【R18】ブリザード鉄仮面眼鏡令嬢とヤリチン(博愛主義者の童貞)令息が「偽」恋人契約を結んだ結果……

世界のボボブラ汁(エロル)

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第四章

お互いまだ必要だと思うの

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 お言葉に甘えて泊めてもらうことにした私は、客室のバスルームで陶器の湯舟に浸かりながら、いつもと違ったエイベル君の様子を思い出していた。

 自然と口元がにやけてしまう。

 妹に振り回されて、泡を食っているエイベル君って新鮮。

 なんて可愛いのかしら。可愛いって最強なのね。あの艶々の黒髪をグリグリグリグリ撫でまわしたい。

 私はお湯を両手にすくって顔を浸けていた。

 ダメだわ、どんどん好きになる。

 彼に触れて、愛を囁いて、キスして、抱き締めたい。

 こんなことを考えているとバレたら、彼はきっと私に嫌悪感を抱く。

 私だって思うもの。なんて気持ち悪い女なのだろうって……。

 でも、好きを止められない。

 これはまずい。本当にまずい。早く終わらせた方がいいのは、分かっているのに……。

「いいえ……恋人役を降りるのは無責任だわ」

 これは言い訳ではない。

 受験に支障が出るし、私の方はダンスパートナーがいなくなる。そんな実害が出ることは分かっているのだから。

 予定通り卒業までは一緒に居ないと、お互い困ったことになるもの。

 うん、言い訳ではない。

 お湯をもうひと掬いして、思い切り顔にかけていた。

 卒業と同時に恋人役卒業……その時のことを思うと、今から涙が零れてきたからだ。

 想像するだけで、これなんだもんなぁ。

 でもね、考えてみて。別れのない人間関係なんてない。人間は遅かれ早かれ死ぬわけだし。

 そんなことを恐れてばかりいたら、人生を思い切り楽しめない。 

 別れる時は、どうせ痛みを伴うのだ。その時になってから、思い切り泣けばいい。

 今この時を楽しむの!

 湯浴みを済ませ、取り敢えずバスローブで客室に行くと、外から声が聞こえた。

「委員長……その……下着とワンピースを買ってきてもらったんだけど、紙袋を廊下に置いておくね」

 私は慌てて扉の前に行った。

「ごめんね、ありがとう」
「いや、とんでもない。メイドたちも夕方からお休みにしてあげたんだ。それで、これから僕がケーキを作り直すけど、いいかな?」
「あ、待って」

 私は思わず扉を開けていた。

「私も一緒に作るわ、紙袋ちょうだい。すぐに着替えるから」

 エイベル君の真紅の瞳が見開かれた。石のように固まったまま、動かない。

「……? あ、あの……着替えを」

 エイベル君の顔がみるみる赤くなっていき、そのまま回れ右して後ろ手に袋を差し出す。

「ご、ごめん、僕は何も見ていないよ。じゃあ待っているから!」

 着替え一式を私が受け取った瞬間、彼は脱兎のごとく走り去った。

 何かしら。別に裸ってわけじゃないのに。

 胸元に視線を落としてゲッと呟く。

 ブカブカのバスローブは少し開けて、青白い谷間がちょっとだけ見えている。

 これくらいで、なんで狼狽えたのかしら。

 エイベル君なら、谷間どころか、女の子全裸だって見慣れているでしょうに。

「ああ、そうか。嫌なものを見ちゃったってわけね」

 地味眼鏡のガリガリの胸元なんて、気持ち悪いだけよね。

 私はそっとバスローブを掻き合わせ、扉を閉めた。
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