公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)

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フェインゼロス帝国篇

侯爵邸と招かれざる客

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モルティガの突然の申し出に、即断ったレオだったが拒否したにも関わらず付いてきてしまった。
「軒下で構いませんので」という彼を追い出そうにもおそらく無駄と諦め渋々許可した。


「ありがとうございますゥ!屋敷の警備はお任せください」
「近い近い近い!」


ゼロ距離で会話にくるモルティガにレオは気色悪さに震えた。


「良かったのレオ?」
「仕方ないだろ、追い立てた所で勝手に棲みつくだろうから」
「時々、お人好しだよねぇ。レオらしいけど」

「ご主人様!屋敷が見えてきましたよ!」
車窓を覗いていたジェイラが嬉しそうに報告する。


「あぁ、やっとか。結構な長旅だったな」
冬季限定の避難をした獣王国の日々を振り返って感慨深く目を閉じたレオ。
新年ということもあって、皆は些かテンションが高めだ。


馬車が止まると全員が凝り固まった体をグーッと伸ばした。
ちなみに馭者さんこと、マイクさんはこのままレオの屋敷で働いて貰うことになる。

早速、マイクさんの部屋を用意しなければと動くレオにネチコイ視線が絡む。

「……なに?軒下で良いんじゃなかったの」
「クフフ、レオ殿は理由なく冷遇するタイプに見えませんが?」

「チッ!部屋は許可するけど居室は荒れたままだからな、壁紙や寝具類は自己責任でやってくれよ!」
「心得てますよォ、これでも高給取りでしたからァ模様替えは好きにやります」

だったら他に家を買えるだろうにとレオは舌を出した。


***


門扉を開けてすぐに違和感を感じたレオは「警戒してくれ」と声をかけた。
何事かと緊張する仲間だ。

しかし、モルティガが早速本領発揮とばかりに蝙蝠に変身して邸内を飛び回った。
加えてジェイラも探索を使う。


「……ご主人様、屋敷内に人がいます。初老の男女ですね、薄汚い恰好をしてる」
ジェイラがそう報告するとレオは顔を顰める。

「初老の男女……?」
嫌な予感がレオを襲った。


モルティガが先に入室して不審者を捕らえたらしく、ふたつの苦悶の声が屋敷から聞こえた。
「仕事が早っ!さすが王家に仕えてた間諜なだけあるな」



どうやって侵入したのかを置いといて、モルティガに捕縛されたふたりの人間を見るやレオは頭痛をおぼえる。
「なんでいるんだ?法的に縁を切ったはずだがね」


グルグル巻きにされた男を遠慮なく踏みつけるレオはかなりご立腹だ。
踏まれて激高した不審者が声を荒げて叫ぶ。


「貴様!俺の息子の分際で、父親をなんだと思っている!」
「そうよ!無礼な子ね!早く縄を解いて謝りなさい!」


自称レオの親たちは、ギャイギャイと喚き散らして偉そうだった。
「相変わらず都合が悪いことは聞こえないんだな、他人のジジィとババァが」


レオは少年とは思えないとても低い声を発した。
「なんの用かしらないが、不法侵入したヤツに容赦しないから」


すぐに憲兵を呼びましょうと馭者のマイクさんが飛び出していった。
彼には見合った給金+ご褒美を払わなければとレオは感謝する。


憲兵が来るまでに騒がれても不快だと思ったレオは元両親に猿轡を掛けた。
元両親は、頭部が爆発するのではないかと思うほど顔を赤く染めてレオを睨んだ。


「んー、エドガーとミルはどうしたんだろ。まさか捨てたんじゃないだろうな」
「レオ、こいつらは誰なんだ?」


至極真っ当な質問をしたバリラに、レオは掻い摘んで説明した。
すると仲間が全員一致で怒り狂い、元両親に侮蔑の目を向けた。


「最低ですわ、図々しく上がり込むなんて!憲兵など呼ばずに消し炭にすべきです!」
「そーだよ!フラが裏庭でコンガリ焼いてやるもん!」
「その前に袋叩きにすべきだろ!簡単に死なせたらつまらん!」
「クフゥ……私の拷問でジワジワと心身を嬲って差し上げますよォ手始めに爪を剥いで指を潰して肉を1ミリづつ……目は潰しませんよ、恐怖を見せなければ楽しめないクフフフッ」


恐ろしいことをサラッという皆にジェイラだけが「コワッ!」とレオの後ろに下がった。
そして敵意を向けられた夫婦はガタガタ震え出した。
たかが小僧と見縊っていた二人は、今更にレオの仲間達に恐怖した。

「ふーふー!んぐぐふぅー!」
猿轡をなんとか外して何か訴えようとしているのか元父が必死で身を捩る。


「諦めの悪い……矜持ばっかりで中身が空っぽ。そういう所が大嫌いなんだよ!」

そう唾棄したレオに元父母はまたも蘇った怒りに顔を歪める。
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