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第一章 ヒロイン視点 悪役令嬢の断罪
18.はじめての断罪 1
しおりを挟むロザリーの様子を見て、煌びやかなおじさんは眉毛を八の字にして話し出した。
「ロザリーが本当の家に戻る前に実績を作り、優秀な子だと箔をつけたかったのですが……。
ロザリー、すまない。そんなに重圧に感じていたとは思わなかった。
同級生をひどい形で貶めるなど、あってはならないことだ。気づいてやれなかった」
ふるふると頭を横に振り、視線を下げて、ロザリーは話した。お茶を、見てるのか。
表情が見えない。
「……家の、ためですから。でも、それで間違いが許されるわけではありません」
ロザリーは、きっと私の顔を、正面から見てきた。
まっすぐに目が合うのは、初めてだ。
「リーナ、ごめんなさい。
あなたは、本当に、忙しくまじめに給仕を行っていると聞いているわ。あなたの顔を見に来る冒険者もいるとか。
そのような、強い繋がりを、このお店とお客様とは持っているのね」
ロザリーは、深々と頭を下げた。
深々すぎて、ごちんとテーブルに頭が当たった。
だけど、そのまま顔を上げようとしない。
少し、その肩は震えていた。
ひっく、ひっく、と、しんとした店内に小さな声が響いた。
私の黒いものは、ぐるぐると回り続けていた。
もういいんだけど、なんだか釈然としない。
なんか、嫌だ。
「ちゃんと、学校で、自分が間違ってたって言いふらしてね。私、すごく居心地が悪かったし、内容が内容だけに嫁ぎ先を探すのも苦労したかもしれないのよ?そこはちゃんとしてね」
こくんと、下を向いたまま、ロザリーは了承した。
きらきらと何かが、下を向いたロザリーの顔からたくさん落ちた。
ずるい。こういうのに、私の黒いどろどろは、とても弱い。
「あとね。私も、そのいざかやに連れて行って。
おとうさんと、おかあさんも。できればカラムやニムルス、ここの常連さんも何人か。
席は用意しなくていいよ。試食会ね。費用はそっち持ちで。それで、今回のことはなしにしよう」
ロザリーが、少し顔を上げた。目が真っ赤で鼻水が出始めている。
ちょっと笑いそうになった。
黒くない方のぐるぐるが、ちょっと喜んだ。
さっとハンカチを渡す煌びやかなおじさん。
伊達に煌びやかじゃないね。
もう少しそのままでもよかったのに。ちょっとくらいぐちゃぐちゃになればいいんだ。ふん。
「……同業他社にレシピを明かさないって、さっき…」
ふう、と、わざとらしくため息を吐いて続ける。
うまく進めなきゃ。
「それは、うまく行ってる場合でしょ?
そっちは今、人が来る割には利益が上がっていない。なら、原因を突き止めなきゃ」
ロザリーと煌びやかなおじさんは、目を丸くしていた。
カラムとニムルスは、何か察したらしい。
うん、もうちょっとだから、もう少し黙ってて。
にやりとカラムに笑いかけると、カラムも笑い返した。
ふふ、わかってるね。
よし、もう少しだ。
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