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しおりを挟む見た目も普通、頭がとても良いわけではないし、趣味も特に無く、至って平凡な女子中学生。それが私、黒金沙羅だ。
「美女になりたい...」
今日だけで十数回は言ったであろう言葉を呟く。
美女になりたい。
それは幼稚園の頃からの願いだった。
誰でも願うことだと思う。美女になれば色んな服も似合うし、高いブランドの物を頑張って買っても「ブスのくせに」なんて言われない。
それに...。
「おい、聞いてんのかよ」
こんな風に絡まれることもないし。
目の前で睨みを利かせながら騒ぐのはクラスでも一番ガラの悪い男、剛元琉木。髪を赤く染めており、オールバックの強面だ。
「聞いてます...」
「なら良い。...それで_______」
剛元さんはいつも私に絡んでくる。まぁ、他と違って暴力はないからマシだけど...。
他の人達はみんな怖がってるから、無理矢理話すのにはいじめられっ子である自分が丁度良いと思ったんだろうけど。
剛元さんが一頻り話して帰った後、直ぐに荷物を纏めて図書室へ向かう。
「失礼します」
ゆっくり扉を開くと、紙と木の匂いが鼻を通る。
やっぱり此処は落ち着くな、それに。
「黒金さん、今日も来てくれたんですね」
「はい、柊木先生」
突然聞こえた声に思わず笑みが溢れる。
柊木先生は数学担当の先生で柊木先生は数少ない私に対して普通に接してくれる人だ。
空いた窓から吹く風が先生の一つに括った黒髪を揺らす。
「今日も本を借りに来たのかい」
「はい。先生はいつも此処にいますね」
「あぁ、本は様々な知識を与えてくれるからね」
そう言うと先生は一冊の本を取り出す。
「いつも頑張っている君にプレゼントだ」
「え?」
渡されたのは一冊の古びた本。所々装飾がかかっており、高そうだ。
開いてみると、よくわからない言語で最初の一ページだけ何かが書いている。
「これは...」
「海外の古書店で昔買った物なんだが、この前家を整理していたら出てきてね。調べてみたらかなり昔の物だから、黒金さん、この前世界史が好きと言っていただろう?」
「はい、ありがとうございます!」
「喜んでくれたならよかった」
本を抱きしめ、柊木先生と別れて学校を出る。
だけど、この言語はなんだろう。
字体はアルファベットに近いけど、一部違う。文字が分かればどれくらいの年代のものでどこの国のものかわかるんだけど...。
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