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21話

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まさに蹂躙という言葉が似合うと思った。

出てきたモンスターは、ドラゴンの他に片目の巨人、サイクロプスや、石化の息を吐くコカトリス……などなど、ファンタジー小説に出てくるモンスターが多い。


それをタケルは素手で最初は突っ込んでいく。


サイクロプスとは力比べをするかのように、サイクロプスも持っていた棍棒を投げ捨て、殴り合いをしていた。


「はっはっは!!どうした?こんなもんじゃないだろう!!」

「ぎゃうううえ!!!!」

「おっ、力が増してきたな!良いぞ、その調子だ!」


おかしくない?
どうしてタケルはあんなに余裕そうなんだろう。

「だがまだまだだ!!ふん!!」

豪快な蹴りがサイクロプスにヒットし、その巨体が倒れる。


ドラゴン戦の時も思ったけど、タケルの筋力おかしくない?


そしてコカトリスにも、まさに石化の息を吐こうとしてるにも関わらず、突っ込もうとしていた。

タケルは昔から小説とか読まずに、外で遊び回ることが多かった。

そんなタケルはコカトリスなんて知らない。

だけど、流石に直感で危険を感じたのか、慌てて避けていた。


「危ねぇな……あのブレス厄介だな」


僕の予想では、ブレスを避けながら攻撃することが有効だと思った。

タケルは銀色に輝く鎧を身につけている。

重装備に見えるけど、案外軽いのかタケルの動きも早い。

とか思ってると、タケルはポンっと手を打った。


「閃いた!」

と、ドラゴン戦で見せていた2mは超える斧(後から聞いた話だと、ハルバートと言うらしい)を、ぐるぐると振り回した。

あれだ。

扇風機じゃん……。


いや、無理でしょ。


「おりゃおりゃおりゃおりゃ」

グルングルンと斧を振り回し、扇風機のようなビューという音ではなく、ゴォーッという音が聞こえてしまう。

というか、これはほんとに扇風機みたいなことしてない?

そんなタケルに構わずにコカトリスは再び石化のブレスを吐いた。


その目はニヤりとしているように見えた。


「おりゃおりゃおりゃおりゃ」


ゴォーッと凄まじい風がコカトリスのブレスを跳ね返した。


「ぐぎゃ?ぎゃああああ!!!」


コカトリスは跳ね返ったブレスで石化してしまった。


「えぇぇ……」

『もうむちゃくちゃだよこの人』


『おっ、初見か?タケルはああいうブレス攻撃はあんな感じで跳ね返してるぞ?』


『ふぁっ?』


そんなコメントを発見してしまい、これがタケルの普通なんだと感じた。


そんなこんなで、大きな扉の前に来た。


「おっ、ここで最後だな」

「みたいだねぇ」

「ボスはなんだろうな」

「楽しみだね」


ナツがいた事をすっかり忘れていた……。


ごめんよ。タケルの印象が大きすぎて……。

ちょっと待って。

もしかしてナツもこんな戦いをするとかないよね。

ま、まあナツのことだし大丈夫とは思うけど。


「じゃああとはボス戦?ですね。どうなるんでしょうね」


タケルは豪快に扉を蹴り開けた。


「もっとちゃんと開けてほしいな……いらいらしてたのかな?」


『いや、いつもこんな感じ』


『その後レオナにしばかれる』


「あ、いつもの事なんですね」

もうコントじゃん……。

「さて、何が出ますかねぇ」


扉の先は、ものすごく広い空間だった。

それこそ、さっきのドラゴンとかが何匹かはすっぽり入りそうなくらいだ。


そんな場所にそのモンスターはいた。


それは獣と呼ぶにはあまりにも美しい。

体長はドラゴンと同じくらい大きい。

外見は鹿みたいだけど、顔はまさに先程見たドラゴンの顔だ。

額には銀色に輝く角が生えており、毛並みは金色に輝いている。

そしてバチバチと稲光が全身を包んでいた。

これは……

「麒麟ですかね??」

『ひょえええ!!!』


『何度観てもやべぇ』


『マジで綺麗だわ』


『これキリンっていうのか……初めて知ったわ』


『ナツも知らなかったしな』


『むしろ名前を知ってたシオンすげえな』


神々しさが凄いそのモンスターを前に、タケルはナツの方を向いた。


「なあナツ」

「ん?」

「あの角、シオンに良くね?」

「ああ、僕もそう思ったよ。多分レオナもユイもそう思ってるんじゃない?」

「よな!これは倒しがいあるなぁ」


『余裕そうだなwww』


『なんでそんな会話ができるんだよ』


『確かに綺麗だけどなぁ』

…………

「あの、もしかしてこれ……ですかね?」


思い当たる節があって、それを取り出した。


僕には勿体ないと思って、保管していた銀色の勾玉が4つ付いているネックレスを取り出した。


『ふぁあああああ?!???』


『それだよそれ!!!』


『マジで持ってんのか!!?』


「これええ!??」

驚きすぎて変な声出た。
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