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断罪 追い出された一家
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エレンディアの依頼で、有能な弁護士はサクサクと真価を発揮してあっという間にメルゾニア家を窮地に追い込んでしまった。
差押札でいっぱいになった侯爵家は住めるような状態ではなくなった。調度品をはじめ衣類、寝具、雑貨など使えそうなものはすべて裁判所に押さえられてしまったのだ。
「ど、どうして!?私のドレス袖すら通してないものがあるのに……指輪にネックレス全部一点物の特注なのよ!買い直すのも容易ではないのよ!」
「やめろ、屋敷が丸ごと借金で取られたんだ……喚いてどうにかなるものではない」
「で、でも!私達は王様に加護される貴族なのよ?どうして誰も手を差し伸べないのよ!こんなの可笑しい!間違っているわ」
得意の癇癪を発揮した夫人に手を焼く夫は門外へ追いやられたそこで頽れた。そこにある人物が現れて切れまくる婦人に告げる。
「もう貴族ではないですよ、諦めなさい。我が王は大変ご立腹だ。あの方が託した愛すべき民を蔑ろにしてきた罪は重いのですよ。裁判をかけるまでもないとのご判断だ」
城から派遣されてきた事務官は「王は英断された、尊き国の父に誉れあれ」と宣う。
彼は立ち退きの様子を確認しに現れたようだ。
「あ、貴方!王直属の事務官なのでしょう!どうか執り成して頂戴よぉ!私達住む家すらないのよ!どうしたらいいの?犬猫みたいに木陰で暮らせと言うの!絶対に嫌!お金をお金を頂戴!屋敷がないならホテルに棲むから」
いきなり無理難題な要求をしてきたベラリアに事務官は遠慮なく嫌そうな顔を作る。
「は?犬猫に失礼だ、私はネコを愛でるのが好きでしてな。一見そっけないがよくよく観察すればとても愛情深い生き物であるとわかる、実に尊い!愛猫のためならなんだって出来る」
「キィーーーーー!そんなこと聞いてないわよ!獣のことなんてどうでも宜しい!」
ヒステリックに喚き散らす夫人は抜か釘の如くな反応で返す事務官に掴みかかった。だが、なんなく往なされて道路へとすっ転ぶ。
「やれやれ、平民落ちした痴れ者が……私は公爵家の者だ、無体を働こうとした罪は許さん」
「ひぃ!?公爵家ですって」
地位名誉に弱いらしい夫人は土埃に塗れ破けた衣服にも頓着せずに青褪めて腰を抜かす。
「そこの騎士、元貴族婦人を牢屋にご案内して差し上げろ往来の邪魔だ。それから一家には諸々聞かねばならぬことがあるからな……裁判はせずとも調書は取らねばならん」
「はっ!畏まりました」
引き連れてきた護衛騎士のひとりに命令すると彼は元メルゾニア侯爵邸へ入って行った。
***
ガルデロイを除くメルゾニア一家は全員捕縛されて尋問されることとなった。王が預けた領土を食い物にしてきた背信行為の罪と合わせて、エレンディア嬢に与えた屈辱について糾弾される。
連日の厳しい尋問に、腐敗した果実以下にメンタルが脆い彼らはすぐに罪を吐いた。
「あの娘は長男に入れ込んでいました……だからそれを利用しようと妻が言い出した。懇意していた医者に精神科医がいて……催眠魔法とやらで記憶封じを行わせました、さらに傲慢で奔放な性格の矯正まで」
「うむ、なるほど……いっきに精神操作まで行ったせいで令嬢は昏睡に陥ったのだな?」
ことのあらましを聞いた尋問官は難しい顔をして書記官に目配せをする。
裏付けのために長男に尋問したところ、似たような証言が取れた。
「当時、求婚された際には私は愛する女性がいた、侯爵家が傾いていたことは知っていたが社交界で毒花と揶揄されたエレンをどうしても受け入れ難く……」
「ほお、なるほど。だが貴殿の母上がそれを許さなかった?」
「はい、母は贅沢が好きで金がなくとも気にしません、借金までしてドレスを買うのです。父は言いなりで窘めやしない。膨れ上がった借金額を聞かされた時は度肝を抜かれました。だから……苦渋の決断で結婚を」
意に添わぬ婚姻を押し付けられた彼は被害者側なのかもしれないが、両親と共に妻を蔑ろにしていたことは十分に罪と思われた。
「性悪だった毒婦とは言えエレンディア嬢には大恩があったのだろう?扱いが酷すぎやしないか?」
「……それは……その、八つ当たりというか、借金が完済したら離縁するつもりでしたから」
それを聞いた尋問官は身勝手さは両親と変わらないと彼に怒りをぶつける、語気荒い叱責にジャルドは身を竦めて小さく悲鳴をあげた。
最後に尋問を受けた諸悪の根源である母ベラリアは浮世離れした様子で取調室へ現れた。
年の割には美しい夫人だが性根の悪さが面相に滲み出ていると尋問官は印象を受ける。落ちぶれたせいで華やかさは影っていても高慢ちきさは崩れないようだ。
「私が何をしたのというの?使いきれないほどの財があるのなら婚家に分けるべきなのよ!私の美しい息子ジャルドと結婚させてあげたの!私の役に立って当然なのよ、小娘の価値なんてそれだけなんだから倉庫に金貨を山積みにしてなんの意味が?使ってこそのお金じゃないの、私はね使い方を教えてあげるために性格を従順に改造してあげたかった、でも失敗しちゃった。はぁ、勿体ない……あの娘はまだ1割も遺産を使ってないでしょうよ」
罪を吐露はしたものの、反省の色も懺悔の片鱗もみせやしない夫人を相手して尋問官は精神を削られ急激に疲労したという。
彼ら一家は身分剥奪だけでは足りず、国外追放処分となった。
遠く北の小さな島へ流刑と処断された世間知らずの一家は、果たして生き延びられるだろうか。
差押札でいっぱいになった侯爵家は住めるような状態ではなくなった。調度品をはじめ衣類、寝具、雑貨など使えそうなものはすべて裁判所に押さえられてしまったのだ。
「ど、どうして!?私のドレス袖すら通してないものがあるのに……指輪にネックレス全部一点物の特注なのよ!買い直すのも容易ではないのよ!」
「やめろ、屋敷が丸ごと借金で取られたんだ……喚いてどうにかなるものではない」
「で、でも!私達は王様に加護される貴族なのよ?どうして誰も手を差し伸べないのよ!こんなの可笑しい!間違っているわ」
得意の癇癪を発揮した夫人に手を焼く夫は門外へ追いやられたそこで頽れた。そこにある人物が現れて切れまくる婦人に告げる。
「もう貴族ではないですよ、諦めなさい。我が王は大変ご立腹だ。あの方が託した愛すべき民を蔑ろにしてきた罪は重いのですよ。裁判をかけるまでもないとのご判断だ」
城から派遣されてきた事務官は「王は英断された、尊き国の父に誉れあれ」と宣う。
彼は立ち退きの様子を確認しに現れたようだ。
「あ、貴方!王直属の事務官なのでしょう!どうか執り成して頂戴よぉ!私達住む家すらないのよ!どうしたらいいの?犬猫みたいに木陰で暮らせと言うの!絶対に嫌!お金をお金を頂戴!屋敷がないならホテルに棲むから」
いきなり無理難題な要求をしてきたベラリアに事務官は遠慮なく嫌そうな顔を作る。
「は?犬猫に失礼だ、私はネコを愛でるのが好きでしてな。一見そっけないがよくよく観察すればとても愛情深い生き物であるとわかる、実に尊い!愛猫のためならなんだって出来る」
「キィーーーーー!そんなこと聞いてないわよ!獣のことなんてどうでも宜しい!」
ヒステリックに喚き散らす夫人は抜か釘の如くな反応で返す事務官に掴みかかった。だが、なんなく往なされて道路へとすっ転ぶ。
「やれやれ、平民落ちした痴れ者が……私は公爵家の者だ、無体を働こうとした罪は許さん」
「ひぃ!?公爵家ですって」
地位名誉に弱いらしい夫人は土埃に塗れ破けた衣服にも頓着せずに青褪めて腰を抜かす。
「そこの騎士、元貴族婦人を牢屋にご案内して差し上げろ往来の邪魔だ。それから一家には諸々聞かねばならぬことがあるからな……裁判はせずとも調書は取らねばならん」
「はっ!畏まりました」
引き連れてきた護衛騎士のひとりに命令すると彼は元メルゾニア侯爵邸へ入って行った。
***
ガルデロイを除くメルゾニア一家は全員捕縛されて尋問されることとなった。王が預けた領土を食い物にしてきた背信行為の罪と合わせて、エレンディア嬢に与えた屈辱について糾弾される。
連日の厳しい尋問に、腐敗した果実以下にメンタルが脆い彼らはすぐに罪を吐いた。
「あの娘は長男に入れ込んでいました……だからそれを利用しようと妻が言い出した。懇意していた医者に精神科医がいて……催眠魔法とやらで記憶封じを行わせました、さらに傲慢で奔放な性格の矯正まで」
「うむ、なるほど……いっきに精神操作まで行ったせいで令嬢は昏睡に陥ったのだな?」
ことのあらましを聞いた尋問官は難しい顔をして書記官に目配せをする。
裏付けのために長男に尋問したところ、似たような証言が取れた。
「当時、求婚された際には私は愛する女性がいた、侯爵家が傾いていたことは知っていたが社交界で毒花と揶揄されたエレンをどうしても受け入れ難く……」
「ほお、なるほど。だが貴殿の母上がそれを許さなかった?」
「はい、母は贅沢が好きで金がなくとも気にしません、借金までしてドレスを買うのです。父は言いなりで窘めやしない。膨れ上がった借金額を聞かされた時は度肝を抜かれました。だから……苦渋の決断で結婚を」
意に添わぬ婚姻を押し付けられた彼は被害者側なのかもしれないが、両親と共に妻を蔑ろにしていたことは十分に罪と思われた。
「性悪だった毒婦とは言えエレンディア嬢には大恩があったのだろう?扱いが酷すぎやしないか?」
「……それは……その、八つ当たりというか、借金が完済したら離縁するつもりでしたから」
それを聞いた尋問官は身勝手さは両親と変わらないと彼に怒りをぶつける、語気荒い叱責にジャルドは身を竦めて小さく悲鳴をあげた。
最後に尋問を受けた諸悪の根源である母ベラリアは浮世離れした様子で取調室へ現れた。
年の割には美しい夫人だが性根の悪さが面相に滲み出ていると尋問官は印象を受ける。落ちぶれたせいで華やかさは影っていても高慢ちきさは崩れないようだ。
「私が何をしたのというの?使いきれないほどの財があるのなら婚家に分けるべきなのよ!私の美しい息子ジャルドと結婚させてあげたの!私の役に立って当然なのよ、小娘の価値なんてそれだけなんだから倉庫に金貨を山積みにしてなんの意味が?使ってこそのお金じゃないの、私はね使い方を教えてあげるために性格を従順に改造してあげたかった、でも失敗しちゃった。はぁ、勿体ない……あの娘はまだ1割も遺産を使ってないでしょうよ」
罪を吐露はしたものの、反省の色も懺悔の片鱗もみせやしない夫人を相手して尋問官は精神を削られ急激に疲労したという。
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