【R18】ブリザード鉄仮面眼鏡令嬢とヤリチン(博愛主義者の童貞)令息が「偽」恋人契約を結んだ結果……

世界のボボブラ汁(エロル)

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第五章

シンディー嬢の誘い(エイベル視点)

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 僕は廊下の壁に額を預け、自分を落ち着かせようとした。

 まずいぞ。股間事情もだが、あのドレスをチョイスしたのはちょっと失敗だった。

 どう見ても、洗練された大人のレディだ。しっとりした美しさが、学生のパーティーの中では目立ちすぎる。

 皆が彼女の魅力に、気づいてしまうではないか!

 焦りが募って、落ち着かなかった。盗られてしまうかも……。

 そこで、ハタと首を傾げた。盗られるも何もないじゃないか。彼女は僕のものじゃないんだ。

  僕たちは本物の恋人同士ではないのだから、彼女には他の男たちと自由にダンスを楽しむ権利がある。

 それどころか今後は他の男を好きになり、他の男と付き合うことになるだろう。

 あんなに素敵な人は、この世にいないわけだし、彼女さえ望めばどんな相手とだって──

 シクシク痛む胃を押さえていた時だ。

「このドレスどう?」

 背後から声をかけられた。

 振り返った先にいた女子がシンディー嬢だと、すぐには気づかなかった。

 いつもの中等部のような童顔ではなかったからだ。

 張り切り過ぎたのか化粧がやたら濃く、ドレスの露出も激しい。年相応にも見えないどころか、街角で客引きしてそうじゃないか。

 無理して背伸びすべきではない。大人の色気とは、内側から滲み出てくるものなのだ。委員長みたいに……。

 もちろん、そんな失礼なことは言わない。彼女は妹のメイベルではないのだから。

「やあ、楽しんでいるかい? とっても素敵だよ。赤毛によく似合っている。クラスメイトにもパートナー希望の男子はいたようだけど、結局誰にしたんだい?」
「言ったでしょ? わたし、エイベル君以外の男子は怖いの。外部招待で兄のグレッグを連れてきたわ」
「そうか……。人見知りは治らなかったんだね」

 彼女の兄は、自分の妹が社交的だと勘違いしている。学院生とここまで打ち解けていないなんて知ったら、きっとガッカリするだろう。

 わざわざ短期入学したのに、卒業まで友人が出来なかったのは、僕も妹を持つ身として残念に思う。

「でも今夜こそ、運命の人に会えると思うわ」
「へー、そうだといいね」

 その格好だと、どうだろう……。化粧はもう少し落とした方が──いや、彼女は僕の妹ではない。

「じゃ、僕はもう戻るから」
「ダンスパートナーは変えてもいいのよね?」

 シンディー嬢は僕の腕に手を置いて、胸を押し付けてきた。

「ねえエイベル君、私と踊って?」
「ごめん。次の曲も、約束があるから」

 爽やかに断った。そんな暇なんて無いよ、だって委員長と百曲踊らなきゃ。

 じゃ、と片手を上げてからホールに戻ろうとした僕に、シンディー嬢の低くしゃがれた声がした。

「パートナーが居なかったら、わたしと踊ってね」

 何を言ってるんだ? 後ろを見ると、唇の端を吊り上げたシンディー嬢が佇んでいた。

 僕は首を捻りつつ、王宮の侍従が開いてくれた扉からホールに戻る。

 しかし困った。ゆったりしたワルツの音楽が流れてきている。

 これも密着するやつだ。せっかくチン静化した僕の股間がまた起立してしまう。

 どうしたものか。

 考えながらホールの休憩用ソファーに戻ると、そこではクラスメイトのヒューバートが自分のパートナーとイチャついていた。

「委員長は?」

 僕は焦ってホールを見渡す。誰かが委員長をダンスに誘ったに違いない。ちょっと目を離しただけなのに!

「あ……委員長なら今しがた、イケメンとテラスに出たわよ」

 ヒューバートの彼女が外を指差した。

 礼すら言えたか分からない。呆気にとられる二人を残し、僕はテラスに飛び出していた。

 早く委員長を取り返さないと! だって委員長は、僕のものだ。
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