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33話

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はいやって来ました。

本日は日曜日。

雨降れ、槍降れ、台風来い来いと願っていた日もありました。

てるてる坊主の個数は故に50を超え、全部頭を下にて吊るしていました。

【白夜】のみんなに頭を心配されました。


そんな願った日曜日の本日。


「晴れた…」


雲1つない青空が広がってます。

目をゴシゴシ擦って見ても青空。

太陽の日差しは残酷に僕を照らしています。


げんなりしつつも、レオナからの指示を受け、たどり着いたのは、めちゃくちゃデカいビルがある場所だった。


「でっか…」


テレビで見たことがある、探索者協会日本支部のビルだ。


このビル内には日本で活動する全ての探索者が所属している。

地上100階以上にもなるその建物はもう上が見えないくらいだ。

中にはダンジョン探索に必要な物品を販売する店や、加工する店、ダンジョンから取れた未知なるものをら鑑定する店など、ダンジョン関連の専門店の他にも、有名な料理店や、有名ブランド店も中には存在していて、探索者以外にも大人気の場所となっている。


ちなみに僕は行ったことがない。


初めて来たため、建物の大きさから圧倒されてしまう。


「やっと来たわね」

仁王立ちで僕を待っていたのはレオナだ。

肩まで伸びた髪をポニーテールにしていて、白のTシャツと、青いワイドパンツのラフな服装だ。

「今日のレオナは涼しそうだね」

「ほう、謝るより先に褒めるのが先なのね。ご褒美は氷かしら?」

「はいすみません。このビルに圧倒されました」

「嘘だぞシオン。俺達も今集まったばかりだぞ」

シャツと短パン姿で現れたタケルはニカッと笑いながら歩いてくる。

「ちょっ、言わないでよ!!」

「シオンをいじめるからだろうが」

「いじめてないわよ。からかってるだけ」

「シオン泣きそうだったぞ」

「嘘おっしゃい!」

「はい、喧嘩はそこまで」

「なんでここまで来て喧嘩してるんですか2人とも」

白いTシャツに、サラリとした肌触りのジャケットを身にまとい、涼しげな顔で現れたナツと、水色のワンピースに身を包むユイがいた。

「みんな集まったし、そろそろ入ろうか」

パーカーとジーンズ、それにサングラスとマスク、帽子と、怪しさ満点の僕を先頭に、僕ら5人は中へと足を進んだ。


「1階ってめちゃくちゃ広いね」

入っただけで感じる建物内の広さ。

多くの探索者と思われる服装の人や、一般人もいると思う。

「ここは探索者が依頼を受けるための受付やモンスターの素材を買い取ったり、鑑定したりする場所もあるので、かなりの広さになってるんです」

「へぇ、だからこんなに広いんだ」

「依頼したりするためにも受付を通さないといけないから、一般人も多いんだよ~」

「にしても人多くない?」

しかもなんかめっちゃこっち見てくるんだけど。

「おい、あれが【白夜】だぞ」

「4人いるとか珍しくないか?」

「じゃ、じゃあ、あの怪しい格好のやつはリーダーのシオンってやつか?」

「まじか、実在したんだな」

「マジでレオナちゃん可愛いな」

「いや、俺はユイちゃんだな。服装もめっちゃ似合ってるし」

「タケルくんかっこいいね」

「はあ?ナツくんもかっこいいでしょ!」



ボソボソと会話する声や、なんか歓声が聞こえてくる。

「なんか一気に騒がしくなってない?」

「シオン、あなたのせいよ」

「いやお前もだろうが」

「だったらタケルもよ!」

「はいはい。みんなのせいだね」

「特にシオンさんがいるのも初めてのことなのでそれを見に来た人もいるのかもしれませんね」

とか入口で会話をしていたら、スーツをビシッと決めた人混みをかき分けながら男の人がやってきた。

「お待ちしておりました。【白夜】の皆様。ギルド長がお待ちですので、ご案内します」

「あ、ありがとうございます」

僕が受け答えし、男の人について行く。


人混みがスっと退いていき、エレベーターへの道が開かれる。

なにこのモーセ感。

「さ、お乗り下さい」

僕らはエレベーターへと乗り込んだ。

不意に見たみんなの顔が一瞬険しい表情をした気もするけど、どうしたんだろうか。

「みんな顔が怖いけど…」

「ん?いや、なんでもないぞ」

「心配しなくていいわよ。緊張してるだけだから」

「んなわけねぇだろ!」

「僕はあんまり来ないから緊張してる…」

「私もです…特にギルド長なんて滅多に会わないので、更に緊張が…」

「ちょっと待ちなさい。ユイはともかく、ナツは私と同じくらいここに来てるじゃない!」

「ははは」

良かった。

空気が和んだ気がする。

「皆さん仲が非常によろしいのですね」

4人が話がヒートアップしてる中、男の人が声をかけてきた。

「え、ああ。そうですね。小さい頃から一緒だったので」

「それは良いことだ。皆さんあなたを大切に思ってることが伝わってきます」

「そ、そうですね」

「おっと。私に敬語は不要ですよ。申し遅れましたが私は鈴木と申します。ギルド長の補佐を務めています」

鈴木さんは見た目20代後半くらいのお兄さんなのに、めちゃくちゃ凄い立場の人だ。

「す、凄いですね」

「シオンさんも一緒に職員になりませんか?」

「リーダーを勧誘するとはいい度胸だな」

「ただの世間話ですよ。タケル様」

「へっ、物言いは相変わらずだなトウヤ兄ちゃん」

「その呼び方はみんながいない時に言ってくれないかな?」

いきなり砕けた言葉遣いになった職員さんに僕らは驚く。

「えっ、知り合いなの?」

「あんた職員さんに失礼じゃない?」

「馴れ馴れしいね」

「敬語知らないんですか?」

「最近の俺、マジで言われすぎてないか……」

「ははは。変わらない感じで嬉しいね」

鈴木さんは笑った。

ん、鈴木トウヤ……。

「あ、タケルん家の近所に住んでた兄ちゃん??」

ハッとしたようにみんなが鈴木さんを見ると、パアッと鈴木さんは顔を輝かせる。

「そうです!あの頃は一緒に遊んでくれてありがとうございました」

「えっ、職員だったの!?」

「思い出しました。大人げないお兄さん」

「うっ、あの頃の自分はマジで卑怯だったなって思いますよ」

言われて更に思い出す。

幼い頃、それも小学生に入る前に、よくみんなでタケルの家近くにある公園で遊んでいた時に、たまに遊んでくれていた人だ。

幼い僕らにお兄さんは全力で遊んでくれてたから、とても楽しかったんだった。

「職員さんになったんですね」

「そうです。勉強のストレス発散も兼ねて遊んでいたので、そのおかげもあってこうして職員になることが出来ました」

「僕らにも敬語は要らないですよ。遊んでくれた仲ですから」

「それじゃあお言葉に甘えさせてもらおうかな。…それにしても懐かしいなちっちゃかったみんながここまで大物になるなんて思ってなかったよ」

「お兄さんに褒められるとなんか照れるわ。私達もあんなに私たちに全力だったお兄さんがギルド長補佐なんて思ってなかったわ」

「うっ、勉強ばかりやってておかしくなりそうだった時にタケルに誘われて遊んだからつい全力を出しちゃってね…」

「またみんなで遊びませんか?」

「いや、僕が死ぬ」

「それに僕も死ぬ」

僕と鈴木…トウヤ兄さんは同時に答えた。

チーン!
と、目的地に着いたエレベーターのベルが鳴った。


「さて、長くなったけどギルド長が待つ100階だよ。僕について来て」

「「「「「はーい」」」」」


100階って…そりゃエレベーターも長くなるよね。

でも、トウヤ兄さんのおかげで緊張感も少なくなった。


しばらく歩くと、茶色に装飾されたいかにもって感じの大きな扉の前に着く。

「行ってらっしゃいみんな。そしておめでとう」

小さくトウヤ兄さんが言って扉が開かれた。
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