37 / 58
第四章
おっぱ! おっぱ!(エイベル視点)
しおりを挟む
びっくりした、びっくりした、びっくりした!
僕は動揺のあまり、踊り場から階下に飛び降りていた。
リビングにいたメイベルが、華麗に着地した僕にビクッとなる。
「なによ、お兄様。早くケーキ作って。甘い物で締めないと食事が終わった気がしないの」
「だまらっしゃい」
なんでこの子はこんなに我儘なんだ! そんなことより、委員長だ。
「誰がペチャパイだって!? とんでもないぞ」
着痩せしすぎだろ! スレンダーすぎるあの体なら、真っ平らか抉れていてもおかしくないのに!
僕がテーブルに頭を打ちつけだしたものだから、メイベルが目を丸くしている。
「ああ……もしかしてルシールさん、さっきペチャパイって言ったこと怒っていたの? だって私よりずっと小さかったわ」
「お前が母上に似て巨乳すぎるんだろ! ちょっとダイエットしなさいっ。ケーキは一切れまで」
メイベルがキーキー騒ぎだしたので、僕は耳を塞いで目をつぶり、先ほどの委員長に思いを馳せた。
眼鏡を外してお下げを解き、ゆったりしたバスローブを着たその姿は、戦闘力ゼロだった。
つまり、いつもの氷のバリアが無くなった委員長は、まったくの無防備だったのだ。
それなのに、対魔獣用ランチャーで砲撃されたような、すさまじい破壊力──すごく……すごく色っぽかった。
透き通るような肌は、湯上りのせいでほんのりピンク色に染まっていた。ほっそりした首筋に湿り気を帯びた髪がまといつき、ぶかぶかのバスローブは細い肩を滑り落ちそうだった。
だから胸元についつい、目がいってしまったんだ。
つるんとした谷間が見えていた。その膨らみの上に並んだ二つの小さなホクロまではっきりと。
僕の赤い縄索で縛ったら、さぞ映えるだろうな。白い肌に食い込んだロープから、柔肉がまろび出る。そしてそこにメタリックブルーの髪が一筋かかって、まるで一枚の絵画のように美しくなるに違いない。
そんな妄想をウッカリしてしまったせいで、股間が一気に起立! 礼! 着席はせずに走り出しそうになる。
仕方なく前屈みのまま、大声で国歌を歌った。妹は気味悪そうに僕を見ていたが、どうにか股間には気づかれなかった。セーフだ、セー……
「エイベル君」
「うわぁああああああ」
叫んだ僕にビクッと肩を震わせたのは、いつの間にか隣に立っていた委員長だった。
おかげで股間は縮みあがったが、動悸が……。
銀縁眼鏡とお下げ姿に戻った委員長は、怪訝そうにしていたが、僕は平静を保ちニッコリ笑ってごまかす。
「良かった、着替えはぴったりだね」
黒、紺、茶、グレー、しか着ない委員長が、ワインレッドのワンピースを着ているのがやけに新鮮だった。
「このベロアのワンピース、いいブランドの物よ。料金を払うわね」
「何言ってるんだ、メイベルが汚したってことは僕が汚したことと同義なんだよ」
僕が委員長を汚した……。なんかエロいな。いや待て、股間。勝手に疼くんじゃない。
「とにかくせっかくのガイアス神生誕祭よ。ケーキは絶対食べなくちゃ」
委員長が冷静に言ったおかげで、立ち上がりかけていた僕の股間は着席した。ふぅ、なんて危険なんだ、委員長は。下半身が学級崩壊を起こすところだったぞ?
僕たちは残った材料で小さなケーキを焼き、その後三人でボードゲームをやった。
メイベルの誕生日に買ってあげた、生存ゲームだ。スゴロクみたいなもので、進学、就職、そして結婚──。さらに子供が出来たり、孫が出来たりと、現実で起こりそうなイベントが満載だ。
僕はカジノで出会った女性と結婚した。ボード上の馬車の駒に伴侶の駒を増やした時は、花嫁の委員長を妄想しニヤニヤしてしまった。これから子沢山だぞ!
しかし結局結婚詐欺に引っかかっていたようで、今まで稼いだコインを巻き上げられ、失意のために三回も休みになった。
さらに薬の売人になったメイベルと、魔王になった委員長からボコボコにされて、ゴールすらできなかった。
なんだよ。最終的に生き残ったひとりが勝ちなんて、サバイバルデスゲームじゃないか!
「まあ……そこそこ楽しかったわ。委員長……あなたとお友達になら、なってあげてもいいわ。ケーキも上手だし。またお家に来てもいいわよ?」
メイベルがケーキをムシャムシャ食べながらそう言ったが、なんで上から目線なんだ?
「そう、嬉しいわ。妹ができたみたい」
眼鏡を指で押し上げて頷く委員長に、メイベルはなぜか狼狽え、顔を真っ赤にしている。
なんだ?
「お、お姉さまって呼んであげても良くてよ?」
僕と委員長が目を丸くした。メイベルが慌てて言い訳をする。
「た、ただし、本当にお兄様を狙っていないとはっきり分かってからだから! 今までそういうビッチばかりだったの。だから追い払ったのよ! あなたも、実はお兄様狙いなら許さないからね!?」
委員長は微笑を浮かべて頷いた。
「もちろん、そんなつもりはないわ。エイベル君はいいお友達だから。それ以上の感情は、持っていないわ」
その夜僕は、枕を濡らして眠った。
僕は動揺のあまり、踊り場から階下に飛び降りていた。
リビングにいたメイベルが、華麗に着地した僕にビクッとなる。
「なによ、お兄様。早くケーキ作って。甘い物で締めないと食事が終わった気がしないの」
「だまらっしゃい」
なんでこの子はこんなに我儘なんだ! そんなことより、委員長だ。
「誰がペチャパイだって!? とんでもないぞ」
着痩せしすぎだろ! スレンダーすぎるあの体なら、真っ平らか抉れていてもおかしくないのに!
僕がテーブルに頭を打ちつけだしたものだから、メイベルが目を丸くしている。
「ああ……もしかしてルシールさん、さっきペチャパイって言ったこと怒っていたの? だって私よりずっと小さかったわ」
「お前が母上に似て巨乳すぎるんだろ! ちょっとダイエットしなさいっ。ケーキは一切れまで」
メイベルがキーキー騒ぎだしたので、僕は耳を塞いで目をつぶり、先ほどの委員長に思いを馳せた。
眼鏡を外してお下げを解き、ゆったりしたバスローブを着たその姿は、戦闘力ゼロだった。
つまり、いつもの氷のバリアが無くなった委員長は、まったくの無防備だったのだ。
それなのに、対魔獣用ランチャーで砲撃されたような、すさまじい破壊力──すごく……すごく色っぽかった。
透き通るような肌は、湯上りのせいでほんのりピンク色に染まっていた。ほっそりした首筋に湿り気を帯びた髪がまといつき、ぶかぶかのバスローブは細い肩を滑り落ちそうだった。
だから胸元についつい、目がいってしまったんだ。
つるんとした谷間が見えていた。その膨らみの上に並んだ二つの小さなホクロまではっきりと。
僕の赤い縄索で縛ったら、さぞ映えるだろうな。白い肌に食い込んだロープから、柔肉がまろび出る。そしてそこにメタリックブルーの髪が一筋かかって、まるで一枚の絵画のように美しくなるに違いない。
そんな妄想をウッカリしてしまったせいで、股間が一気に起立! 礼! 着席はせずに走り出しそうになる。
仕方なく前屈みのまま、大声で国歌を歌った。妹は気味悪そうに僕を見ていたが、どうにか股間には気づかれなかった。セーフだ、セー……
「エイベル君」
「うわぁああああああ」
叫んだ僕にビクッと肩を震わせたのは、いつの間にか隣に立っていた委員長だった。
おかげで股間は縮みあがったが、動悸が……。
銀縁眼鏡とお下げ姿に戻った委員長は、怪訝そうにしていたが、僕は平静を保ちニッコリ笑ってごまかす。
「良かった、着替えはぴったりだね」
黒、紺、茶、グレー、しか着ない委員長が、ワインレッドのワンピースを着ているのがやけに新鮮だった。
「このベロアのワンピース、いいブランドの物よ。料金を払うわね」
「何言ってるんだ、メイベルが汚したってことは僕が汚したことと同義なんだよ」
僕が委員長を汚した……。なんかエロいな。いや待て、股間。勝手に疼くんじゃない。
「とにかくせっかくのガイアス神生誕祭よ。ケーキは絶対食べなくちゃ」
委員長が冷静に言ったおかげで、立ち上がりかけていた僕の股間は着席した。ふぅ、なんて危険なんだ、委員長は。下半身が学級崩壊を起こすところだったぞ?
僕たちは残った材料で小さなケーキを焼き、その後三人でボードゲームをやった。
メイベルの誕生日に買ってあげた、生存ゲームだ。スゴロクみたいなもので、進学、就職、そして結婚──。さらに子供が出来たり、孫が出来たりと、現実で起こりそうなイベントが満載だ。
僕はカジノで出会った女性と結婚した。ボード上の馬車の駒に伴侶の駒を増やした時は、花嫁の委員長を妄想しニヤニヤしてしまった。これから子沢山だぞ!
しかし結局結婚詐欺に引っかかっていたようで、今まで稼いだコインを巻き上げられ、失意のために三回も休みになった。
さらに薬の売人になったメイベルと、魔王になった委員長からボコボコにされて、ゴールすらできなかった。
なんだよ。最終的に生き残ったひとりが勝ちなんて、サバイバルデスゲームじゃないか!
「まあ……そこそこ楽しかったわ。委員長……あなたとお友達になら、なってあげてもいいわ。ケーキも上手だし。またお家に来てもいいわよ?」
メイベルがケーキをムシャムシャ食べながらそう言ったが、なんで上から目線なんだ?
「そう、嬉しいわ。妹ができたみたい」
眼鏡を指で押し上げて頷く委員長に、メイベルはなぜか狼狽え、顔を真っ赤にしている。
なんだ?
「お、お姉さまって呼んであげても良くてよ?」
僕と委員長が目を丸くした。メイベルが慌てて言い訳をする。
「た、ただし、本当にお兄様を狙っていないとはっきり分かってからだから! 今までそういうビッチばかりだったの。だから追い払ったのよ! あなたも、実はお兄様狙いなら許さないからね!?」
委員長は微笑を浮かべて頷いた。
「もちろん、そんなつもりはないわ。エイベル君はいいお友達だから。それ以上の感情は、持っていないわ」
その夜僕は、枕を濡らして眠った。
27
あなたにおすすめの小説
愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました
蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。
そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。
どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。
離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
【短編】淫紋を付けられたただのモブです~なぜか魔王に溺愛されて~
双真満月
恋愛
不憫なメイドと、彼女を溺愛する魔王の話(短編)。
なんちゃってファンタジー、タイトルに反してシリアスです。
※小説家になろうでも掲載中。
※一万文字ちょっとの短編、メイド視点と魔王視点両方あり。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
【R18】愛され総受け女王は、20歳の誕生日に夫である美麗な年下国王に甘く淫らにお祝いされる
奏音 美都
恋愛
シャルール公国のプリンセス、アンジェリーナの公務の際に出会い、恋に落ちたソノワール公爵であったルノー。
両親を船の沈没事故で失い、突如女王として戴冠することになった間も、彼女を支え続けた。
それから幾つもの困難を乗り越え、ルノーはアンジェリーナと婚姻を結び、単なる女王の夫、王配ではなく、自らも執政に取り組む国王として戴冠した。
夫婦となって初めて迎えるアンジェリーナの誕生日。ルノーは彼女を喜ばせようと、画策する。
契約結婚のススメ
文月 蓮
恋愛
研究一筋に生きてきた魔導士のレティシアは、研究を続けるために父に命じられた結婚をしかたなく承諾する。相手は社交界の独身女性憧れの的であるヴィラール侯爵アロイス。だが、アロイスもまた結婚を望んでいなかったことを知り、契約結婚を提案する。互いの思惑が一致して始まった愛のない結婚だったが、王の婚約者の護衛任務を受けることになったレティシアとアロイスの距離は徐々に縮まってきて……。シリアスと見せかけて、コメディです。「ムーンライトノベルズ」にも投稿しています。
恋は、やさしく
美凪ましろ
恋愛
失恋したばかりの彼女はひょんなことから新橋の街中で上司にお姫様抱っこされ……!? ――俺様な美形上司と彼女とのじんわりとした恋物語。
性描写の入る章には*マークをつけています。
届かぬ温もり
HARUKA
恋愛
夫には忘れられない人がいた。それを知りながら、私は彼のそばにいたかった。愛することで自分を捨て、夫の隣にいることを選んだ私。だけど、その恋に答えはなかった。すべてを失いかけた私が選んだのは、彼から離れ、自分自身の人生を取り戻す道だった·····
◆◇◆◇◆◇◆
読んでくださり感謝いたします。
すべてフィクションです。不快に思われた方は読むのを止めて下さい。
ゆっくり更新していきます。
誤字脱字も見つけ次第直していきます。
よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる