白と忘却

臓物さん

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第一章

入学1

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   説明会を終え、『反忘却機関』へ入ることが決まった。
   これから、特別国民区へ引っ越すのだ。
   一度家に帰って引っ越しの準備などをする時間があるのかと思ったがどうやらここから直行で『特別国民学生寮』へ行かなければならないらしい。僕たちは『特別国民学生』だから『特国生』。ここにきて初めて知った。略称だったのか。
 「『特別国民学生寮』へ案内する。付いてこい。」
オレンジ色のマスクの人が先頭に立ち、部屋から出ていく。僕も立ち上がり、そのあとに続いた。
「僕たち、これからどうなるんだろうねえ。」
隣の少年がまた声をかけてくる。少し不安そうに声音を歪めている。
「『特国生』に上がれば、情報権限だって大きくなるし、いろいろ調べられるようになるよ。これからのことはこれから調べればいいよ。」
人を安心させるのは得意ではないが、僕なりの精一杯を尽くしてみた。彼が安心したかはわからないが、にっこり笑ってそうだねえ、と頷いてくれた。
    説明会をした部屋を出て暫く経った。人混みで周りの状況がよく分からない。少し不安になった時、一枚のドアを抜け、パッと周りが開けた。
    目の前には、巨大なドーム状の建物が立っている。こんなに大きな建物は見たことがない。驚きと少しの恐怖を感じながら、建物を見上げていると水色のマスクの人がメガホンを持ってみんなの前に立った。
「ここがこれから暮らす事になる『特別国民学生寮』です!ここで暮らすにあたりマスク及び制服の貸与を行います!一人づつ部屋に入り、好きな色のマスクを選んでください!おなじいろの制服をお渡しします!尚、これより貴方たちの名前はマスクの色の名前になりますのでよく考えて選んでください!選び直しは出来ませんからね!では、正面の人からお願いします!」
女の子らしい甲高い声で叫びあげると、てきぱきと『特国生』を案内し始めた。
「すごいねえ。身に付けるものの色を選べるんだあ。やっぱり特国生は違うなあ。」
ねえ、と同意を求められて頷くと少年は満足そうな目で僕を見ると少し興奮して話始めた。
「ねえ、君は何色のマスクにする?僕はねえ、緑色が好きなんだ。草花の色だよ。教えておくから、この先でも僕を見つけてよ。学生区でも仲良くしよう。」
興奮すると語尾は伸びなくなるらしい。僕が必ず見つけてやる、と約束すると楽しそうに笑って見せた。
「次、あなたですよ!部屋にどうぞ!選び終わったらマスクをつけてまっすぐ進んでくださいね!」
行ってくるね、と手を振って彼は建物に入っていった。次は僕の番だ。なんだか緊張してしまう。色、か。特に好きな色はないし、こだわりもない。突然選べと言われても困ってしまう。
「次の方!お入りください!」
彼が入ってから数十秒で呼ばれてしまった。最初から色を決めていただけあって早いな。
僕は戸惑いつつも建物のドアを開けた。
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