本編開始前に悪役令嬢を断罪したらうちでバイト始めた

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第二章 悪役令嬢視点 断罪は終わらない

1.私の一日は、夕方に終わる

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私の一日は、夕方に終わる。
別に朝が早いんじゃない。夜に地獄のバイトがあるからだ。

「おい、ロザリー!こっち上がったぞ」
「はい!」
「ロザリーちゃん、ちょっとお塩取ってきてー」
「はい!!」


「ロザリーちゃあん、ここに埃残ってるよー?」
「……はい」


最後のはさすがにちょっと嫌だったわ。

つーっと窓の桟を指で撫でるな!
ふってするなふって!!
この忙しい時間帯に言うこと!?いや悪いの私よ?私だけどね?


乙女ゲームの主人公らしい、サラサラのピンクベージュの髪の毛。
きれいな緑色の大きな瞳。
恐ろしいまでに整った顔立ち。


リーナ。私のライバルたるべき存在だ。


やっぱり、この仕草は。
日本の昼ドラに出てくる姑のようないびりは。
私の中で、疑惑は確信に変わりつつある。

ねえ、まだ、あなた10才よね。おかしいよね?

私は、ひとつに束ねても頑固に縦ロールを貫く己の金髪をぶんと揺らし、あちらこちらと走り回る。


注文を取ったりお会計したりは、私にはまだむずかしくてできない。そこはリーナがやってくれている。
私はそれ以外の、開店前のお掃除や、料理やお酒を運んだり片付けをしたり、洗い物をしたり食料庫に何か取りに行ったりなど、雑用係だ。


はぁ、まさか本当に、まじめに働いていただけだったなんて。
心配して損した。ものすごく健全じゃないの、ここ。うちの居酒屋みたいに、ばか騒ぎするお客さんがいない分、雰囲気が落ち着いていて安心できるくらいだ。悔しいけど。


さあ、料理を運ばなきゃ。
うっ、オーク肉の串焼き……重い……。

手をぷるぷるさせる私を、リーナがにやにやしながら見ている。くそう、あいつめ。
本当にヒロインなの?意地悪なんですけど?
いや、私が悪い。がまん、がまん。



コペランディ王国、首都、ハーツィラム。

この街は、いつも冒険者や商人で溢れている。
大通りにはいつも沢山の人が行き交い、ダンジョンを攻略した後の祝勝会や、大口の取引が決まった祝いの席など、外食のきっかけには事欠かない。


でも、私の考案した居酒屋は。
この大通りから外れた目立たない場所にある小さな酒場に、ここに住むヒロインに、完敗した。

私が悪い。誤解していたんだ。


昔、リーナのことを信頼する侍女に調べてもらったことがあった。そして、リーナが実家の酒場で給仕をしていると知った。

酒場の給仕の女性は、客への性的なサービス要員。酒場は危険だ。近付いてはならないと、侍女から教えられた。

私は、怒りに震えた。
彼女はまだ幼女なのよ!?現代日本的感覚で犯罪よ?
あの、ゲームの中の、素直で純粋なヒロインが。
そんなひどい環境で生きているなんて、許せない。

ヒロインの素直な心が、登場人物のトラウマを次々と癒していくのを、私は涙を流しながら見ていたのだから。
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