R18「貴様のことは愛せん!婚約破棄だ、このメス豚め!」って言ったけど、あれ忘れてくれる?

世界のボボブラ汁(エロル)

文字の大きさ
3 / 10

3 春の庭園

 アニエスは、口を引き結んだまま庭先に出た。そこから奥は、王宮が誇る自慢の植物園になっている。

 各国から仕入れた淡い春の花々が咲き乱れ、ガス灯のライトアップでオレンジ色に彩られていた。

 昼はディオンと散策した、雅やかな花園。しかし今は、それを愛でる余裕は彼女にはなかった。

 足早に奥へ向かうと、誰もいない東屋ガゼボに入る。

 それから、泣き崩れるようにベンチに突っ伏した。

「うぅっぅううっ」

 押し殺した声は、聞く者がいれば胸を裂かれていたことだろう。

 しかし彼女の慟哭を見守る者は、庭園の花々だけだった。

「うぅうっうぐっ」

 抑えきれない泣き声が、徐々に大きくなっていく。

「うっあぐっ……ぐっ……あ゛あ゛ぁぁっん……あんっ」

 アニエスは顔を上げた。見ている者が居れば驚いたであろう。

 先ほどまでの取り澄ました表情はそこにはなく、紅潮した顔は恍惚としていた。

 彼女は泣いていたわけではない。

 淫らに身悶えし、蕩けた喘ぎ声を洩らしていたのだ。

「メスブタ……」

 ディオンの嘲る声を思い出す。

 薔薇色の唇が緩み、舌が出そうになった。

 衆目の中、辱められた。下腹部がキュンと締まり、じゅわっとドロワーズを濡らした。

 アニエスは急くようにベンチに片膝を上げ、脚を広げた。スカートの裾をたくし上げて、中に手を入れる。

 クリノリンで空洞のため、簡単にドロワーズの裂け目まで手が届いた。

 クチュ。

 細く繊細な指で秘部をまさぐる。糸を引くほどねばついていた。

「ぁ……ぁ……」

 アニエスは嘆息した。寂しい。ここが空っぽなのが虚しい。

 クプッと自分の指を埋め込む。処女なのだから痛みを感じると思ったのに、むしろ物足りない。

 もっと太いものを埋め込みたい。

   仕方なく、泥濘む蜜壺を中指でかき回した。

「くっ……はっ」

 ベンチの背もたれに掴まって片手を忙しく動かしているうちに、親指がクリトリスをこすった。

「あ゛ぐっ」

 背を弓なりに反らし、ビクビクと痙攣する。

 稲妻が走ったような不思議な、だが強烈な刺激の後、アニエスは弛緩した。

 息を整えながら、ベンチの背もたれに背を預ける。

(少し……落ち着いた?)

 男爵令嬢ヴァネッサに渡されたカクテルを飲んでから、パーティー中ずっと体がおかしかった。

 ホールにいた男性の姿──給仕や、年老いた侍従、ご婦人の抱いた雄のマルチーズですら、見ただけで身を任せたくなったのだ。

 婚約破棄してきたディオンの辱めさえ、羞恥プレイのように感じてしまい、あの場で淫らに悶えそうに──。

(あ……だめ)

 再び体が疼いてくる。毛穴という毛穴から、蜜が滲み出てきそう──。

 ディオンとは、確かにあまり上手くいってなかった。

 名門とはいえ没落しかけていたカルナック侯爵家は、広大な領地をそつなく運営するセニエ伯爵家の持参金が目当てなのだろう。

 でなければ、冷たいと感じさせるほど堅物のアニエスを、妻に望む者などいない。

 ましてや遊び人のディオンが納得しているはずもなかった。

(いえ、そんなの言い訳ね……。わたくしの心も別にあるからだわ)

 アニエスは自嘲気味に微笑む。

(今日もクロード殿下は素敵だったわ……。ううん、初めてお会いした日から、素敵じゃないことなんて一度もなかった)

 王太子クロードの十歳の誕生祝いで移動遊園地が呼ばれ、幼いアニエスも初めて王宮に招待された。

 そのとき、彼に魂を奪われたのだ。

 艶やかな黒髪、憂いを帯びた黒曜石の瞳。黒の軍装に身を包んだその姿は凛々しく、アニエスは一目で恋に落ちた。

 大人たちがテントの下の昼食会で王族を囲み、エスプリを競い合う傍ら、子供たちは、輪投げやダーツを競い合い、木製のピンを倒すスキットルズに歓声を上げていた。  

 手回しオルガンの軽やかな音色が流れ、シャボン玉が風に乗って漂っていく庭園はさながら楽園のようだった。

 しかし人見知りのアニエスは同世代の貴族の令嬢令息らに馴染めず、ちょうどこのガゼボで、植栽を見ていた。

 そこに、綿菓子とチョコバーを両手に持った王太子がやってきて、ばったり鉢合わせしたのだ。

『おや、見つかってしまった。小さなレディ、僕が抜け出してきたこと、黙っていてくれないか? 昼食会は堅苦しいからね。はい、賄賂』

 ウィンクしながら綿菓子を渡した彼は、完璧な王子様だった。

 すっかりのぼせたアニエスは、帰宅してすぐ「殿下の妃になりたいの」と、父を困らせたものだ。

 しかし成長するに従い、恋する乙女にも現実が見えてくる。伯爵家の出身では、王太子妃候補にあがることすらできないのだと……。

 宮廷で会うたび、話しかけに来てくれた王太子だが、アニエスには社交辞令だと分かっていた。

 彼は雲の上の人──いつか、外国の王女や大貴族の令嬢との縁談が来るのだろう……。

 アニエスのような不器用な氷柱姫ではなく、社交的で朗らかな女性と結婚するのだ。

 無愛想な「氷柱姫」との結婚を望むのは、お金に困ったカルナック侯爵家くらいだろう。

 完璧な王子様と自分を比べ、彼を好きでいることすら、アニエスは恥ずかしくなってしまったのだ。

(身の程を知りなさい。そして失礼にならないよう普通に接するのよ)

 今夜も、彼の前に出ると緊張し、儀礼的で無関心な態度を取った。

(殿下は気を遣ってたくさん話しかけてくださるのに、わたくしったらツンツンしちゃって……)

 半眼を閉じて、彼が言った言葉を思い出す。

『君は昔からそっけないが、僕が嫌いかい?』

(そんなわけないじゃない)

 錆を含んだ甘い声……腰が抜けそうになるほど、彼に魅力を感じていた。

 不敬だわ。そんなこと考えてはダメなのに……。

 しかし、もう止まらなかった。

 再び下腹部が熱く疼き、潤んだ秘所から蜜が溢れてくる。

「クロード殿下……」

 再び太ももまでスカートをたくし上げ、その中に手を入れた──その時だ。
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

兄妹じゃないとわかったのでお兄様と結婚したら、全部仕込みでした

こじまき
恋愛
【20260401読みやすいように話を分割しました】 伯爵令嬢ヘイゼルは、兄アリステアに恋をしている。叶わないと知りながら、それでも諦めきれなかった。 しかし子ども時代の「取り違え」が発覚し、子爵令嬢ロレッタとして“正しい場所”で生き直すことに。 そして妹ではなくなった彼女に、アリステアは求婚する。 運命のねじれは正されて、望んだとおりに最愛の人と結ばれた―― けれど――その「正しい運命」は、兄アリステアによって用意されたものだった―― ※「小説家になろう」にも投稿しています。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!

冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件

りわ あすか
恋愛
「君を愛するつもりはない」 結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。 出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。 愛を期待されないのなら、失望させることもない。 契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。 ただ「役に立ちたい」という一心だった。 ――その瞬間。 冷酷騎士の情緒が崩壊した。 「君は、自分の価値を分かっていない」 開始一分で愛さない宣言は撤回。 無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。 以後、 寝室は強制統合 常時抱っこ移動 一秒ごとに更新される溺愛 妻を傷つける者には容赦なし宣言 甘さ過多、独占欲過剰、愛情暴走中。 さらにはリーリアを取り戻そうとする実家の横槍まで入り――? 自己評価ゼロの健気令嬢と愛が一分も我慢できなかった最強騎士。 溺愛が止まらない、契約結婚から始まる甘すぎる逆転ラブコメ

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました

由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。 ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。 遠い存在になったはずの彼。 けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。 冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。

【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──