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幼少期篇
夢を見た坊ちゃん
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明け方までの3時間ほど、フランシスは眠る事ができた。
「凄い!こんな晴れやかな気分は久しぶりだ!」
朝仕度に現れた執事は「それは、ようございました」と微笑む。
「先ほど母上の夢を見たんだ!元気だった頃の母上さ、少し大きくなったボクを抱きしめてくれて……」
夢の話を興奮気味に語るフランシスに、執事は頷きながら紅茶の用意をしている。
「母上の優しい匂いがしたんだ、夢なのに凄いと思わないか?」
「さようですね、素晴らしいことです」
執事の返答に気をよくしたフランシスは「そうだろう!」と頬を紅潮させて笑った。
「坊ちゃんの天使の微笑み……頂きました、なんという果報でしょうか」
「……お前、やっぱり気持ち悪い」
「はい?」
執事は朝の出来事を日報に書き記すことに余念がない。
「まったく……おい!紅茶に蜂蜜とミルクを入れろ」
「はい、畏まりました。糖分は頭の栄養ですから朝の目覚めに最適でございます」
蘊蓄をたれる執事に、どうでもいいという態度で紅茶を飲み始めるフランシスである。
「本日の習い事は午前だけでございます」
「そうか、きょうは薄曇りで過ごしやすいな。……午後は散策にでようと思う」
畏まりましたと執事レイドルは会釈して、ワゴンを片付け退室していった。
***
「血色も良く、お元気だ。ふふ、出先で楽しめるランチをご用意せねば!」
レイドルはウキウキとメモを取り、サンドウィッチの具材は何にしようかと嬉しい悩みを抱えた。
「レイドル様!大変です、坊ちゃまが!」
「!?」
「朝食を摂られています!1年ぶりの快挙です!」大袈裟に喜ぶメイドである。
「なんと!早速かけつけ見守ってさしあげねば」
2階の食堂へ足早に駆けつけたレイドルは、逸る気持ちを抑えて静かに入室した。それからフランシスの斜め後ろに控えて様子を覗う。
食堂には家族全員が集まっていてフランシスを注視していた。
「そんなに注目されたら食べ難いですよ、父上、おばあ様方……」
プチトマトを突きながらフランシスは抗議する。
「いやぁ、すまん。フランと朝食を摂るのが嬉しくてな、記念写真を撮りたいほどなんだ」
「ボクは珍獣かなにかですか?」
フランシスは小さな唇を尖らせてぶーたれる。
「うふふ、フランは何をしていても可愛いわね」
「そうだな、流石わが孫だ。そういえば遠出するそうだね、私達も同行しても良いかね?」
「はい、もちろんです。でも具体的にどことは考えてなくて……」
ほとんど外出をしたことがないフランシスは、小さな頭を左右に振り天井を仰ぎ見た。
「ならば私が案内しよう、馬車で30分の所に景色が良い所があるんだ。湖があるから釣りも楽しめるぞ」
「ほんとですか!是非行きたいです、お爺様!」
思いのほか食いついた孫に祖父夫婦は嬉しそうに目じりを下げる。
「いーなー、俺だって行きたい。どうして今日は会議があるんだ!」
仕事のあるラグズウッド公爵は、ひとり除け者感に悄気て登城して行った。
「ごめんね父上、また今度」
「凄い!こんな晴れやかな気分は久しぶりだ!」
朝仕度に現れた執事は「それは、ようございました」と微笑む。
「先ほど母上の夢を見たんだ!元気だった頃の母上さ、少し大きくなったボクを抱きしめてくれて……」
夢の話を興奮気味に語るフランシスに、執事は頷きながら紅茶の用意をしている。
「母上の優しい匂いがしたんだ、夢なのに凄いと思わないか?」
「さようですね、素晴らしいことです」
執事の返答に気をよくしたフランシスは「そうだろう!」と頬を紅潮させて笑った。
「坊ちゃんの天使の微笑み……頂きました、なんという果報でしょうか」
「……お前、やっぱり気持ち悪い」
「はい?」
執事は朝の出来事を日報に書き記すことに余念がない。
「まったく……おい!紅茶に蜂蜜とミルクを入れろ」
「はい、畏まりました。糖分は頭の栄養ですから朝の目覚めに最適でございます」
蘊蓄をたれる執事に、どうでもいいという態度で紅茶を飲み始めるフランシスである。
「本日の習い事は午前だけでございます」
「そうか、きょうは薄曇りで過ごしやすいな。……午後は散策にでようと思う」
畏まりましたと執事レイドルは会釈して、ワゴンを片付け退室していった。
***
「血色も良く、お元気だ。ふふ、出先で楽しめるランチをご用意せねば!」
レイドルはウキウキとメモを取り、サンドウィッチの具材は何にしようかと嬉しい悩みを抱えた。
「レイドル様!大変です、坊ちゃまが!」
「!?」
「朝食を摂られています!1年ぶりの快挙です!」大袈裟に喜ぶメイドである。
「なんと!早速かけつけ見守ってさしあげねば」
2階の食堂へ足早に駆けつけたレイドルは、逸る気持ちを抑えて静かに入室した。それからフランシスの斜め後ろに控えて様子を覗う。
食堂には家族全員が集まっていてフランシスを注視していた。
「そんなに注目されたら食べ難いですよ、父上、おばあ様方……」
プチトマトを突きながらフランシスは抗議する。
「いやぁ、すまん。フランと朝食を摂るのが嬉しくてな、記念写真を撮りたいほどなんだ」
「ボクは珍獣かなにかですか?」
フランシスは小さな唇を尖らせてぶーたれる。
「うふふ、フランは何をしていても可愛いわね」
「そうだな、流石わが孫だ。そういえば遠出するそうだね、私達も同行しても良いかね?」
「はい、もちろんです。でも具体的にどことは考えてなくて……」
ほとんど外出をしたことがないフランシスは、小さな頭を左右に振り天井を仰ぎ見た。
「ならば私が案内しよう、馬車で30分の所に景色が良い所があるんだ。湖があるから釣りも楽しめるぞ」
「ほんとですか!是非行きたいです、お爺様!」
思いのほか食いついた孫に祖父夫婦は嬉しそうに目じりを下げる。
「いーなー、俺だって行きたい。どうして今日は会議があるんだ!」
仕事のあるラグズウッド公爵は、ひとり除け者感に悄気て登城して行った。
「ごめんね父上、また今度」
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