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フェインゼロス帝国篇
王宮魔導士と護衛騎士
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翌朝、食卓で――。
「そもそもさ、たった三日で移動できると思ってんの?」
至極当然な疑問を、朝食の厚切りベーコンにかぶり付きながらバリラが言う。
しばしモゴモゴと苦しそうに咀嚼して、オレンジジュースを一気飲みした。
そして、書棚にあった地図を広げると、とある箇所を示す。
「帝国へ行くにはまっすぐとはいかない、敵国なんだから。北部から周るのもありだけど道が険し過ぎる。ここから南へ下って東に行ったとこにカルムソルって国があるだろ、ここを経由したほうが良い。帝国はそこには手出しできない事情がある。戦うには相性が悪くて過去の諍いで惨敗したから、未だに賠償金を払っているんだ」
バリラは5年前の小競り合いの話を簡単に説明した。
フラウットとジェイラは話についていけないのか、無関心そうにパンに噛みついている。
「でもさ、帝国のヤツはどうやって短期間で移動してんだ?」
レオの疑問にバリラが音量を落として答えた。
「帝国には空を駆ける手段がある、それ以上はここでは言えない……」
「そうか」
レオニードは苦手な地図に視線を落として唸る。
「うーん、どう考えても半月はかかるよなぁ。それに今の俺は不用意に行動できないし」
かつての親たちの愚行のとばっちりで、国の監視下にあるレオは帝国に渡るのは拙い所だ。
知らないふりをして生活をしているが、天井と屋敷周辺には常に監視が張り付いている。
レオニードは天井をチラリと見上げた、いまもそこに居る国の諜報員が聴き耳をたてているだろう。
モルティガが適度に邪魔をしているようだが、油断はできない。
「悪友にわがまま言ってみるか……あんま貸を作りたくないけどティルの為だからな」
<そういう事でしたら私にお任せを迅速にメッセージを送りますゥ>
いつの間にか背後に控えていたモルティガが、レオニードの耳元で囁いたものだから悲鳴をあげる。
「ンギャー!お前は距離感がおかしいってば!」
「クフゥ♪」
***
火急な要請だったにも拘わらず、レオニードの願いはあっさり通ることになった。
それには、とある事情が絡む。
ガルディ王に連絡を取って二日後の午前、彼らは侯爵邸へやって来た。
「急遽派遣されました、王宮魔導士ディタと申します。後ろに控えますは護衛のキンガルです」
覆面を被り青いローブを纏った小柄な魔導士が自己紹介してきた。
「うん、よろしくディタさん。それと―――――……なにしてんだガルディ」
「あれ?ばれた?認識疎外の腕輪つけてんのに、やっぱ即席で作らせたのは駄目だなぁ」
鑑定スキル持ちのレオニードが容易く見破ったことにガルディは驚く。
テトラビス国王にして悪友のガルディが一般騎士兵の鉄鎧をガチャガチャさせて愉快そうに笑った。
「おーまーえー!ちっとは為政者らしくなったと感心してとこなのに!」
「為政者だよ俺。ちゃんと政務はこなしてるぞ、1週間くらい留守しても問題ないほどにな。それから監視は外した安心してくれ」
そういう事じゃないだろうとレオニードは諌言したが王の耳には右から左である。
「一番護衛が必要なヤツが自ら護衛って……巫山戯んな!」
「まぁまぁ、ディタは優秀だから平気だ。お前の精度の高い鑑定だって弾いたろ?」
「う、まぁ確かに彼は鑑定不可だな」
レオニードは少し悔しそうに眉を下げて改めて魔導士を見る。
【職業スキル:a蜑」悶繝ゥsty繝ウ繝あ峨?繧ケ繧s齟xzわls】
補助スキル:鑑定不可
:鑑定不可
:鑑定不可
:鑑定不可
:鑑定不可
弱点:鑑定不可
「うーん、やっぱり見えない文字化けしてるや」
レオニードは再び鑑定してみたが、職業スキルすらまともに表示されなかった。すべての項目が鑑定不可という文字しか認識できない。
「凄いねキミ、全て鑑定できなかったのは初めてだよ!」
「え!?はい……お、恐れ入ります」
少し小柄な魔導士ディタは申し訳なさそうにお辞儀する、だいぶ腰が低い人物のようだ。
「彼はまだ若いがとても優秀でね、自慢の側近なのさ!この間も筆頭魔導士の――……」
ガルディがドヤ顔で彼を褒めちぎるものだから、居合わせた全員が苦笑いをして聞き入る体を装う。
5分ほど続いた自慢話?の後でディタが金剛石が輝く杖を取り出す。
「さっそくお仲間を助けに参りましょう、私が展開する移動魔法には人数制限があります。人選してください」
彼がいうには魔導士を含めて5人らしい。
「私は絶対行くぞ、帝国には案内が必要だろ」とバリラが拳を作る。
「俺も当然行くぞ」とレオニード。
「フラも!ティルとはそれなりに長い付き合いだもん!」
結果、ジェイラとモルティガが留守になるが、神出鬼没の蝙蝠男は勝手に移動するだろう。
「なーによ、実質わたしだけ留守番じゃん!」
ハミコにされて膨れるジェイラだったが、「留守中はタコ焼き食い放題」とレオが言えば。
「留守はお任せあれ!御主人様!」元気にこたえるジェイラだった。
「そもそもさ、たった三日で移動できると思ってんの?」
至極当然な疑問を、朝食の厚切りベーコンにかぶり付きながらバリラが言う。
しばしモゴモゴと苦しそうに咀嚼して、オレンジジュースを一気飲みした。
そして、書棚にあった地図を広げると、とある箇所を示す。
「帝国へ行くにはまっすぐとはいかない、敵国なんだから。北部から周るのもありだけど道が険し過ぎる。ここから南へ下って東に行ったとこにカルムソルって国があるだろ、ここを経由したほうが良い。帝国はそこには手出しできない事情がある。戦うには相性が悪くて過去の諍いで惨敗したから、未だに賠償金を払っているんだ」
バリラは5年前の小競り合いの話を簡単に説明した。
フラウットとジェイラは話についていけないのか、無関心そうにパンに噛みついている。
「でもさ、帝国のヤツはどうやって短期間で移動してんだ?」
レオの疑問にバリラが音量を落として答えた。
「帝国には空を駆ける手段がある、それ以上はここでは言えない……」
「そうか」
レオニードは苦手な地図に視線を落として唸る。
「うーん、どう考えても半月はかかるよなぁ。それに今の俺は不用意に行動できないし」
かつての親たちの愚行のとばっちりで、国の監視下にあるレオは帝国に渡るのは拙い所だ。
知らないふりをして生活をしているが、天井と屋敷周辺には常に監視が張り付いている。
レオニードは天井をチラリと見上げた、いまもそこに居る国の諜報員が聴き耳をたてているだろう。
モルティガが適度に邪魔をしているようだが、油断はできない。
「悪友にわがまま言ってみるか……あんま貸を作りたくないけどティルの為だからな」
<そういう事でしたら私にお任せを迅速にメッセージを送りますゥ>
いつの間にか背後に控えていたモルティガが、レオニードの耳元で囁いたものだから悲鳴をあげる。
「ンギャー!お前は距離感がおかしいってば!」
「クフゥ♪」
***
火急な要請だったにも拘わらず、レオニードの願いはあっさり通ることになった。
それには、とある事情が絡む。
ガルディ王に連絡を取って二日後の午前、彼らは侯爵邸へやって来た。
「急遽派遣されました、王宮魔導士ディタと申します。後ろに控えますは護衛のキンガルです」
覆面を被り青いローブを纏った小柄な魔導士が自己紹介してきた。
「うん、よろしくディタさん。それと―――――……なにしてんだガルディ」
「あれ?ばれた?認識疎外の腕輪つけてんのに、やっぱ即席で作らせたのは駄目だなぁ」
鑑定スキル持ちのレオニードが容易く見破ったことにガルディは驚く。
テトラビス国王にして悪友のガルディが一般騎士兵の鉄鎧をガチャガチャさせて愉快そうに笑った。
「おーまーえー!ちっとは為政者らしくなったと感心してとこなのに!」
「為政者だよ俺。ちゃんと政務はこなしてるぞ、1週間くらい留守しても問題ないほどにな。それから監視は外した安心してくれ」
そういう事じゃないだろうとレオニードは諌言したが王の耳には右から左である。
「一番護衛が必要なヤツが自ら護衛って……巫山戯んな!」
「まぁまぁ、ディタは優秀だから平気だ。お前の精度の高い鑑定だって弾いたろ?」
「う、まぁ確かに彼は鑑定不可だな」
レオニードは少し悔しそうに眉を下げて改めて魔導士を見る。
【職業スキル:a蜑」悶繝ゥsty繝ウ繝あ峨?繧ケ繧s齟xzわls】
補助スキル:鑑定不可
:鑑定不可
:鑑定不可
:鑑定不可
:鑑定不可
弱点:鑑定不可
「うーん、やっぱり見えない文字化けしてるや」
レオニードは再び鑑定してみたが、職業スキルすらまともに表示されなかった。すべての項目が鑑定不可という文字しか認識できない。
「凄いねキミ、全て鑑定できなかったのは初めてだよ!」
「え!?はい……お、恐れ入ります」
少し小柄な魔導士ディタは申し訳なさそうにお辞儀する、だいぶ腰が低い人物のようだ。
「彼はまだ若いがとても優秀でね、自慢の側近なのさ!この間も筆頭魔導士の――……」
ガルディがドヤ顔で彼を褒めちぎるものだから、居合わせた全員が苦笑いをして聞き入る体を装う。
5分ほど続いた自慢話?の後でディタが金剛石が輝く杖を取り出す。
「さっそくお仲間を助けに参りましょう、私が展開する移動魔法には人数制限があります。人選してください」
彼がいうには魔導士を含めて5人らしい。
「私は絶対行くぞ、帝国には案内が必要だろ」とバリラが拳を作る。
「俺も当然行くぞ」とレオニード。
「フラも!ティルとはそれなりに長い付き合いだもん!」
結果、ジェイラとモルティガが留守になるが、神出鬼没の蝙蝠男は勝手に移動するだろう。
「なーによ、実質わたしだけ留守番じゃん!」
ハミコにされて膨れるジェイラだったが、「留守中はタコ焼き食い放題」とレオが言えば。
「留守はお任せあれ!御主人様!」元気にこたえるジェイラだった。
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