああ。エリザに女の子の友達を紹介してくれないか頼んていたんだ」

 ほう、そうか。あんなに必死になる必要があるかとか一瞬思ったが、こいつの運命の人を求める熱意は知っているから納得した。

「それで私は嫌だって言っているのよ」

 素っ気なく言うのはエリザだ。

「そこをなんとか」

「嫌よ。そもそも婚約者や恋人がいる子ばっかりだし」

「もちろん、お相手がいる子は駄目だぞ」

「わかってるわよ!真顔で言わないで頂戴!私が非常識な人みたいじゃない!」

「お、おお。すまない」

 しゅんとしてしまうリカルドに代わり少し口を挟むことにした。

「エリザ、うまくいかなくても良いから誰か紹介するのは無理そうなのかい?」

「いや、うまくいきそうな子がいいんだが「黙っててくれ」」

 バッと口元を覆うリカルド。素直で宜しい。

「あら、アレンあなたまで……。紹介って簡単に言うけどうまくいかなかったときやリカルドが何かやらかしたら紹介した女の子と私が気まずくなるじゃない」

 それはそうだが。やはり運命の人との出会いを夢見ている彼の友として力になってやりたい。

「エリザの気持ちもわかるけど、リカルドがいいやつだってことは知ってるだろう?友達を傷つけることはないはずだよ?…………………………奇想天外な行動をすることはあるかもしれないが……」

「リカルドがいい人だってことは私もわかっているわ。…………………………その奇想天外な行動が怖いんでしょ……」

 お互い最後のボソリと言ったことが本音だ。

 エリザはチラリとリカルドの懇願するウルウル目を見るとはあーーーーっと息を吐く。

「前向きに考えてみるわ」

「ありがとうエリザ!」

 ガタンッと立ち上がるとエリザを抱きしめようとする。

「「!?」」

 おいおいそれは……思わず俺はエリザに向かって手を伸ばす。エリザは驚いて硬直している。

「おっと、すまない。エリザ、君は女性だったな」

「は?」

 リカルドの何気ない一言にエリザは低音ボイスを発した。何やら怒りのオーラを纏っているような……。

「エリ「私が女性らしくないってこと?男に見えるってこと?」」

「いや、君は誰が見たって女性だよ」

「は?誰がまな板ボディだって」

「「いや、誰もそんなことは言っていない」」

 慌てて否定するリカルドの言葉をエリザはスルーする。

「は?どこ見て男だっつった?ここでしょ?ねえここなんでしょ?」

 エリザ、花も恥らう17歳。リカルドは彼女のコンプレックスを刺激してしまったようだ。

「そんなこと言ってないよ!」

「エリザ落ち着いて!」

 だから自分の親指で胸元をとんとんするのをやめるんだ。周囲の者に胸元を見られ……いや、皆視線を逸らしていた。

「もう一回言ってみなさいよ……どこ見て男だって?」

「だからそんなこと言ってないって言ってるだろ~~~!」

 リカルドの悲痛な叫びがカフェに響いた。





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