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第1話
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石造りの天井から、水が一滴、ぽたりと落ちる。
死刑宣告をうけたおれが放り込まれたのは、魔術塔にある鉄格子に囲まれた牢だった。高い位置に設けられた小さな窓から、わずかに入る月光が湿った床へと落ちる。冷たい月明かりを見つめながら、おれはぽつりと呟いた。
「……享年20歳か。まさか前世よりも早死にするとはなぁ……」
冷たい石の床へと座りなおすと、足首に繋がれた鉄鎖がじゃらりと音を立てた。
この夜が明けたら、おれは絞首刑になる。
第一王子毒殺未遂事件──その犯人として。
まさかたった一日で、王宮魔術師から重罪人になるとは思わなかった。
いや……罪人に仕立て上げられたことは、まだ理屈として分かる。
おれは平民上がりの魔術師で、子どもの頃に両親を失っている天涯孤独の身だ。貴族のパトロンもいない。後ろ盾がないおれは、客観的に見れば、罪を擦り付けるにはうってつけの存在だろう。
一番ショックだったのは――おれは、下級魔術師としてこれまで真面目に働いていたつもりだったのに、誰一人おれを庇おうとしてくれなかったことだ。
おれがずっと補佐をつとめていた上級魔術師のヴェルナー様も、友人だと思っていた周囲の下級魔術師たちも――おれのために声をあげてくれる人は、一人もいなかった。
冤罪を着せられたことも、王宮魔導師としての地位を剥奪されたことも、悔しかった。
けれど、それ以上に苦しかったのは—――
今まで自分が信じて積み上げてきた魔術の研究も、魔術塔への献身も、何一つとして意味をないものだったのだと、そう突きつけられたことだ。
「……もしかすると、罰が当たったのかもしれないなぁ」
おれは乾いた自嘲を浮かべた。
実はおれには――前世の記憶がある。
おれが十歳になった時、両親は流行り病にかかり亡くなった。
がらんどうになった氷のように冷たい部屋で、恐怖と寂しさに震えながら思い出したのは、「日本」という国で過ごしていた天城ユウタという男の記憶だった。
天城ユウタは、26歳の若さでこの世を去った。
平凡なサラリーマンだったが、ひとつだけ誰にも譲れないものがあった――それが、ゲームだった。
末期の病を患い、病室から一歩も出られなくなっても、ユウタは小さな携帯ゲーム機を手放さなかった。
食事が喉を通らない日も、指が震えて操作がままならない日も、ゲームだけは続けていた。
中でも、彼が何度も周回プレイしていたのが『リフレイン・ラプソディ ~聖なる魔術塔と妖精の羽音~』という、名もなき魔術師の物語を描いたファンタジーRPGだった。
失敗してはセーブを巻き戻し、攻略本を読み込んで、魔術塔に隠された謎をときあかし、魔術の仕組みを理解していく。彼は最期の日まで、そのゲームを遊び続けていた。
そして、孤児院の小さな書庫で魔術書を読み漁っていた時――そのゲームの中で使われていた魔術が、この世界の魔術体系にも通用することに気がついたのだ。
そこでおれは、孤児院を卒業する年齢に達すると、魔術塔の下級魔術師職へと応募した。面接も筆記試験も実技も、前世の記憶と知識がおおいに助けてくれた。結果は見事に合格で、おれは晴れて上級魔術師ヴェルナー様の補佐役になった。
それからは、夢中だった。前世の知識を魔術に応用し、研究に活かした。
給料はおせじにも多いと言えるものではなく、生活は苦しかったけれど……魔術塔の仕事にはやりがいを感じていた。
辛いこともあったけれど――それでも、この日々がずっと続いていくものだと信じていたのに。
「前世の知識を使いまくってた罰があたったのかなぁ……」
乾いた声で独りごちたときだった。
牢に続く廊下の遠くから話し声が聞こえてきたのだ。規則正しい足音は、真っすぐにこちらへ近づいてくる。
おれは期待をこめて顔を上げた。
もしかすると、ヴェルナー様が会いにきてくれたのだろうか?
そうして――足音は、おれのいる鉄格子の前で止まった。
しかし、そこにいたのは、おれが思い浮かべていた他の誰でもなかった。驚きに目をみはり、彼の名前を呼ぶ。
まるで白磁のように滑らかな肌に、整った目鼻立ち。まるで絵本の挿絵から抜け出たように完璧な佇まい。
そう、彼こそは――
「……第二王子……イザーク殿下」
「──やあ、ユウリ」
背後に護衛の騎士をしたがえて現れたのは、月の光を引き寄せたような銀の髪と青い瞳を持つ男性――第二王子、イザーク殿下だった。
彼は護衛たちに離れているように手ぶりで示してから、鉄格子の前へと近づいた。
その仕草には、王族らしい品位と威圧感が漂っている。そうして彼は、まるで見世物でも眺めるように、牢の中のおれを見下ろした。
「気分はいかがかな、ユウリ。夜風は冷たくないかい?」
その声音は穏やかで、罪人への慈悲を含んでいるように聞こえた。けれど、どこかこちらを品定めするような響きがあった。
居心地の悪さに身じろぎをすると、おれを繋ぐ鉄鎖がガシャンと鈍い音を立てた。
その音を聞いたイザーク殿下は、唇にゆるやかな弧を描いて笑った。
「まさか君が兄上を毒殺しようとたくらむなんてね……いやはや、人は見かけによらないな」
「イザーク殿下、おれは……おれは誓ってカリス殿下の毒殺を企ててなどいません!」
首を横に振って、必死に声を張り上げると、イザーク殿下はわざとらしく片眉をわずかに上げてみせた。
「けれど、魔道具という証拠もそろっている。それに――君には動機もある」
「ど、動機ですか……?」
イザーク殿下は人差し指で顎に触れると、ことさらに間を取ってから唇を開いた。
「最近、ヴェルナーから兄上のもとへと君の籍を移す話があったそうじゃないか。しかし兄上の気が変わり、土壇場でご破算になったと関係者から証言が取れている。そして、そのことで君が兄上に失望し、恨みを抱いていたと……」
「ち、違います!」
おれは思わず声を荒げた。
不敬に当たるかもしれないけれど、そんなことを気にしている余裕はなかった。
「それはカリス殿下のご意向ではありません! ヴェルナー様がカリス殿下に異動を中止するよう進言しただけで――おれは、そんなことでカリス殿下を恨むようなことは決して……!」
「……うん、君ならそう言うと思ったよ。けれど、その言葉を信じて声をあげる者はいない。ヴェルナーだって君を見捨てた」
そう告げたイザーク殿下は、鉄格子に手をかけた。
「けれど……選択肢がまったくないわけじゃない」
「……選択肢、ですか?」
「そう。僕なら君を助けてあげることができる。明日の処刑を中止にし、罪状も覆すことだって可能だよ。……ただし、今度こそ僕のもとに来てくれるなら、だけど」
イザーク殿下の声は優しかった。
けれどその声音には、どこか優越感が含まれているのをひしひしと感じた。
「三年前――君は僕の誘いを断ったよね。でも、あの時はお互いに誤解があったのだと、水に流してあげようじゃないか」
「……あ、あの時は……!」
イザーク殿下の言葉に、思わず息を呑んだ。
確かに、おれは……三年前、イザーク殿下から「自分のもとへ来い」という誘いを断った。
でも、おれなんて所詮はただの下級魔術師だ。代わりはいくらでもいる。その証拠に、イザーク殿下の誘いを断ったことに対して、今までお咎めも𠮟責もなかった。
だから、あれは殿下の一時の戯れで、もう気にしていないものと思っていたのに……
「ただし、ひとつだけ条件がある」
イザーク殿下の青い瞳がじっとおれを見つめる。
微笑をまとった瞳の奥に、冷酷さのようなものが見え隠れしていて、身体がびくりと震えてしまった。イザーク殿下はそんなおれを見下ろして、満足気に笑みを深めた。
「じょ、条件……ですか?」
「ああ。君が、兄上を毒殺しようとしたと認めるんだ。素直に証言してくれれば、すべて丸く収めてあげよう」
「なっ……!?」
おれはぎょっとして目を見張った。
「そんな……おれは、やっていません! それに、それでは話が違います。処刑を中止にしてくださるって仰ったのは……」
「嘘は言っていないさ。処刑を中止にすることも、罪を軽くすることもできるよ。けれど、それはあくまでも君が素直に罪を認めて反省をしてくれたらの話だ」
「ですが、それでは……おれは王宮魔術師として、いえ、王国人として生きていくことができなくなります……第一王子の暗殺を企てた罪人なぞ、どこの誰も雇わないでしょう……」
「だから、僕のもとに来てくれたのなら、と言っているじゃないか」
イザーク殿下は先ほどまでの冷たい眼差しを打ち消すように、にこやかに笑った。
「今後の君の生活は僕が保証しよう。魔術研究だって、今まで通り続けられるように取り計らってあげる。ね、悪い話ではないだろう?」
悪い話ではない――たしかにその通りだった。
おれの命は助かるし、イザーク殿下のもとで研究も続けられる。
ヴェルナー様も他の魔術師たちも頼りにできないとなれば……今の状況でおれを助けることができるのは、この人だけだ。頷かない選択肢なんてない。
けれど、おれはそれでも――
「……い、いくら命と引き換えだとしても、やっていないことを、やったとは言えません……」
声が震える。視界が滲む。
けれど――どうしても「やった」とは言えなかった。
たとえそれが自分の運命を救う唯一の道だとしても、口にできなかった。
人を殺そうとしたと――それを認めてしまえば、おれが今まで積み重ねてきた日々も、想いも、信じてきたものも……全部、なかったことになってしまいそうだった。
「……そう。まあ、君はそういう子だよね」
意外にもイザーク殿下は、そう静かに呟いただった。
これで彼からの誘いを断るのは二度目になる。だというのに、怒りをあらわにすることも、おれの言葉を否定するそぶりもない。
そうして二人の間に静寂が降りたのは、どれほどのことだっただろうか。
やがてイザーク殿下は口元に微笑を浮かべたまま、ゆっくりと鉄格子から離れていった。
「……でも、死を目前にすれば、さすがの君も考えが変わるだろうさ。じゃあ明日――今度は絞首台で会おうね、ユウリ」
イザーク殿下は、まるで明日のデートでも約束するかのような気軽さで、こともなげに言ってから、軽く片手を振って去っていった。
足音が遠ざかり、鉄扉が閉じる音がしたあと、周囲は再び、完全な沈黙と薄闇に包まれる。
すると、自分の呼吸と心臓の鼓動が、がんがんと耳の奥でうるさく響き始めた。
冷たい石の壁に背中を預け、天井を見上げる。
目を閉じると、イザーク殿下の言葉が何度も何度も、耳の奥で繰り返された。
彼がいなくなった途端、命が助かる道を拒んでしまったという後悔と、死への恐怖が、胸の奥で重たく渦巻きはじめた。
「……どうして、こんなことに……」
声が震える。目の奥が熱い。
肩を抱くように両腕を回すと、自分の体がひどく冷えているのがわかった。
――その時だった。
「おっと、泣くにはまだ早いんじゃないの?」
「えっ……?」
場違いなほど軽やかな声が、牢の静寂をぶち破った。
反射的に顔をあげる。いつの間にか、フードを目深にかぶった黒衣の男が鉄格子の前にいた。
「えっ、え……!? だ、だれ!? いつの間にここに!?」
「おっ、いいねいいね! 死刑宣告されてユウリちゃんも落ち込んでるかなーと思ったけれど、それだけ叫べるならまだ元気そうじゃん!」
「な、なんでおれの名前を知って……!?」
鉄格子の前でぴたりと足を止めた彼は、冗談とも本気ともつかない笑い声をあげてフードをおろした。
暗闇に浮かび上がったのは、燃えるようなオレンジ色の髪と、翡翠を砕いたような澄んだ碧眼だった。
無駄のない輪郭と高い鼻梁を持つ顔立ちは整ってはいるが、掴みどころのない危うさを滲ませている。笑んだ口元から覗く白い八重歯は、どこか猛獣の牙のようだ。
「あー、そんなビビんないでよ。たしかに俺は暗殺者だけどさ? 堅気を殺すほど落ちぶれちゃいないからね!」
「あ、暗殺者!? じゃあ、おれを殺しに……!?」
「だからぁ、俺はイイ暗殺者だって言ってるじゃん! それにさー、放っておいても明日首吊るユウリちゃんをわざわざ殺しに来るわけないじゃん。コスパ悪すぎっしょ?」
「い、いい暗殺者ってなに……?」
けらけらと笑う黒ずくめの彼に、おれは呆然とするばかりだった。
気が付けば、牢に立ち込めていた重苦しい空気は、軽薄すぎる彼の声と雰囲気によって、あっという間に霧散している。
おれはごくりと唾を飲み込みながら、おそるおそる尋ねた。
「じゃあ、あなたは何をしにここへ……?」
「決まってるだろ? ユウリちゃんを攫いに来たんだよ」
軽く笑いながら答えた声音には、不思議なほど柔らかい響きがあった。
……どうしてだろう。
今、ほんの一瞬、なつかしい人の声を思い出した。
三年前にイザーク殿下によって処刑された、おれのたったひとりの友人。もう、とうの昔に失われたはずの人の面影を思い出したのだ。
どうしてこんな時に思い出したのだろう。それに、目の前の男とは、髪も、瞳も、話し方も佇まいも……なにもかもが違うのに。
おれは慌てて首を横に振り、脳裏の幻想を振り払った。そして、鉄格子越しに男を見上げようとして――おれの体はぎくりと固まった。いつの間にか、男は鉄格子越しではなく、おれの目と鼻の先にいたのだ。
「なっ!? ど、どうやって鍵を……!?」
「えー? あんなクッソぬるい錠前、俺にとっちゃ朝飯前よ?」
見れば、扉は開け放たれて、錆びついた蝶番がわずかに揺れていた。キィ、キィ、と乾いた音を立てるそれを、おれはあんぐりと口をあけて見つめる。
呆然としていると、不意に、身体がふわりと浮き上がった。
同時に、何かががしゃんと地面に落ちる音が響く。
「えっ……?」
気づいた時には、おれの身体は黒ずくめの男の腕の中にあった。一拍遅れて、先ほどの音は、おれの身体を繋いでいた鉄鎖が外れた音だということに気がついた。
まるで子どもを抱き上げるように軽々とおれを抱き上げた男は、おどけた仕草で肩をすくめた。
「じゃあ、この先は静かにしててね? 衛兵に見つかったら最後、朝が来る前に人生終わっちゃうからさ! ……なーんてね、このゼロ様に限ってそんなヘマするわけないけど?」
「ちょ、ちょっと!? せめて詳しい説明を……!」
気がつけば、鉄格子は背後に遠ざかっている。
そうして、どこへ行くのか、彼が誰なのかもわからないまま――おれは、闇のなかへと連れ去られたのだった。
死刑宣告をうけたおれが放り込まれたのは、魔術塔にある鉄格子に囲まれた牢だった。高い位置に設けられた小さな窓から、わずかに入る月光が湿った床へと落ちる。冷たい月明かりを見つめながら、おれはぽつりと呟いた。
「……享年20歳か。まさか前世よりも早死にするとはなぁ……」
冷たい石の床へと座りなおすと、足首に繋がれた鉄鎖がじゃらりと音を立てた。
この夜が明けたら、おれは絞首刑になる。
第一王子毒殺未遂事件──その犯人として。
まさかたった一日で、王宮魔術師から重罪人になるとは思わなかった。
いや……罪人に仕立て上げられたことは、まだ理屈として分かる。
おれは平民上がりの魔術師で、子どもの頃に両親を失っている天涯孤独の身だ。貴族のパトロンもいない。後ろ盾がないおれは、客観的に見れば、罪を擦り付けるにはうってつけの存在だろう。
一番ショックだったのは――おれは、下級魔術師としてこれまで真面目に働いていたつもりだったのに、誰一人おれを庇おうとしてくれなかったことだ。
おれがずっと補佐をつとめていた上級魔術師のヴェルナー様も、友人だと思っていた周囲の下級魔術師たちも――おれのために声をあげてくれる人は、一人もいなかった。
冤罪を着せられたことも、王宮魔導師としての地位を剥奪されたことも、悔しかった。
けれど、それ以上に苦しかったのは—――
今まで自分が信じて積み上げてきた魔術の研究も、魔術塔への献身も、何一つとして意味をないものだったのだと、そう突きつけられたことだ。
「……もしかすると、罰が当たったのかもしれないなぁ」
おれは乾いた自嘲を浮かべた。
実はおれには――前世の記憶がある。
おれが十歳になった時、両親は流行り病にかかり亡くなった。
がらんどうになった氷のように冷たい部屋で、恐怖と寂しさに震えながら思い出したのは、「日本」という国で過ごしていた天城ユウタという男の記憶だった。
天城ユウタは、26歳の若さでこの世を去った。
平凡なサラリーマンだったが、ひとつだけ誰にも譲れないものがあった――それが、ゲームだった。
末期の病を患い、病室から一歩も出られなくなっても、ユウタは小さな携帯ゲーム機を手放さなかった。
食事が喉を通らない日も、指が震えて操作がままならない日も、ゲームだけは続けていた。
中でも、彼が何度も周回プレイしていたのが『リフレイン・ラプソディ ~聖なる魔術塔と妖精の羽音~』という、名もなき魔術師の物語を描いたファンタジーRPGだった。
失敗してはセーブを巻き戻し、攻略本を読み込んで、魔術塔に隠された謎をときあかし、魔術の仕組みを理解していく。彼は最期の日まで、そのゲームを遊び続けていた。
そして、孤児院の小さな書庫で魔術書を読み漁っていた時――そのゲームの中で使われていた魔術が、この世界の魔術体系にも通用することに気がついたのだ。
そこでおれは、孤児院を卒業する年齢に達すると、魔術塔の下級魔術師職へと応募した。面接も筆記試験も実技も、前世の記憶と知識がおおいに助けてくれた。結果は見事に合格で、おれは晴れて上級魔術師ヴェルナー様の補佐役になった。
それからは、夢中だった。前世の知識を魔術に応用し、研究に活かした。
給料はおせじにも多いと言えるものではなく、生活は苦しかったけれど……魔術塔の仕事にはやりがいを感じていた。
辛いこともあったけれど――それでも、この日々がずっと続いていくものだと信じていたのに。
「前世の知識を使いまくってた罰があたったのかなぁ……」
乾いた声で独りごちたときだった。
牢に続く廊下の遠くから話し声が聞こえてきたのだ。規則正しい足音は、真っすぐにこちらへ近づいてくる。
おれは期待をこめて顔を上げた。
もしかすると、ヴェルナー様が会いにきてくれたのだろうか?
そうして――足音は、おれのいる鉄格子の前で止まった。
しかし、そこにいたのは、おれが思い浮かべていた他の誰でもなかった。驚きに目をみはり、彼の名前を呼ぶ。
まるで白磁のように滑らかな肌に、整った目鼻立ち。まるで絵本の挿絵から抜け出たように完璧な佇まい。
そう、彼こそは――
「……第二王子……イザーク殿下」
「──やあ、ユウリ」
背後に護衛の騎士をしたがえて現れたのは、月の光を引き寄せたような銀の髪と青い瞳を持つ男性――第二王子、イザーク殿下だった。
彼は護衛たちに離れているように手ぶりで示してから、鉄格子の前へと近づいた。
その仕草には、王族らしい品位と威圧感が漂っている。そうして彼は、まるで見世物でも眺めるように、牢の中のおれを見下ろした。
「気分はいかがかな、ユウリ。夜風は冷たくないかい?」
その声音は穏やかで、罪人への慈悲を含んでいるように聞こえた。けれど、どこかこちらを品定めするような響きがあった。
居心地の悪さに身じろぎをすると、おれを繋ぐ鉄鎖がガシャンと鈍い音を立てた。
その音を聞いたイザーク殿下は、唇にゆるやかな弧を描いて笑った。
「まさか君が兄上を毒殺しようとたくらむなんてね……いやはや、人は見かけによらないな」
「イザーク殿下、おれは……おれは誓ってカリス殿下の毒殺を企ててなどいません!」
首を横に振って、必死に声を張り上げると、イザーク殿下はわざとらしく片眉をわずかに上げてみせた。
「けれど、魔道具という証拠もそろっている。それに――君には動機もある」
「ど、動機ですか……?」
イザーク殿下は人差し指で顎に触れると、ことさらに間を取ってから唇を開いた。
「最近、ヴェルナーから兄上のもとへと君の籍を移す話があったそうじゃないか。しかし兄上の気が変わり、土壇場でご破算になったと関係者から証言が取れている。そして、そのことで君が兄上に失望し、恨みを抱いていたと……」
「ち、違います!」
おれは思わず声を荒げた。
不敬に当たるかもしれないけれど、そんなことを気にしている余裕はなかった。
「それはカリス殿下のご意向ではありません! ヴェルナー様がカリス殿下に異動を中止するよう進言しただけで――おれは、そんなことでカリス殿下を恨むようなことは決して……!」
「……うん、君ならそう言うと思ったよ。けれど、その言葉を信じて声をあげる者はいない。ヴェルナーだって君を見捨てた」
そう告げたイザーク殿下は、鉄格子に手をかけた。
「けれど……選択肢がまったくないわけじゃない」
「……選択肢、ですか?」
「そう。僕なら君を助けてあげることができる。明日の処刑を中止にし、罪状も覆すことだって可能だよ。……ただし、今度こそ僕のもとに来てくれるなら、だけど」
イザーク殿下の声は優しかった。
けれどその声音には、どこか優越感が含まれているのをひしひしと感じた。
「三年前――君は僕の誘いを断ったよね。でも、あの時はお互いに誤解があったのだと、水に流してあげようじゃないか」
「……あ、あの時は……!」
イザーク殿下の言葉に、思わず息を呑んだ。
確かに、おれは……三年前、イザーク殿下から「自分のもとへ来い」という誘いを断った。
でも、おれなんて所詮はただの下級魔術師だ。代わりはいくらでもいる。その証拠に、イザーク殿下の誘いを断ったことに対して、今までお咎めも𠮟責もなかった。
だから、あれは殿下の一時の戯れで、もう気にしていないものと思っていたのに……
「ただし、ひとつだけ条件がある」
イザーク殿下の青い瞳がじっとおれを見つめる。
微笑をまとった瞳の奥に、冷酷さのようなものが見え隠れしていて、身体がびくりと震えてしまった。イザーク殿下はそんなおれを見下ろして、満足気に笑みを深めた。
「じょ、条件……ですか?」
「ああ。君が、兄上を毒殺しようとしたと認めるんだ。素直に証言してくれれば、すべて丸く収めてあげよう」
「なっ……!?」
おれはぎょっとして目を見張った。
「そんな……おれは、やっていません! それに、それでは話が違います。処刑を中止にしてくださるって仰ったのは……」
「嘘は言っていないさ。処刑を中止にすることも、罪を軽くすることもできるよ。けれど、それはあくまでも君が素直に罪を認めて反省をしてくれたらの話だ」
「ですが、それでは……おれは王宮魔術師として、いえ、王国人として生きていくことができなくなります……第一王子の暗殺を企てた罪人なぞ、どこの誰も雇わないでしょう……」
「だから、僕のもとに来てくれたのなら、と言っているじゃないか」
イザーク殿下は先ほどまでの冷たい眼差しを打ち消すように、にこやかに笑った。
「今後の君の生活は僕が保証しよう。魔術研究だって、今まで通り続けられるように取り計らってあげる。ね、悪い話ではないだろう?」
悪い話ではない――たしかにその通りだった。
おれの命は助かるし、イザーク殿下のもとで研究も続けられる。
ヴェルナー様も他の魔術師たちも頼りにできないとなれば……今の状況でおれを助けることができるのは、この人だけだ。頷かない選択肢なんてない。
けれど、おれはそれでも――
「……い、いくら命と引き換えだとしても、やっていないことを、やったとは言えません……」
声が震える。視界が滲む。
けれど――どうしても「やった」とは言えなかった。
たとえそれが自分の運命を救う唯一の道だとしても、口にできなかった。
人を殺そうとしたと――それを認めてしまえば、おれが今まで積み重ねてきた日々も、想いも、信じてきたものも……全部、なかったことになってしまいそうだった。
「……そう。まあ、君はそういう子だよね」
意外にもイザーク殿下は、そう静かに呟いただった。
これで彼からの誘いを断るのは二度目になる。だというのに、怒りをあらわにすることも、おれの言葉を否定するそぶりもない。
そうして二人の間に静寂が降りたのは、どれほどのことだっただろうか。
やがてイザーク殿下は口元に微笑を浮かべたまま、ゆっくりと鉄格子から離れていった。
「……でも、死を目前にすれば、さすがの君も考えが変わるだろうさ。じゃあ明日――今度は絞首台で会おうね、ユウリ」
イザーク殿下は、まるで明日のデートでも約束するかのような気軽さで、こともなげに言ってから、軽く片手を振って去っていった。
足音が遠ざかり、鉄扉が閉じる音がしたあと、周囲は再び、完全な沈黙と薄闇に包まれる。
すると、自分の呼吸と心臓の鼓動が、がんがんと耳の奥でうるさく響き始めた。
冷たい石の壁に背中を預け、天井を見上げる。
目を閉じると、イザーク殿下の言葉が何度も何度も、耳の奥で繰り返された。
彼がいなくなった途端、命が助かる道を拒んでしまったという後悔と、死への恐怖が、胸の奥で重たく渦巻きはじめた。
「……どうして、こんなことに……」
声が震える。目の奥が熱い。
肩を抱くように両腕を回すと、自分の体がひどく冷えているのがわかった。
――その時だった。
「おっと、泣くにはまだ早いんじゃないの?」
「えっ……?」
場違いなほど軽やかな声が、牢の静寂をぶち破った。
反射的に顔をあげる。いつの間にか、フードを目深にかぶった黒衣の男が鉄格子の前にいた。
「えっ、え……!? だ、だれ!? いつの間にここに!?」
「おっ、いいねいいね! 死刑宣告されてユウリちゃんも落ち込んでるかなーと思ったけれど、それだけ叫べるならまだ元気そうじゃん!」
「な、なんでおれの名前を知って……!?」
鉄格子の前でぴたりと足を止めた彼は、冗談とも本気ともつかない笑い声をあげてフードをおろした。
暗闇に浮かび上がったのは、燃えるようなオレンジ色の髪と、翡翠を砕いたような澄んだ碧眼だった。
無駄のない輪郭と高い鼻梁を持つ顔立ちは整ってはいるが、掴みどころのない危うさを滲ませている。笑んだ口元から覗く白い八重歯は、どこか猛獣の牙のようだ。
「あー、そんなビビんないでよ。たしかに俺は暗殺者だけどさ? 堅気を殺すほど落ちぶれちゃいないからね!」
「あ、暗殺者!? じゃあ、おれを殺しに……!?」
「だからぁ、俺はイイ暗殺者だって言ってるじゃん! それにさー、放っておいても明日首吊るユウリちゃんをわざわざ殺しに来るわけないじゃん。コスパ悪すぎっしょ?」
「い、いい暗殺者ってなに……?」
けらけらと笑う黒ずくめの彼に、おれは呆然とするばかりだった。
気が付けば、牢に立ち込めていた重苦しい空気は、軽薄すぎる彼の声と雰囲気によって、あっという間に霧散している。
おれはごくりと唾を飲み込みながら、おそるおそる尋ねた。
「じゃあ、あなたは何をしにここへ……?」
「決まってるだろ? ユウリちゃんを攫いに来たんだよ」
軽く笑いながら答えた声音には、不思議なほど柔らかい響きがあった。
……どうしてだろう。
今、ほんの一瞬、なつかしい人の声を思い出した。
三年前にイザーク殿下によって処刑された、おれのたったひとりの友人。もう、とうの昔に失われたはずの人の面影を思い出したのだ。
どうしてこんな時に思い出したのだろう。それに、目の前の男とは、髪も、瞳も、話し方も佇まいも……なにもかもが違うのに。
おれは慌てて首を横に振り、脳裏の幻想を振り払った。そして、鉄格子越しに男を見上げようとして――おれの体はぎくりと固まった。いつの間にか、男は鉄格子越しではなく、おれの目と鼻の先にいたのだ。
「なっ!? ど、どうやって鍵を……!?」
「えー? あんなクッソぬるい錠前、俺にとっちゃ朝飯前よ?」
見れば、扉は開け放たれて、錆びついた蝶番がわずかに揺れていた。キィ、キィ、と乾いた音を立てるそれを、おれはあんぐりと口をあけて見つめる。
呆然としていると、不意に、身体がふわりと浮き上がった。
同時に、何かががしゃんと地面に落ちる音が響く。
「えっ……?」
気づいた時には、おれの身体は黒ずくめの男の腕の中にあった。一拍遅れて、先ほどの音は、おれの身体を繋いでいた鉄鎖が外れた音だということに気がついた。
まるで子どもを抱き上げるように軽々とおれを抱き上げた男は、おどけた仕草で肩をすくめた。
「じゃあ、この先は静かにしててね? 衛兵に見つかったら最後、朝が来る前に人生終わっちゃうからさ! ……なーんてね、このゼロ様に限ってそんなヘマするわけないけど?」
「ちょ、ちょっと!? せめて詳しい説明を……!」
気がつけば、鉄格子は背後に遠ざかっている。
そうして、どこへ行くのか、彼が誰なのかもわからないまま――おれは、闇のなかへと連れ去られたのだった。
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だが、彼が望んだのは「何の能力もない第三王子」だった。
顔だけ王子と蔑まれ、周囲から期待されなかったリュシアン。
過労で倒れた勇者に、ただ優しく手を伸ばしただけの彼は、
気づかぬうちに勇者の心を奪っていた。
「それでも俺は、あなたがいいんです」
だけど――勇者は彼を「姫」だと誤解していた。
切なさとすれ違い、
それでも惹かれ合う二人の、
優しくて不器用な恋の物語。
全8話。
【8話完結】いじめられっ子だった僕が、覚醒したら騎士団長に求愛されました
キノア9g
BL
いじめられ続けた僕は、ある日突然、異世界に転移した。
けれど、勇者として歓迎されたのは、僕を苦しめてきた“あいつ”の方。僕は無能と決めつけられ、誰からも相手にされなかった。
そんな僕に手を差し伸べてくれたのは、冷酷と恐れられる騎士団長・ジグルドだった。
なのに、あいつの命令で、僕は彼に嘘の告白をしてしまう――「ジグルドさんのことが、好きなんです」
それが、すべての始まりだった。
あの日から彼は、僕だけをまっすぐ見つめてくる。
僕を守る手は、やさしく、強くて、どこまでも真剣だった。
だけど僕には、まだ知られていない“力”がある。
過去の傷も、偽りの言葉も超えて、彼の隣にいてもいいのだろうか。
これは、いじめられっ子の僕が“愛されること”を知っていく、嘘と覚醒の物語。
全8話。
ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜
キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」
(いえ、ただの生存戦略です!!)
【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】
生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。
ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。
のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。
「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。
「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。
「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」
なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!?
勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。
捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!?
「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」
ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます!
元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!
「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
【8話完結】魔王討伐より、不機嫌なキミを宥める方が難易度「SSS」なんだが。
キノア9g
BL
世界を救った英雄の帰還先は、不機嫌な伴侶の待つ「絶対零度」の我が家でした。
あらすじ
「……帰りたい。今すぐ、愛する彼のもとへ!」
魔王軍の幹部を討伐し、王都の凱旋パレードで主役を務める聖騎士カイル。
民衆が英雄に熱狂する中、当の本人は生きた心地がしていなかった。
なぜなら、遠征の延長を愛する伴侶・エルヴィンに「事後報告」で済ませてしまったから……。
意を決して帰宅したカイルを迎えたのは、神々しいほどに美しいエルヴィンの、氷のように冷たい微笑。
機嫌を取ろうと必死に奔走するカイルだったが、良かれと思った行動はすべて裏目に出てしまい、家庭内での評価は下がる一方。
「人類最強の男に、家の中まで支配させてあげるもんですか」
毒舌、几帳面、そして誰よりも不器用な愛情。
最強の聖騎士といえど、愛する人の心の機微という名の迷宮には、聖剣一本では太刀打ちできない。
これは、魔王討伐より遥かに困難な「伴侶の機嫌取り」という最高難易度クエストに挑む、一途な騎士の愛と受難の記録。
全8話。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
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