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本編
第五話 シンプルパウンドケーキ
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その週末も、サリはいつものように父の商会で書類仕事の手伝いをする為に寮から実家へ帰っていた。
昼過ぎに今日のノルマとして渡されていた書類の清書を仕上げると、笑顔の父親から「上がっていい」と言われたのだ。
「前回はちょっと遅くまで突き合わせすぎてしまったからね。今日は早めに上がるといい」
そう言われて、サリは喜んで実家を出た。
前回は、相手の癖字を判読するのに時間が掛かってしまって門限ギリギリになってしまったのだ。
「そうだ。ちょっといいお土産を買って帰ることにしましょう」
サリは、遠方にある為実家に帰ることもできず寮で過ごしているクラスメイト達へ何か特別なお土産でも買って帰ることにしようと思い付き、サリに取って特別なとっておきを買う事にした。
なによりも、今日のサリには時間だけでなく予算という面でも余裕がある。
「仕事の報酬はキチンと払うよ。見習い価格だけれどね」
毎回ウインクしながら支払われる賃金だが、先々月に受けた資格試験に合格することができたので、今回からちょっぴりではあるが給金が上がっていたのだ。
「前回は何も買って帰れなかったもの。その分も残っているから、今日は奮発しちゃいましょう」
いつもは下町で売っている、数だけはたっぷり入っているシンプルな飴や焼き菓子など、安くて数がいっぱい入っているものを選んで買って帰っているのだが、今日はなんとなくお祝い気分もあって贅沢をしてみたくなったのだ。
そこで、サリは父の商会が経営しているカフェに向かうことにした。
季節の果物を使った華やかなデザートとそれに合わせて各種取り揃えた紅茶を楽しめるお店だが、店内飲食だけでなく持ち帰り用の売り場もある。
さすがにその店の新作ケーキを人数分というのは無理でもパウンドケーキを買うことはできる。一番シンプルなものにはなるが、それでも人数分に切り分けてひと口ずつでも皆でお喋りしながらなら楽しく食べることができるだろう。
「いらっしゃいませ。あら、サリお嬢様、表からお入りということは本日はお客様ですか?」
店長のハンナが笑顔で挨拶してくれるのに「そうなの。お給料で寮にお土産を買っていこうと思って」と返せば、「では本日最も高額な商品を……」とノリノリで返された。
「いやね。見習いのお給金が、そんな高額な訳ないでしょう? パウンドケーキを1本。一番安いのを下さい。リボンも箱も要らないわ。どうせすぐ食べちゃうし。紙で包んで下さいな」
「ハイ。お買い上げありがとうございます。ただいまお包み致しますので少々お待ちくださいませ」
「ありがとう」
サリは気心の知れた店長とお約束のやりとりを交わすと、包装を待つ間に店内を見回した。
隅々まで掃除が行き届いていることを確かめ、商品ディスプレイなどに一切の乱れがないことを確認してひとり愉悦を感じる。
商品として置かれている物はケーキだけではない。
ケーキと一緒にプレゼントできるような刺繍入りのハンカチや小さなアクセサリーにリボン。そして国内各地から運ばれてきたお酒。果物。お酒と果物に関してはこのカフェでケーキを作る為にも使用されている。
ケーキの味を気に入ったなら、それらを一緒に買って帰るのだ。
贈り物としても、女性陣へは甘い物を、男性陣へは酒を一緒に贈ることができると評判だった。統一感のある箱に丁寧に納めれば、受け取る側にも家族みんなへの贈り物だと喜んで貰えることになる。
つまり、王都の商業地内でも一等地に立つこのカフェは、ヴォーン商会の情報発信の場であり流行の穂口を掴むアンテナのようなものでもあるのだ。
この店で最も売れる物が、王都の流行を作っていく。
店が売りたいと思ってもそれが売れるとは限らない。
売れないものでも商会のポリシーとして仕入れを切ったりしないが、売れるならば最大限に売り込んでいく。それがサリの実家であるヴォーン商会である。
カフェなので、店の中では持ち帰る事の出来ない限定品や作りたてのケーキを紅茶と一緒に楽しめるとあって、午後のこの時間は結構な客入りがある。その盛況を背中で感じながら、サリはディスプレイに並べられた新作の美しいストールを眺め、うっとりしながら『沢山売れますように』と祈りを込めていると、不意に視界が暗くなった。
「ふむ。商会長の娘というものは、まるで自分こそがこの店のオーナーであるかのように店にいるのだな。それとも店の売り物は自分の物だとでも思っているのか」
余りに失礼な物言いに、サリは憤慨して振り向いた。
背の低い自分の視線の先には、美しい刺繍が施された織物だけが映っている。
そろそろと見上げれば、冷たい瞳がサリを見下ろしていた。
「教授」
キーンと耳の後ろで金属音が鳴り響き、サリは視界が昏くなっていくような不快さを、ごくりと唾を飲み込んでやり過ごした。
何か言わなくてはと焦るものの、不思議と舌が縺れて言葉が出ない。
「ふん。言い訳もなしか。事実でしかないならば、それも当然が」
つまらなそうに呟くと、教授はくるりと身体を翻し、姿勢よく出口へと歩き出した。
サリの膝が、ガクガクと震え出してそのまましゃがみ込みそうになった。けれどここで倒れてしまえば、大騒ぎになるだろう。そうすれば店に迷惑が掛かってしまうと思って、なんとか震える膝に力を入れて耐えた。
運よくなのか、非道な言葉を口にすることを誰にも知られたくないと教授も気を配ったのか、サリと教授の他には誰も近くにいなかった。
先ほどの教授の失礼な物言いは、他の客には聞かれていないだろう。
傍に誰もいなくてよかったと、ホッとする。
あれは間違いなく、伯爵からのヴォーン商会もしくはサリ自身への中傷だ。
吹けば飛ぶような一代爵でしかない成り立て准男爵家が運営する商会が、英雄と名高い魔法使いアーベル=シーラン伯爵から批難を受けたなど、たとえそれが事実無根の中傷でしかなかろうとスキャンダルでしかない。
悔しいが、王都に住むすべての人間における信頼度が違う。
先ほどは、あまりにもサリにとって教授が口にした批難の内容が慮外すぎて、頭の中で言葉として構築するのに時間が掛かり過ぎてしまったせいで反論すらできなかった。
「次に会った時には、きちんと説明できるかしら。ううん、ちゃんと分かってもらわなくては。だって私個人だけの話ではないもの」
あれは、ヴォーン商会自体への中傷と成り得る。
商会を私物化する家族がいるなど、明朗会計を謳っているヴォーン商会にとって恥辱でしかない。
ぎゅっと、両手を握り締め、次に顔を合せた時には必ず釈明をしてみせるのだと心に誓う。
けれど、そんな決意を横にして、サリは、あの冷たい瞳に見下ろされていると普段の自分が自負しているような働き者で真面目で博識な自分とはまったく違う、小さくて愚かなもうひとりのサリになった気がしてしまうようだった。
苦手だ。思えば、最初の出会いからしていけない。
サリはできることなら、もう二度とあの冷たい瞳で見下ろされることがないよう祈った。
「お待たせいたしました。パウンドケーキの準備が出来ました」
「……ありがとう」
にこやかに笑う店長から差し出されたそれを受け取る。
まだほのかに温かいパウンドケーキの包み紙を胸に抱いて、サリは足早に、逃げるようにして学園の寮への道を歩いていった。
その週末も、サリはいつものように父の商会で書類仕事の手伝いをする為に寮から実家へ帰っていた。
昼過ぎに今日のノルマとして渡されていた書類の清書を仕上げると、笑顔の父親から「上がっていい」と言われたのだ。
「前回はちょっと遅くまで突き合わせすぎてしまったからね。今日は早めに上がるといい」
そう言われて、サリは喜んで実家を出た。
前回は、相手の癖字を判読するのに時間が掛かってしまって門限ギリギリになってしまったのだ。
「そうだ。ちょっといいお土産を買って帰ることにしましょう」
サリは、遠方にある為実家に帰ることもできず寮で過ごしているクラスメイト達へ何か特別なお土産でも買って帰ることにしようと思い付き、サリに取って特別なとっておきを買う事にした。
なによりも、今日のサリには時間だけでなく予算という面でも余裕がある。
「仕事の報酬はキチンと払うよ。見習い価格だけれどね」
毎回ウインクしながら支払われる賃金だが、先々月に受けた資格試験に合格することができたので、今回からちょっぴりではあるが給金が上がっていたのだ。
「前回は何も買って帰れなかったもの。その分も残っているから、今日は奮発しちゃいましょう」
いつもは下町で売っている、数だけはたっぷり入っているシンプルな飴や焼き菓子など、安くて数がいっぱい入っているものを選んで買って帰っているのだが、今日はなんとなくお祝い気分もあって贅沢をしてみたくなったのだ。
そこで、サリは父の商会が経営しているカフェに向かうことにした。
季節の果物を使った華やかなデザートとそれに合わせて各種取り揃えた紅茶を楽しめるお店だが、店内飲食だけでなく持ち帰り用の売り場もある。
さすがにその店の新作ケーキを人数分というのは無理でもパウンドケーキを買うことはできる。一番シンプルなものにはなるが、それでも人数分に切り分けてひと口ずつでも皆でお喋りしながらなら楽しく食べることができるだろう。
「いらっしゃいませ。あら、サリお嬢様、表からお入りということは本日はお客様ですか?」
店長のハンナが笑顔で挨拶してくれるのに「そうなの。お給料で寮にお土産を買っていこうと思って」と返せば、「では本日最も高額な商品を……」とノリノリで返された。
「いやね。見習いのお給金が、そんな高額な訳ないでしょう? パウンドケーキを1本。一番安いのを下さい。リボンも箱も要らないわ。どうせすぐ食べちゃうし。紙で包んで下さいな」
「ハイ。お買い上げありがとうございます。ただいまお包み致しますので少々お待ちくださいませ」
「ありがとう」
サリは気心の知れた店長とお約束のやりとりを交わすと、包装を待つ間に店内を見回した。
隅々まで掃除が行き届いていることを確かめ、商品ディスプレイなどに一切の乱れがないことを確認してひとり愉悦を感じる。
商品として置かれている物はケーキだけではない。
ケーキと一緒にプレゼントできるような刺繍入りのハンカチや小さなアクセサリーにリボン。そして国内各地から運ばれてきたお酒。果物。お酒と果物に関してはこのカフェでケーキを作る為にも使用されている。
ケーキの味を気に入ったなら、それらを一緒に買って帰るのだ。
贈り物としても、女性陣へは甘い物を、男性陣へは酒を一緒に贈ることができると評判だった。統一感のある箱に丁寧に納めれば、受け取る側にも家族みんなへの贈り物だと喜んで貰えることになる。
つまり、王都の商業地内でも一等地に立つこのカフェは、ヴォーン商会の情報発信の場であり流行の穂口を掴むアンテナのようなものでもあるのだ。
この店で最も売れる物が、王都の流行を作っていく。
店が売りたいと思ってもそれが売れるとは限らない。
売れないものでも商会のポリシーとして仕入れを切ったりしないが、売れるならば最大限に売り込んでいく。それがサリの実家であるヴォーン商会である。
カフェなので、店の中では持ち帰る事の出来ない限定品や作りたてのケーキを紅茶と一緒に楽しめるとあって、午後のこの時間は結構な客入りがある。その盛況を背中で感じながら、サリはディスプレイに並べられた新作の美しいストールを眺め、うっとりしながら『沢山売れますように』と祈りを込めていると、不意に視界が暗くなった。
「ふむ。商会長の娘というものは、まるで自分こそがこの店のオーナーであるかのように店にいるのだな。それとも店の売り物は自分の物だとでも思っているのか」
余りに失礼な物言いに、サリは憤慨して振り向いた。
背の低い自分の視線の先には、美しい刺繍が施された織物だけが映っている。
そろそろと見上げれば、冷たい瞳がサリを見下ろしていた。
「教授」
キーンと耳の後ろで金属音が鳴り響き、サリは視界が昏くなっていくような不快さを、ごくりと唾を飲み込んでやり過ごした。
何か言わなくてはと焦るものの、不思議と舌が縺れて言葉が出ない。
「ふん。言い訳もなしか。事実でしかないならば、それも当然が」
つまらなそうに呟くと、教授はくるりと身体を翻し、姿勢よく出口へと歩き出した。
サリの膝が、ガクガクと震え出してそのまましゃがみ込みそうになった。けれどここで倒れてしまえば、大騒ぎになるだろう。そうすれば店に迷惑が掛かってしまうと思って、なんとか震える膝に力を入れて耐えた。
運よくなのか、非道な言葉を口にすることを誰にも知られたくないと教授も気を配ったのか、サリと教授の他には誰も近くにいなかった。
先ほどの教授の失礼な物言いは、他の客には聞かれていないだろう。
傍に誰もいなくてよかったと、ホッとする。
あれは間違いなく、伯爵からのヴォーン商会もしくはサリ自身への中傷だ。
吹けば飛ぶような一代爵でしかない成り立て准男爵家が運営する商会が、英雄と名高い魔法使いアーベル=シーラン伯爵から批難を受けたなど、たとえそれが事実無根の中傷でしかなかろうとスキャンダルでしかない。
悔しいが、王都に住むすべての人間における信頼度が違う。
先ほどは、あまりにもサリにとって教授が口にした批難の内容が慮外すぎて、頭の中で言葉として構築するのに時間が掛かり過ぎてしまったせいで反論すらできなかった。
「次に会った時には、きちんと説明できるかしら。ううん、ちゃんと分かってもらわなくては。だって私個人だけの話ではないもの」
あれは、ヴォーン商会自体への中傷と成り得る。
商会を私物化する家族がいるなど、明朗会計を謳っているヴォーン商会にとって恥辱でしかない。
ぎゅっと、両手を握り締め、次に顔を合せた時には必ず釈明をしてみせるのだと心に誓う。
けれど、そんな決意を横にして、サリは、あの冷たい瞳に見下ろされていると普段の自分が自負しているような働き者で真面目で博識な自分とはまったく違う、小さくて愚かなもうひとりのサリになった気がしてしまうようだった。
苦手だ。思えば、最初の出会いからしていけない。
サリはできることなら、もう二度とあの冷たい瞳で見下ろされることがないよう祈った。
「お待たせいたしました。パウンドケーキの準備が出来ました」
「……ありがとう」
にこやかに笑う店長から差し出されたそれを受け取る。
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