未来の悪役令嬢

えりんこ

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第2章 怒涛の学園生活の始まりですわ

孤独なクイーンはアルバトロスの夢を見る

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「誰が誰に口付けをしたですって?」
わたくし、アンジェリーナは突如発生した大型で強い台風に見舞われております。

「貴女ねルイーズさんと仰いましたっけ?私の婚約者様の周りをウロチョロウロチョロといい加減目障りでございますわ。殿下やアルフレッド様にも色目を使って身の程を知りなさい!高が男爵令嬢如きで不愉快よ。
御分かりになります?アンジェリーナ様にまで楯突いているようですわね 失礼すぎますわ」

(うわー言っている事は概ね間違ってはいないですけど言い方がございますわね。
後、私の名前出すのは勘弁して下さいな) アンジェリーナは軽く眩暈がした。

「煩いな」ルイーズが口を開いた 
「煩いですって?貴女私を誰だと思ってらっしゃるの?」
アリアーヌが奇麗な顔を歪ませる 高等部の人間はアリアーヌがどんな令嬢かを知っている 我儘で傲慢、何時でも女王様で無いと気が済まないそんな令嬢だった

「申し訳ございません アリアーヌ様」姉のミラベルが咄嗟に頭を下げた。これで誰かに頭を下げるのは何度目だろう?  ミラベルは高がと言われたが自分の家の家名を守るのに精一杯だった。

「お義姉さま~止してくださいよ頭なんか下げなくても平気ですよ」
(こ、このルイーズは私がやっている事をどうして理解しようとしてくださらないの?皆、あなたの所為なのに)情けない気持ちで一杯だった。

「ああ、ミラベルさん 貴女の妹は随分とお尻も頭も軽いのね?流石、下位の者は違うのね お下品ですわね」
アリアーヌが軽蔑した様に嘲笑わらう 
「何、言ってるの?馬鹿みたい」ルイーズが物怖じもせず言い返す。
火に油を注ぐ様な行為だがルイーズはお構い無しに言う

「自分の魅力の無さを棚上げにして当たらないでよ!クレール様は貴女といると疲れるって仰ったわ。自然体の私が良いと言ったのよ 可愛いって言ってくれたわ」

クレール・・・・貴方って人は何処まで女好きなの?件の伯爵令嬢だってどっちが悪いのか解りませんですわ
アリアーヌ・クラルティ侯爵令嬢は典型的な悪役令嬢みたいで好きに慣れませんが婚約者がクレール様ですので
少しだけ同情いたしますわ。私の婚約者がそんなんじゃなくて良かった。アルフレッド様で本当に良かったですわ

「アンジェ?何考えてる?」アルフレッドが此方を覗き込む 
「アル様で良かったと思っていましたわ 私の婚約者が・・・」頬を赤らめたアンジェは兎に角、可愛らしかった。周りは可愛いとアンジェリーナの事を言わない
何故だろう?美しいだけじゃなくこんなにも可愛いのに。と修羅場の中で傍観者の婚約者同士は浮いていた

「アンジェ・・・・」こんなくだらない事に時間を割いていたくない アンジェと二人になりたい
切実にアルフレッドは思った。この中で一番上位の立場は僕だろう・・・
仕方が無い自分が治めるしかないだろうな と溜息をついた。 
「私達の話は終わった クレール絡みの話は本人が居る所でやってはくれないか?今日は解散した方が良いと思うよ クラルティ嬢宜しいですね?」
アリアーヌはまだまだ言い足りない事が沢山あったようだが自分より上の公爵家、それも筆頭公爵で大貴族のアルフレッドに逆らうと言う選択は毛頭ない
それと同等のアンジェリーナもいる 渋々引き下がった。

止せばいいのにルイーズは引き下がらない 
「もういい加減クレール先輩を解放してあげて 真実の愛を見つけたんだから」 何処まで行ってもお花畑なルイーズは止まらない。
「なっ、いい加減になさって!何が真実の愛よ 私の愛が偽者だって言うのかしら?」

こっちがいい加減になさってだわ いい加減アンジェリーナも限界だった
「私共はクレール先輩が何方と真実の愛を誓おうと知った事ではございませんわ。でもこれ以上巻き込まないで下さいますか?貴方達に付き合うほど暇じゃございませんわ それでは御機嫌よう」
キッパリ言い切った アンジェリーナはアルフレッドの手を取りその場を後にした。

「ルイーズさん 私に色々言ってくださいましたわね。どんな妨害にも負けない真実の愛とやらを見せていただきますわ 御免あそばせ」 嵐その物の令嬢はルイーズを睨みつけると取り巻きを連れて去っていった

残されたのはボートリエ男爵家の三兄妹だった。
「ルイーズ、どうしてくれるの?私達の学園生活も真っ暗じゃない 下手をすれば学園にいられなくなるわ」
ミラベルはこの先の事を考えると絶望しかなかった。「俺だって如何していいかわから無いよ。アルフレッド様に警告されているんだ あんな大物に睨まれたらボートリエ家もお仕舞いだよ」力無げにオーラスも言った

「お義姉様もお義兄様も何心配しちゃってるんですか?大丈夫ですよ。あんな悪役令嬢なんてどうせ断罪されるだけなんですから。しかしアリアーヌって女本当にムカつきますね。ドリルの癖に生意気だわ」 バシッ!!
ルイーズが言い終わるか終わらないうちにミラベルが頬を叩いた 
「アリアーヌ様は本気で貴方を学園から追い出しに掛かるわよ?」
「な、なにするのよー」
「学園を追い出されるだけじゃ済まないかもしれないわ」

「こんな子にもう関わっていられないわ お父様に連絡をしてどうするのか決めなきゃ 行きましょうオーラス」
オーラスはそれでも妹を見捨てられないのか躊躇していたが家と天秤にかけて家名の方が重くなった

ルイーズは初めて叩かれた痛みとせっかくのアイテムがあまり機能しないことに苛立ちを感じた
(私がヒロインなのに 如何してこうも上手く行かないの?でもクレール先輩は私の事が好きなはずよ
先輩の家は侯爵家だからまあまあか。クレールにするしかないのかしら?)

余りにも能天気なルイーズは気がつかなかった 本当の悪役令嬢の怖さを
彼女はゲームの上での悪役令嬢の嫌がらせを信じていた。 勿論、そんな生易しいものじゃない事を知らなすぎた
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