完結 弄ぶのも大概に

音爽(ネソウ)

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残酷な成敗 *欠損表現注意

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「お前は醜いと言った、過去の栄光に縋って生きるなど虚しくないのか?」
「き、貴様ァーーー!」
存在そのものを否定されたと思ったクレッグは激高して王子に凶器を振りかざす。生き方を変えろと諭そうとしただけだが精神が壊れかけている者には通じない。
場に居合わせた者達が悲鳴を上げたが、王子は余裕で対峙していた。それだけの自信があったのだろう。

ステファン王子から突然に冷風が吹き上げた、彼は氷系魔法を取得していたのだ。
鋭利な氷柱を生成し飛ばして暴漢クレッグを翻弄しだした。身体のギリギリを狙っているらしく肌を掠めていくではないか。どうやら揶揄って遊んでいるようで、掃えばすぐ折れるような針状のものばかり飛ばしだした。

「王子殿下、悪趣味ですわ。看護師の方々が凍えてしまいます、一番困るのは患者ですわ」
諌言をするナタリアの声に我に返った王子が苦笑して謝罪する。
「すまなかった、狭い室内ですることではなかったな」
「はい、どうか迅速にお願いします」

「氷刃よ不届き者を斬り裂け!氷結せよ、コンジェラート!」
結果、抗い続けたクレッグの凶刃は彼に届くことなく、腕ごと床に落とされた。
クレッグは氷塊によって動きを封じられて、ギャーギャーと喧しい。あまりの興奮でか切断されたことすら気が付いていない。
鮮やかな氷魔法を見て王女は感嘆する。
「あらぁ、氷結のせいで痛みが鈍ってるみたいね。兵よこのまま投獄させなさい。治療は……血止めだけでいいわ」
「御意」

***

護衛兵と病院の衛兵らに捕縛されたクレッグだったが、運ばれて行く最中はずっと咆えていた。
「嫌だ!あんな所に戻るくらいなら自害する!いやだーーー!」
「ウルサイなお前、連れてくのは牢獄だぞ。両手が捥げてるのに余裕そうじゃないか」
「え、捥げ……あああ!私の長く美しい腕が指が!」

王都から離れた北の牢獄に放り込まれたクレッグは手当を受けた、だが腕よりも悲惨だったのは下半身だった。
王子がはなった氷結魔法が三日間も溶けず、すっかり凍った足が壊死して使い物にならなくなったのだ。
両手両足を失った彼は十分過ぎる罰を受けたことになる。いっそ死罪のほうが楽だろう。
ところが、寝たきりの彼を世話する人材が居なかったため、かつての生家へ身柄が送られた。
しかし、廃嫡したバカ息子を保護するのを拒否したアルバーン侯爵は彼が務めていた娼館に再度押し付けた。

「ええ良いですとも、脱走させたのはこちらの落ち度ですからね」
「すまないな、こんな者だが使い物になるのか?」掃除すらできないクレッグを見て侯爵は顔を顰めて言う。
問題ないと娼館の主は笑う、恐ろしいことに欠損した者を愛好する物好きがいるらしいのだ。
「世の中には、ダルマと呼ばれる者を喜ぶ変人がおるのですよ」
「……理解し難いな」

せっかく脱走したクレッグだったが再び娼館へと戻された。
涙もとうに枯れたらしいクレッグは虚ろな目でそこにいた、寝具に転がるだけの存在になった彼はなにを思うのか。

「やぁ、久しぶりだね。私のレッレちゃん、可愛らしい姿になって戻って来たのだね」
常連らしい紳士が彼の横に座って愛しそうに撫でる、抵抗するのも面倒らしいクレッグはされるがままに抱かれるのだった。
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