上 下
69 / 72

スタンリーバンド(※ビリーバンドみたいなやつです)

しおりを挟む
 ずるくない?

 こっちはコチコチに固くなった乳首を触ることもできないのに、自分だけ何やってるのよ。

 拘束され、あられもない格好にされたことが、よけい下腹部を刺激した。ますます体が熱くなってきて、あちこち疼いてくる。

 紐が──スタンリーバンドが全身に食い込んで、気持ちいい。

 たらたらと内腿を蜜が滑り落ちていくのが、見えなくても分かる。

 そしてスタンリー様には見えていることが恥辱と──不思議なことに快感も煽った。

 私のあそこ、細く赤いスタンリーバンドに肉の花弁を広げられている。しかも大きく開脚させられているのだもの。

 私の息が、さらに荒くなった。

 これだとその中が空っぽなのを、やけに意識させられる。

 埋めて欲しい。

 あの時みたいに、指を入れてほしいのに。じっと観察しているだけで、何もしてくれないなんて。

 スタンリー様は私から目を逸らさずに、見せつけるように赤黒い辺境伯をしごきだした。

 それを見たら、指どころかそれが欲しくて仕方なくなった。

 あれは痛いモノなのに、どうして?

 スタンリー様の辺境伯、触ったり舐めたりしたから慣れたのかしら。

 それとも、これが雌の本能なの?

 物欲しげに見ていることに気づいたのだろう、スタンリー様は美しい形の唇を歪めた。まるで私がどう思っているか分かったみたいじゃない。

 むぅ。どうしてこの人はいつもこう意地悪なの?

「きらいっ」

 ほろっと涙がこぼれる。私は頭を枕に降ろし、涙を見られないようにした。

「自分ばっかり気持ち良くなって、私だけ苦しくして、これじゃあ拷問じゃないっ!」

 スタンリー様がしごく手を止める気配がした。

「視姦っていうのよ、あと放置プレイ。エロイーズが教えてくれたもん。私こんなの嫌っ。早く、どうにかしてよぉ」

 涙ながらに文句を言うと、スタンリー様が立ち上がる音がした。

 彼が近づいてくる気配に、心臓が早鐘を打つ。もっと近くに来て。

 上から覗き込んでくる深紅の瞳が、私の泣き濡れた頬を捉え、見開かれる。

「苦しい?」
「当たり前でしょ!」

 マットレスに手を置き、身を乗り出すスタンリー様。ギシッとベッドがきしんだ。

 それだけで、私は頬を染めた。恥も外聞もなく懇願していた。

「ねぇ、キスして」

 きゅっ、とスタンリー様の眉間に皺が寄る。

 なによケチ! いいじゃない、キスくらい!

 ところが、この口が、さらにとんでもないことを要求してしまった。

「おっぱい……揉んでよぉ」

 ハラハラ涙が零れる。恥ずかしくて。

「あそこも……触ってよぉ」

 なんてこと、言わせるのよ!

 ついにはひんひん咽び泣いてしまう私。じっと視線を注いでいたスタンリー様の目が、すっと細められた。

「一回達した方がいいのかもな。抜けるのを待つのは、時間がかかる」

 スタンリー様は躊躇った後、片手を伸ばす。ふわっと乳房を優しく包み込んでくれた、固い皮の手の平。ああっ、これが。こうしてほしかったの!

 いい、気持ちいい。

 私はうっとり目をつぶった。もっといっぱい触って、スタンリー様!

 縛られてさらに大きく膨らんだ乳房を揺する。

 スタンリー様の赤い瞳が光った。

「それに、俺も苦しいしな」
「ほんとう? ……あんっ」

 やわやわと揉みしだかれ、私は目をつぶってその刺激を堪能した。

「あんぅ」

 乳輪をなぞっていた彼の長い指が、硬くなった尖端を撫でる。私は喉を鳴らした。気持ちいい。

 こりこり、こりこり、初夜の時より優しく、でもしつこく、スタンリー様は私の尖端を弄ぶ。

「くっ……っ、シュタンリーしゃま、ぎゅって……抱きしめてぇ」

 スタンリー様は何か堪えるような顔をした。でも観念したように、ハムみたいに縛られた私を抱えあげてくれた。

「うあっうぁぁ」

 全身に彼のガウンや肌が擦れ、ビクンと体が反った。

「もっと強く抱いてぇ!」

 柔らかい乳房が彼の胸筋に押しつぶされ、尖端がパイル地のガウンに擦られた。

 ますますびちょびちょになって疼く秘部に、我慢できなくなる。わたしは無意識に、ガウンがめくれたスタンリー様の腿に股間を押し当てて擦り付けた。

 ぬちゃぬちゃ音がする。彼の腿を汚してしまっているのも気にならない。刺激で快感が背中を這い上がる。そんなはしたない自分が恥ずかしい。

 スタンリー様は私の痴態をじっと観察していた。

 視線が絡み合い、恥ずかしさに耐えられずに顔を逸らすと、顎を掴まれた。

「顔、隠すなよ」

 私は眼を閉じて、彼の刺し貫くような視線から逃げた。だって、ひどい顔してるもん。理性の飛んだ、スタンリー様が嫌いな淫乱ビッチそのものの雌犬みたいな顔だもの。

「嫌わないで」

 ぽつっと呟いていた。

「好きなの。男なんてダメなのに、また好きになっちゃったの」

 スタンリー様が息を呑んだ。

「裏切られても仕方ないって思えるほど……どうしようもないの」

 泣きながら告白すると、スタンリー様は私のお尻を両手で包み込み、ひょいと上に持ち上げた。

「ちゃんと聞きたい──冷静に、話し合わないとな」

 ズプッと何かが秘部に埋まった。

「……っ?」

 ぐぐっとねじ込まれるそれは、指なんか比べ物にならないもので……靄がかかった私の頭でも、それが何か分かった。

 アレだ。

 欲しくて欲しくて堪らなかったもの。でも──。

「こわいっ」

 牢で犯されたときの、あの痛いやつだもの。傲慢な黒騎士だ。

「こわいよ」

 欲しいのに、痛みに身構えてしまう。

「指の方がいいよ」
「ニーナ」

 スタンリー様がお尻を支えながら、前後に温かい竿をすりつける。彼は額に汗をびっしょり浮かべて言った。

「痛くなんかならないよ。もう君の中の準備はできている。吸い込まれそうだ」

 それから忌々しそうに吐き捨てた。

「くそっ、俺が君をこんなふうにしたかったんだ! 妙な薬などではなく」

 次の瞬間、スタンリー様は私の腰を支えていた腕から力を抜いた。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【完結】寝室は、別々のはずですよね!?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:134pt お気に入り:1,922

虎被りをやめたら文句ばかりだった婚約者がぞっこんになった

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,132pt お気に入り:2,173

すべてを思い出したのが、王太子と結婚した後でした

恋愛 / 完結 24h.ポイント:5,630pt お気に入り:111

婚約破棄されないまま正妃になってしまった令嬢

恋愛 / 完結 24h.ポイント:5,124pt お気に入り:2,919

処理中です...