未来の悪役令嬢

えりんこ

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第3章 嵐の中で令嬢たちは優雅に微笑む

若きイデオンの憂鬱

私はイデオン=ブリリオート 数学の教師をやって5年目になる
昔から困った生徒は一定数いるものだが 今年はどう言う訳か酷すぎる
まず、B組の新入生のルイーズ=ボートリエ 彼女みたいな生徒は初めてだ 
(悪い意味で)
この学園は貴族も平民も平等をうたってはいるが やはり秩序と言うものがある 規律もある

自由とはやりたい事だけをやるんじゃない。そう注意しても彼女は右から左に流すだけなのだ
私がまだ歳若い教師だからか?と思い他のベテランの先生方に聞いてみた所私の対応と変わらないそうだ
彼女は入学してまもなく第二王子殿下のサミュエル様に付き纏い
高等部の生徒自治会副会長のアルフレッドに媚を売り 同じく自治会会長のクレールに纏わり着いて 
婚約者でもあるアリアーヌ=クラルティの怒りを買ったようだ。 
もう胃が痛くて仕方が無い 胃薬が手放せなくなっている。

それでも私は担任では無いのでまだマシな方だろう・・・B組の担任教師は少し神経をやられてきている
もしかしたら 休職するかもしれないと 昨日の会議で話が出たばかりなのだ。
高等部の生徒はクラルティ嬢に目を付けられたくないばかりに虐めはしないが現場を見ても見ない振りをする生徒達が大半だ。 
この国の未来を担う若者達ばかりなのにと少し残念に思うが皆、我が身が可愛いのだろう

なにせ さっきの通り皆、見てみぬ振りだから教師の出る幕が無い
ボートリエ嬢の証言しか出てこないのだ
それに こんな事を言うのは教師としてあるまじき事だがボートリエ嬢は此方がどんなに尽力を尽くしても
厚顔無恥な態度しか取らないのだ。

中等部でも彼女は浮きまくっていて取り巻きの連中しか相手をしていない
Bクラスの代表委員でもあるフィール・ギャルドン嬢が嫌々ながら世話を焼いているが焼け石に水状態だ
オマケに学園の真の女王でもあるアンジェリーナ=ラ=トゥール=エトワール嬢にまで喧嘩を仕掛けるなんて
正気の沙汰ではない 彼女はクラルティ嬢とは違い虐め等しない それだけでもどれだけ助かるか知れない

しかし大陸でも名門と言われるマルグレーデス学園でこの醜聞 どう決着付けるかだな
私は貴族、平民に限らずどの生徒も一様に可愛い 最悪はボートリエ嬢の放校処分だって考えられる
虐められている方が放校処分って言うのも可笑しな話だが 
最初の発端がボートリエ嬢なのだ。 
特に今回は王族が絡んでいるのが面倒臭い 関わっているのが皆、上級貴族なのが痛すぎる

二年前の虐め事件の時も我々教師陣の出番は無かった 
生徒自治会が仕切り何事にも生徒の自主性を重んじるのだから此方としても手の打ち様が無かった。
言い訳でしかないな
そう言えばあの時の加害者と噂されたのもクラルティ嬢だった。
今回の事件よりももっと陰湿だった様だ。
何せ生徒自治会が知らぬ間に行われていたらしい 
被害者とされる伯爵令嬢も何も言わず学園を退学し領地に引きこもったままらしい。
この学園を途中で止めると言う事は貴族社会から抹殺されるのにも等しいはずだ

その時 丁度アンジェリーナが課題を持ってマリエッタと一緒に教務室にやってきた
「イデオン先生 昨日出されました課題ですわ 今回のは少してこずりましたわ」と美しい笑顔で笑う
イデオンはこの件についてアンジェリーナに聞いてみる事にした。
マリエッタも傍にいるが関係者だから構わないだろう。 
「なあ、ルイーズ=ボートリエの事だが・・・お前達は何か知っているのか?」・・・と

アンジェリーナとマリエッタは顔を見合わせた アイコンタクトを取っている様にも見える
「先生、その件ですが本日生徒自治会室で当事者同士の話し合いをする予定ですわ」
「それなら、私も立ち会った方がいいか?それとも高等部の教師を呼ぶか?」其の問いに
「いいえ あくまでも生徒同士の話し合いにしたいですわ。学園側が出てきますと重い処分になるかもしれません
ですから 余り大事にはしたくないのです。どうなるかは放課後にならないと何とも言えませんわ
もしも私共では纏まらなければ先生方のお力をお借りしたく思います。その時はどうぞ宜しくお願いします」

アンジェリーナはキッパリと顔を上げて言った

そこまで言われたとしたら此方も見守るしかなさそうだ 
「教務室に待機しておく 結果を報告するように」

自分に出来る事は放課後の話し合いが上手くいく事を祈るしかなさそうだ
つくづく自分の力の無さを痛感した (私は本当にまだまだ だな)


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