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調査から戻ったガスパルは魔核についてこう述べた。
「どうやら同胞の死体から魔核が作られたようです、その数は数千体……惨いことです」
歯噛みして悔しがるガスパルは手の平から血が滲んでいた、仲間が多数やられたとあって思う所があるらしい。

「うむ、まぁ待て、その数千の命は私が蘇らせよう」
魔王ルチアは軽々とそう言ってのけた、Lv999は伊達ではないようだ。その前に憎きマリエラ・アマールを討たなければならない。

「売られた喧嘩は買わねばな、そうであろう?」
「はい!その通りでございます」

神具級の魔核を作ったマリエラは恐らく前世の記憶を悪用したと思って間違いない。だが、それでも腑に落ちない部分があった。
「仮に作れたとしてどうやった?……まさか運営側なのか」
「うんえい?とは何でしょうか」
ガスパルは不思議そうに問う、この世界の一部でしかない彼はわかりようがない。

「あ~運営な……この世を作った神のような存在だな」
「なんと!?マリエラは神だと言うのですか!」
「ああ、そんなようなものだ。クズくて狡い悪神とでも言うか、ある意味魔王以上かもしれん」

そうとしか思えない所業を見てルチアは臍を噛む。

「参ったな、まさか運営側の人間が転生していたなんて、いや憶測にすぎないけど」
こうなってしまっては何でもありになってしまうと彼女は恐れた、魔王に転生して初めての感覚だ。ルチアが転生者だと知られるのはかなり拙い。


***

「スゴイ!凄いよマリエラ!あっという間に数千の魔物を倒してしまうなんて」
「ふふん、そうでしょう?それに魔核さえあればなんだって出来ちゃうの!」

黑く禍々しいその玉を彼女は撫でていた、さすがに腹に入れるのは躊躇ったのか持っているだけにした。
「魔核は取り込んだものを変化させちゃうから、この可愛い私が真の魔王になったら醜くなっちゃうものね」
「へ、へぇそうなんだ……」

行動を共にしていたパワド・ロックメントはゴクリと唾を飲んだ。もし、それを自身が奪い、取り込んだらと密かに思っていた。だが、それにはマリエラを出し抜かなくてはならない。

彼女はアフォだったが、油断ならない人物だ。
好感度を上げる恋のクッキーも彼女ならばいとも容易く作ってしまうのだから。

「この世は私の為にあるのぉ、何でもかんでも思いのまま……そうでなくてはならないの!なのに、どうして上手くいかないのか……」
キャラクターたちに自我が芽生えたことが彼女の誤算と言えた。

目の前にいるパワドさえ自我を持ち彼女の意のままにとはいかない。恋のクッキーで恋心を抱かせたが、油断するとすぐに好感度は下がってしまう。

「さあ、今日の分よ。食べなさい」
「あ、ああ」
彼はハート形のそれを手に取ると恐る恐る口にした。






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