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独立篇

タコ退治

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依頼元のネフラブル村は、港町サウスエーグから東隣の漁村。

鯖に似た青魚と貝類などを主に獲っている、とても穏やかなところだ。

だが、穏やか過ぎて魔物に狙われてしまったようだ。



「うんうん、イイネ。いかにも地図にのらない最果ての寂れ村」

「地図にガッツリ載ってるし、最果てじゃないよ」すかさずバリラが突っ込む。

だよねー知ってる。





貝類が好物のデビルフィッシュ(巨大タコ)に居つかれてしまい、零れに群がった角笛魚がやりたい放題だという。

「タコといえばクラーケン」

「え、くら?」

……なんでもないよ。



杖をつきプルプル震えるいかにも「村長」って老人が俺達を迎える。

「遠いところ恐れ入ります、海岸で釣りさえままならず弱っております。どうか退治をお願いします」

「語尾は【ですじゃ】ではないんすね」

「はい?」

「なんでもないです」



さっきから何を言ってるんだとバリラ達がツッコム、うん、ほっといて。ゲーム脳が蘇っただけだから。

RPGがやりたい……ある意味リアルプレイしてるけど、そうじゃないんだよ。





「うーん、蛸の周辺で回遊してる角笛魚が邪魔だね。さきに殲滅すっか」

「「「了解」」」」

ぼっち討伐じゃない事を改めて実感して、すごく嬉しい。

だって、フラが氷魔法でサクサク荒くれ魚群を閉じ込めちゃうし。バリラがそれを粉砕してあっという間に終了。あのホーンを雑魚扱いだよ、凄すぎる。



「ちゃんと食える程度に痛めたから!」バリラがサムズアップしてウインクしてくる。

ほぼ瞬間冷凍だから血抜きしなくても新鮮だー。(棒)

ありがとう、美味しい鉄火丼作るね。





さぁ本命の巨大蛸の討伐にはいろうか。

対峙するとそれは想像よりバカでかかった、目測で足一本10m、全長30mってところ。

おいおいDランク推奨って間違ってない?





海上はこちらが不利だが仕方ない、小舟を数カ所浮かべ戦う。氷の足場も造ったが滑るから要注意。

「蛸は血抜き不要だからガンガンいこうぜ!」

その宣言通りバリラが特攻する、しかし弾力のあるアイツは刃を弾き飛ばす。



「ブニブニしてて斬り難い!それに、裂いた箇所から足が生えて増えてくよ。気持ち悪い!」

「氷の槍が刺さるとそこから足が生えるよぉ。きしょいよぉ」

フラが半べそになり戦意喪失気味、氷柱を作るのを止めてしまう。



まぁそういう性質だから……。

再生能力が異常に早いのは、やっぱ魔物の能力か。

長期戦はよろしくないぞ。



全体を凍らせ鈍らせたくても、蛸は波を大きくたて渦潮を作り阻止してくる。

そもそも海はデカ過ぎて、一人の魔法使いでは無理があった。

海中なので炎系はあまり効果はないし、魔力の無駄になるばかり。







体と頭を叩きたいのだがヤツが海中から出すのは足だけ、弱点の体部はナカナカ晒してくれない。

うーん。

「ティル、結界魔法をシャボン玉みたいに作れない?俺を包む空気袋を……」

「シャボンですか?具現できるかわかりませんが、やってみますわ」



ティルが詠唱をはじめた、素人の俺には言語が聞き取れない。

体の周囲が膜のようなもので覆われ視界が揺れた。



「成功ですわ、でも集中力と魔力消費がつらいので5分が限界です」

「了解。バリラは援護よろ、アイツの体内部から解体してくる。俺が浮いてきたら拾い上げてくれ」

「いーけど、沈んだらどうすんだ?私は潜水できん」



浮いてくるから絶対!

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