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4 王太子クロード
「こんなところで何をしている、アニエス嬢?」
低く柔らかい声に、ドキッとなる。
おそるおそる振り返ると東屋の階段を上がってくる王太子が目に入った。
いつもは穏やかな細面の顔に、蔑みの色を浮かべて。
「涼しい顔でどこに行ったかと思えば──貴婦人とは思えぬ淫蕩ぶり」
(自慰を見られた!?)
「ちがいますっ──くぅ」
なんとか平静を装いごまかそうとしたが、王太子の声はあまりに魅力的で、再び襲ってきた欲望に拍車をかけてしまう。
ふらついたアニエスを、彼は支えた。ウエストに回された手が、やけに熱く感じる。
潤んだ目で王太子を見上げると、彼はしばしアニエスを凝視し、かすれた声で言った。
「なん……だ、その欲に溺れた顔は……このメス豚め」
いつも紳士的で優しい王太子が、そんな言葉を投げつけてくるのは初めてだった。
(ひ、ひどい)
ところが、意に反してキュンと子宮が締まる。
悲しい、でも、もっと罵ってほしい。
「おや? 甘い雌の匂いがしてきたぞ。いや、メス豚の匂いか」
王太子の声が、さらに低くなった。やや掠れて、男の色気を含んでいる。
(声も素敵なんて、神様はなんと完璧な人を創造したのかしら)
「も……っと……もっと辱めて……ください、クロード殿下」
(ああ、言ってしまった)
変態と罵られる。それも素敵だが、嫌われるのは悲しい。
(でもどうせ、わたくしはもう嫌われているのだわ)
蔑んだ目を見てそう思った。やっかいなのは、その侮蔑の篭った視線すら、心地好く感じてしまうことだ。
王太子はうっとり自分を見つめるアニエスの顔を見返し、生唾を呑み込んだ。
(喉ぼとけが動いたわ、色っぽい)
「──今、楽にしてやろう」
彼はそう言うと、座面の広いガゼボのベンチに深く腰掛け、腿を叩いた。
「ここに座りたまえ」
アニエスは驚愕のあまり、瞳を見開いた。
「わたくしにお情けを?」
「そうだ。貴様のような淫乱なメス豚は、外で服を着たまま犯されるのがお似合いだからな」
(あぁぁあっ!)
アニエスは両肩を抱きしめて、フルフル震えた。
(もっと辱めてほしい。お願い、もっと!)
太ももを伝う蜜の感触に赤面する。そんな風に思ってしまう己を恥じ、卑下するも、それすら快楽に変わってしまうのだ。
「まずドレスの裾を持ち上げ、邪魔なクリノリンとドロワーズを外してしまいなさい」
アニエスは命じられるままに、嵩張る下着の腰紐をほどき、下に落とした。
ドロワーズにいたっては、ずっしり重みを増していた。愛液で濡れそぼっていたのだ。
「この上に跨るんだ」
いつの間にか、王太子が前を緩げていた。理性の飛んでいるアニエスすら怯むほど、それは太く長かった。
「で、でも」
「早くしなさい、メス豚め」
アニエスは「はい」と従順に返事をし、膨らみを失ったスカートをたくし上げ、彼の上に跨る。
王太子はアニエスの腰に手を回し、さらに引き寄せ密着させた。
生温かな肉棒の感触が内腿に当たり、アニエスは長いまつ毛に縁取られた瞼を伏せる。
「温かい」
抱き寄せた王太子が、耳元でクスッと笑うのを聞いた。
顔を上げると、彼の濡れ光る黒い瞳と合う。
「クロ……殿……下……? んっ」
唇を奪われ、アニエスは大きく目を見開いた。
(このメス豚に口づけしてくれるというの?)
王太子の少し厚めの舌がアニエスの唇を割り、入ってくる。アニエスの小さな舌を捉えると、自分のそれを絡めてすすり上げた。
粘膜と粘膜がこすれ合い、アニエスが恍惚としたその時、王太子が掴んだアニエスの腰を上に持ち上げた。
唇を離し、アニエスは首を傾げて彼を見つめる。
「でん……」
「許せよ、痛くはないはずだから」
ズプッと熱いモノが埋め込まれたと思った瞬間、腰から手を放される。体重がかかり、アニエスは一気に灼熱の王太子に貫かれていた。
「あっあぐぁあああああああああ!?」
眼球の裏に閃光が生まれ、狂気のように脳天を貫く。
アニエスは一突きで昇天していた。
背筋を反らして絶叫するアニエスを抱きしめ、王太子は目を閉じる。
「くっ……狭いな、メス豚のくせに」
そして一度腰を引くと、さらに奥を突き上げた。
罵られ、再び体内を抉られたアニエスの口から涎がすべり落ちる。
「あぅううううぁあああ」
言葉を失い、思考力を失い、不安定だった理性は跡形もなくすべて飛んだ。
その時のアニエスは、本当に一匹のメス豚だった。
王太子の肩にしがみつくと、ベンチに両ひざを突き、ズルッと引っ抜く。その擦れる感触で達した。
さらに自ら腰を落とし、また達した。
そうやって腰をゆっくり上下させながら、屠殺されようとしている家畜のようなか細い声を上げ続ける。
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