アラサー失恋女子、合コンで年下御曹司(25)にロックオンされる〜タワマン25階住みでも、怪しい壺なんて買いません!〜

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茜さんが会ってくれない【蓮視点⑨】

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 記念すべき茜さんとの初めてを、車内で済ませてしまった。

 俺は、ひとり深く落ち込んでいた。

 避妊については問題ない。こっそり運転手の橘さんが準備してくれていたからだ。

 橘さんは飛鳥時代に柳楽と契約した神使で、上条よりも長いベテラン。やたら気が利く人だから……。

 本当は……そのまま抱いても問題なかった。

 神力を込めれば、営みは彼女を護る強力な結界へと変わるのだから。

 でもそんなこと何も知らない彼女は、きっと嫌がる。

「なんてことするの、責任取って!」って、キャンキャン怒るだろうな。

 初めて会った日──ワンナイトしたと誤解して狼狽した彼女を思い出し、クスクス笑ってしまった。

 うん……それも可愛いし、責任をぜひ取らせていただきたい。

 しかし、その笑いはすぐに消える。

 あの高速道路での出来事は、圭介さんに傷つけられた茜さんを癒すための行為だった。

 それでも──自暴自棄だった彼女に、俺は付け込んだんだ。

 俺が欲望を吐き出すまで、彼女は泣き続けていて……それが、すごく気になっていた。

 きっと、好きでもない相手に身を任せてしまう自分が、情けなかったのだろう。

『ごめん、抱いて』

 茜さんはそう言った。

 自分がどういうつもりで俺に身を預けるか、彼女は分かっていた。

 茜さんが欲しい。

 でも……俺は、これ以上茜さんを泣かせたくない。

 そのためには、彼女が納得できるまでたくさんデートを重ねて、俺自身を知ってもらう。

 たった三回しか会ってないのに……なんて言わせない。地道に彼女の心に入り込み、好きになってもらう。

 ──ところが俺の目論見は外れた。

 あれから茜さんは、なかなか会ってくれなくなったのだ。

 まあ、なんとなくそんな気はしていたけど。

 彼女は今、罪悪感を抱えている。

 当たり障りのない「今週も忙しくて」というメッセージからも、葛藤が滲んでいた。

 茜さんは、そういう人だ。

 なんでこんなに彼女のことが分かってしまうんだろう。

 感情の波のオーラを見なくても、確信できてしまうのが不思議だ。

 どうしたら彼女にも、俺のことを分かってもらえるんだろう。どんな男になれば、好きになってもらえるだろう。

 会えないと俺は死んでしまう。それくらい好きなんだって……。

 でも、それを伝えるのは、脅しみたいで嫌だった。

 俺と会うことで彼女が苦しむのは、もっと嫌だ。

「何やってんだろうな」

 もうすぐひと月が経つ。とりあえず魔除けの上書きを口実にすれば会えると思うが──その時、彼女に何をしてしまうのか、正直怖い。

 これだけ我慢しているのだから。

 茜さんの笑顔、声、匂い、肌──彼女の存在を思い出すだけで、狂気に駆られそうになる。

 彼女を、蛇石や壺の中に封じてしまいそうで怖かった。

 こちらも社畜業務で忙殺の日々、また前のようにアパートに突撃する時間が取れなかった。

 いや、諸君、勘違いしてもらっては困る。やらないよ。

 仮に時間があったとしても、実行できない。

 ストーカーじみてるし、彼女に心を整理する猶予を与えなければ、フェアじゃないと思うから。

 そう思っていたはずなのに──

 俺はダメなやつだ。ついに我慢できなくなった。

 仕事の合間に、彼女の職場の外で待つ俺。

 これじゃあまるきりストーカーじゃないか。

 こんなことをしたら、普通は嫌われてしまう。理屈では分かっているのに、なぜか嫌われない自信もある。

 あの人は優しいから、多少図々しいことをしても嫌わないって……。

 圭介さんだって、そうやってあかねさんに取り入ったのだろうから。

 もちろん、ヤツがやったような方法はあまり取りたくなかったけど──

 茜さんが会いたがらないなら、多少の強硬策は必要だろ?

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