未来の悪役令嬢

えりんこ

文字の大きさ
70 / 70
第6章 少年は荒野を行くじゃあ少女達は?

邪な想いの中で悲しいほどお天気

ある晴れた日の昼下がり

「ドロシア!いい加減、その不貞腐れた態度はいい加減にしなさい!」
父親のランバード候が小声で囁く 当たり前だ 私はお見合いなんてしたくも無い
唯のお見合いでもしたくは無いのにこれが正式な顔合わせだなんて・・・
(心に決めたあのアルフレッドあの方がいるのに婚約だなんて!!)

ドロシア=ランバードは婚約者候補であるジェラルド=アロン伯爵邸に無理やり連れられてきた
由緒だけのランバード侯爵家とは違い成り上がりでお金だけはあるアロン邸にはこれ見よがしにゴテゴテとしてお金だけは掛かっているだろう装飾品が飾られていた。
(何て悪趣味・・・これだから成り上がり者は嫌なのよ)
どれもこれも癪に障ることばかり不機嫌な顔をするなと言う方が間違っているのだ

何で私はこんな所にいるのだろう? 何故アルフレッドは私を助けに来て下さらないのだろう?
それもこれも皆、あの死ぬほど憎いアンジェリーナのせいだわ!あの小娘が憎い
その時部屋のドアが開きこの家の主達がやってきた。

「すみません ランバード候。お嬢様と一緒におよび立てしまして」
恰幅の良い老人の前伯爵と銀髪、黒目の男が入ってきた この男が嫡男のジェラルドだろう
歳は30で眼つきは鋭く癪に障る
(やだ・・・何この男の態度何て不躾な 嫌な感じだわ)

「いやあ申し訳ない これの父で現当主のアロン伯は領地に行っておりましてな祖父である私が取り仕切る事になっております 宜しいですかな?」
平民から成り上がり伯爵まで上り詰めたと噂される老人 得体が知れない何かを醸し出していた

ドロシアの不安を他所に父親は前伯爵と話が弾んでいるようだった

「私共といたしましては又と無いご縁だと思っておりますよ」
「それは此方もですよ 由緒有るランバード家と縁者になれるなんて僥倖ですなあ とても若く美しいご令嬢で孫息子も喜んでおります。なあジェラルド?」
でっぷりとした御腹を撫でながらアロン伯爵が孫息子のジェラルドに話しかけた

ジェラルドは一瞥した後、大して面白くもなさそうに
「ええ、そうですね とてもお美しいお嬢さんだ」と言った

「ドロシア ご挨拶をなさい お前の婚約者のジェラルド=アロン殿だ」
少し気まずい雰囲気の中でランバード候が口を開いた
「初めまして ドロシア=ランバードと申します」とだけ口にした
「ああ、ジェラルド=アロンだ 宜しく」
気まずい静寂だけが部屋を包んでいる それを打ち破ったのはアロン元伯だった

「ジェラルド 庭でも案内して差し上げなさい ドロシア嬢のも気に入って貰えるだろう」
二人は促されるまま庭園にやってきた

相変わらず言葉は無い それを打ち破ったのはジェラルドの方だった

「俺は結婚相手など誰でも良いと思っている。じじいが欲しいのは家柄がある女だからな」
「っ、随分と失礼な事を仰いますのね アロン様。私はこの結婚には最初から乗り気ではないのです
だから どうか破談になさってくれてもかまいませんわ」
ジェラルドはドロシアの方を見もせず会話を続けた

「俺の所は隠居したじじい・・・祖父がまだ実権を握っているのさ由緒有るお貴族様が馬鹿にする成り上がり者だよ。じじいは親父の結婚相手に名門のお嬢様を宛がいたかったみたいだけど結局嫁に来たのは子爵家の娘だった
俺で再度のリベンジって訳だ 丁度都合の良いことに名前だけは名門のランバード家が嫁入り先を探していたって事だな 需要と供給がマッチしたわけだ。まっ、しょうがねーな」

ドロシアは目の前が暗くなるのを感じた。嫌だ 嫌だ 私にはアルフレッド様が・・・・

「私には心に決めた方がいるのです。あの方以外なんていやですわ!!」
此処最近で一番声を出したであろう 最後は涙声になっていた
少し呆れ顔でジェラルドが問う

「モントローズ家のアルフレッド殿の事だろう?調べてあるさ 未来の嫁の身上書は。別に君とは何もないじゃないか?一方的に思いを寄せているだけで当のご本人は愛しの婚約者殿と仲睦まじくやってるらしいぜ?
君が学園を卒業したらどの道、婚姻だ 醜聞を避けてくれさえすればどうでもいいぜ。まっ、表面上だけでも上手く立ち回ってくれよ。 どうせ跡継ぎを一人でも作ったらお役目御免だ それまでは我慢してくれよ」

この男は何を言っているんだろう?アルフレッドは婚約者と仲睦まじくやっている?
噓よ そんなの噓よ! ああ可哀想にあのアンジェリーナに言わされているんだわ
私も可哀想 まるで悲劇のヒロインね 愛し合っている二人を引き離そうだなんて
アルフレッドも可哀想 家の繋がりで小さい頃から婚約させられて 仕方なく 愛してもいないのに
私を愛している先だっての夜会でも私を見詰めて微笑み返してくれたもの
学園ではアンジェリーナが傍で見張っているから仕方無しに彼女の傍にいるだけよ
そうよ件の男爵令嬢が何時も騒いでいたじゃない『悪役令嬢』だって・・・・

こうなったらもう手段は選んでいられないわ 悪役令嬢の魔の手から王子様を救って差し上げなくては
彼を守れるのは私しかいないのだから 待っていてね アルフレッド
真実の愛は私だけ 邪魔者は排除するだけだから


父親と合流し帰宅した後もドロシアには何の言葉も届かなかった
彼女の表面は何も変わらない 変わったのは心
有るのはアルフレッドへ向けての一方的過ぎる愛とアンジェリーナに向けた増悪だけだった

感想 34

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(34件)

えみあい
2019.10.23 えみあい

なろうの方の更新を有難うございました。既に読んだところでももう一度初めから読み返してしまうほどこの小説が好きです。リアルがお忙しいことと思いますが、新しいお話も更新をお待ちしています。

2019.10.23 えりんこ

えみあい様

この小説が好きと言って貰えて本当に嬉しいです。
こうして感想等を頂くのが物凄い励みです。頑張って更新しますのでこれからも宜しくお願いします

解除
リリーフ
2019.07.21 リリーフ

もう続きは書かないのですか?出来たら書いて欲しいです。

2019.07.21 えりんこ

すっかり更新が止まってしまい申し訳ございません。私事ですが身内に不幸があり
本日、49日の法要を済ましてきました。
書いて保存してあるものをもう少ししたら
upする予定です。エタらないように頑張ります。

解除
えみあい
2019.03.10 えみあい

こんにちは 本当にこの小説が好きでオフラインでも読めるようにスマホで保存したいのですが、アルファポリスさんのこのサイトでは読みやすいように保存するのが難しくて苦労しております。もし少しでもお暇な時があって、そちらにも載せてもいいとお思いになりましたら、ムーンライトノベルズにも載せて下さったら保存がしやすくて嬉しいです。ご検討お願い致します。

2019.03.11 えりんこ

えみあい様
こんな拙い文章を好きと言って下さってありがとうございます(。´Д⊂)
今、大事な家族が手術、入院中で続きが投稿出来なくて申し訳無いです。
ムーンに投稿も考えておりますので
しばしお待ち下さい。

解除

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。 それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。 ――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。 田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。

【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます

鳴宮野々花
恋愛
 一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────  私、この子と生きていきますっ!!  シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。  幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。  時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。  やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。  それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。  けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────  生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。 ※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~

サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――

片思いの貴方に何度も告白したけど断られ続けてきた

アリス
恋愛
幼馴染で学生の頃から、ずっと好きだった人。 高校生くらいから何十回も告白した。 全て「好きなの」 「ごめん、断る」 その繰り返しだった。 だけど彼は優しいから、時々、ご飯を食べに行ったり、デートはしてくれる。 紛らわしいと思う。 彼に好きな人がいるわけではない。 まだそれなら諦めがつく。 彼はカイル=クレシア23歳 イケメンでモテる。 私はアリア=ナターシャ20歳 普通で人には可愛い方だと言われた。 そんなある日 私が20歳になった時だった。 両親が見合い話を持ってきた。 最後の告白をしようと思った。 ダメなら見合いをすると言った。 その見合い相手に溺愛される。

病弱設定されているようです

との
恋愛
『あのようにご立派な家門にお産まれになられたのに⋯⋯お可哀想なご令嬢だそうですのよ』 なんて噂が流れているけれど、誰も会ったことがないミリー・ミッドランド侯爵令嬢。 ネグレクトなんて言葉はない時代に生まれ落ちて、前世の記憶を取り戻したら⋯⋯。 前世の記憶と共に無双します! 再開しました。完結まで続投です。 ーーーーーー 恋愛小説大賞27位、ありがとうございました(感謝) ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定。 完結確定、R15は念の為・・

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

王太子に「戦友としか思えない」と言われたので、婚約を解消しました

明衣令央
恋愛
婚約者である王太子ヘンリーから「君のことは戦友としか思えない」と告げられた、公爵令嬢アリスティア。 十年以上の王妃教育を積んできた彼女は、静かに婚約解消を受け入れる。 一年後、幸せな結婚を迎えた彼女にとって、ヘンリーのその後は――もうどうでもいいことだった。