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13.エロワルト様バンザイ

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 そうして、私の選んだ答えは、正解だったようだ。

 

「ふふっ。やはり聡明な方だ。いつから私がそうだとお気付きに?」

「さぁ?」

 至極満足そうな表情になったエドワルドに、お腹の奥の方がきゅんってした。

 それを扇の陰にひた隠しにして、笑って見せる。



 ゲームで知ってたからなんていえる訳がないからね。



「私は本気ですよ。正式に、この国と御父上宛に申し込ませて頂いても?」

「……ご随意に。グラン王国の忠臣シンクレア公爵家一女アルテシア。陛下とシンクレア公爵が決めた縁談に、異を口にすることはございません。その時は誠心誠意努めさせていただきますわ」

 

 重ねて差し出された手を、それでも安易に取らず、淑女として礼を捧げる。

 最上級の一つ下ではあるものの、深い敬意を表すそれを、エドワルド皇太子殿下は大いに気に召したらしい。

 楽しそうな顔をして立ち上がると、だぼだぼのサイズの合っていない制服の上着を脱いだ。

 それだけでも漏れ出す色気が倍加したというのに。

 「すまない。この国の服は私には息苦しくてな』とか言いながら、首元のボタンを3つも外した。

 綺麗に焼けた筋肉質の胸筋がコンニチハしてる。酷い。なんてエロいんだ。

 こんなにエロいものを見せびらかされて触れないとは。どんな大サービスですか。



 脳内はとんでもなく忙しかったけれど、公爵令嬢としてアルテシアには、それを表情に出す訳にはいかないのである。

 悪役令嬢だからね! あくまで冷静に。悪巧みしないとね。



「おもしろい。実に気に入った。今日は素晴らしい日だ。至宝が我が手に還り、心躍る素晴らしい伴侶とめぐり逢えた」

 まだ伴侶じゃねぇ、とここで口にしてはいけない。

 それ位は、現実世界で干物になりかけの私でもわかる。



「せっかくの卒業パーティです。帰る前に、一曲くらい踊って頂けませんか?」

 差し出された手を、今度こそ笑顔で受け入れる。

 ここで断る手はない。是非堪能しよう。

 踊れるかわかんないけど、悪役令嬢アルテシアのポテンシャルを私は信じる。



 私がエドワルドからのダンスの申し込みを受け入れた空気を読んで、オーケストラが演奏の準備を始めた。

 私達に向けて、指揮者が軽く頷く。

 その合図を受け、安心してホールの中央へと歩み出た。



 そう。いきなり始まった断罪がぐっでぐでになったからアレだけど、今日は学園の卒業パーティなのだ。

 少しでも楽しい記憶のものにしたいと願う。

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