9 / 9
大団円
しおりを挟む「お姉様大好き~!好き好き!」
「まぁ、カメリアったら」
いつものように戯れている姉妹だが、それをジッと見つめ恨めしそうにしているアドニスの姿があった。横恋慕によるストーキングかと思われたが違った。
「うぅ、ルアナ……どうかその手で私を叩いて、打ってくれないだろうか蹴りでも良い!」
開いてはいけない扉を開けてしまった王太子はドM化していたのだ、側近達はそんな彼の変化に戸惑いを隠せない。
「あのぉ、殿下、どうしてそのような事ばかり」
「そうですよぉ、まるで変態じゃないですか」
「ん?ああ、そうだな新しい境地に落ちたというか、ドハマりしたというか」
クネクネと恥ずかしそうに「ああ、あの足に踏まれたい」と呟き悶絶する様は異様だった。
呆れる側近たちは「これは駄目だ」と判断して生暖かい視線を送る。
そんな様子を見咎めたルアナはまたカメリアの事を諦めていないのかとイライラしていた。とんだ誤解である。
「アドニス様、何を厭らしい目で妹を見ていますの!失礼だわ」
「い、いや違うぞ!ボクが見ていたのは」
「だまらっしゃい!そこにお座りなさいませ!」
「はい!喜んで!」
どこかの居酒屋店員かと思う掛け声とともに、鎮座してお小言と鉄槌を期待する王太子である。彼女が怒れば怒るほどにアドニスは喜びに満ち溢れるのだ。
「宜しいですか、カメリアは貴方になんの興味もないのです!わかりますか?」
「はい!その通りです!申し訳ありません!」
「ほんとうにわかってます?」疑心暗鬼の彼女はアドニスを睨みつける。
「もちろんです、この命にかけまして!」
「んまあ!巫山戯ているのですか!反省の色が見られませんね!」
「パシーンッ!」
「あああ、もっと……もっと責めて欲しい……」
その言動が益々と巫山戯ていると彼女を怒らせるのだ、こうして至福?の時を過ごした王太子は満足気に「良かった」と漏らす。
***
「なんだかんだと大団円ですね」
「そうかぁ?」
側近のベルトットとガイルは新郎側の席に参加してことの成り行きを見守っている。今日は待ちに待ったアドニス王太子とルアナ嬢の結婚式だ。王侯貴族達が見守る中、彼らは夫婦になった。
「くう~、お姉様が綺麗!絶世の美女、いいえ女神様のようだわ!アンポンタンの王太子には勿体ない!あぁ、いっそお姉様を奪還して私が……」
「おいおい、不穏なことは言わない様に」
「だってぇ」
ウェディングアイルを歩いてきた父が困った顔で娘を窘める、その横には不服そうな母ペネロペがいる。
「あの場所はカメリアちゃんのものになるはずだったのに!」
「お母様、まだそんな事を言ってますの?親子の縁を切りましょうか?」
「ひぃ!じょ冗談よ……ホホホ」
このように紆余曲折あったが、無事に挙式をあげた王太子夫妻だった。国中から祝福を受けて幸せそうである。
「ああ、ボクは三国一の幸せ者だ」
「使い方を間違えてます、三国一の花嫁ですわ」
「そうか、ならば世界一の幸せものだな!ハーハハハハッ!」
「まったく……なんて愚か、私がキッチリ締めないと」
アドニス王太子の本当の気持ちを知ってか知らずか、ルアナは難しい顔をしている。
「ほら、国民にボク達の晴れ姿を見せつけないと微笑んで?」
「あらまぁ、一体どういうこと」
「愛しているよ、ルアナ」
「ええ!?」
初めて心のうちを聞かせたアドニスはウットリした顔でルアナを見ていた。信じられないものを見るように彼女は彼を見返す。
「あ、あの……アドニス?」
「愛しているんだ、本当だよ!ボクのルアナ」
その後、バルコニーから手を振るルアナ王太子妃殿下の顔が茹蛸のようになっていたと国民たちは噂した。
豪華絢爛に飾られた披露宴の席でカメリアは少々ショボくれていた、無理もない大好きな姉が嫁いでしまったのだから。
「はぁ~これからは滅多に会えないのねぇ寂しい……寂しいわお姉様」
「ならば私の妃にならないか?」
「え……バルドリック様、そのようなお戯れは」
「戯れではない、どうだろうか前向きに考えてくれないか?大切にする!」
「えええ~……嫌です」
まだシスコンが抜けないカメリアは即答でお断りしたのだが、その後何度もプロポーズを仕掛けてくるバルドリックに根負けして受け入れるのは別の話である。
完
432
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
【完】婚約破棄?本当によろしいのですか?残念です
咲貴
恋愛
マケール殿下は婚約者である私、アンリエットに突然、婚約破棄を宣言する。
なんと、男爵令嬢のレオニーと結婚したいそうだ。
婚約破棄だけではなく、国外追放まで命じる始末。
殿下、本当にその選択で良いのですか?
虚偽の罪で婚約破棄をされそうになったので、真正面から潰す
千葉シュウ
恋愛
王立学院の卒業式にて、突如第一王子ローラス・フェルグラントから婚約破棄を受けたティアラ・ローゼンブルグ。彼女は国家の存亡に関わるレベルの悪事を働いたとして、弾劾されそうになる。
しかし彼女はなぜだか妙に強気な態度で……?
貴族の令嬢にも関わらず次々と王子の私兵を薙ぎ倒していく彼女の正体とは一体。
ショートショートなのですぐ完結します。
【完結】妃が毒を盛っている。
井上 佳
ファンタジー
2年前から病床に臥しているハイディルベルクの王には、息子が2人いる。
王妃フリーデの息子で第一王子のジークムント。
側妃ガブリエレの息子で第二王子のハルトヴィヒ。
いま王が崩御するようなことがあれば、第一王子が玉座につくことになるのは間違いないだろう。
貴族が集まって出る一番の話題は、王の後継者を推測することだった――
見舞いに来たエルメンヒルデ・シュティルナー侯爵令嬢。
「エルメンヒルデか……。」
「はい。お側に寄っても?」
「ああ、おいで。」
彼女の行動が、出会いが、全てを解決に導く――。
この優しい王の、原因不明の病気とはいったい……?
※オリジナルファンタジー第1作目カムバックイェイ!!
※妖精王チートですので細かいことは気にしない。
※隣国の王子はテンプレですよね。
※イチオシは護衛たちとの気安いやり取り
※最後のほうにざまぁがあるようなないような
※敬語尊敬語滅茶苦茶御免!(なさい)
※他サイトでは佳(ケイ)+苗字で掲載中
※完結保証……保障と保証がわからない!
2022.11.26 18:30 完結しました。
お付き合いいただきありがとうございました!
魅了魔法が効かない私は処刑されて、時間が戻ったようです
天宮有
恋愛
公爵令嬢の私リーゼは、ダーロス王子に婚約破棄を言い渡されてしまう。
婚約破棄の際に一切知らない様々な悪行が発覚して、私は処刑されることとなっていた。
その後、檻に閉じ込められていた私の前に、侯爵令嬢のベネサが現れて真相を話す。
ベネサは魅了魔法を使えるようになり、魅了魔法が効かない私を脅威だと思ったようだ。
貴族達を操り私を処刑まで追い詰めたようで、処刑の時がやってくる。
私は処刑されてしまったけど――時間が、1年前に戻っていた。
妹のことが好き過ぎて婚約破棄をしたいそうですが、後悔しても知りませんよ?
カミツドリ
ファンタジー
侯爵令嬢のフリージアは婚約者である第四王子殿下のボルドーに、彼女の妹のことが好きになったという理由で婚約破棄をされてしまう。
フリージアは逆らうことが出来ずに受け入れる以外に、選択肢はなかった。ただし最後に、「後悔しないでくださいね?」という言葉だけを残して去って行く……。
婚約者は妹を選ぶようです(改稿版)
鈴白理人
恋愛
アドリアナ・ヴァンディール侯爵令嬢には妹がいる。
アドリアナが家格の同じ侯爵家の三男であるレオニード・ガイデアンの婚約者となり半年経つが、最近の彼は妹のリリアーナと急接近し、アドリアナをないがしろにし始める。
どこでも泣き出すリリアーナにアドリアナは嘆息してしまうが、レオニードはリリアーナをかばい続け、アドリアナを非難する言葉ばかりを口にするようになった。
リリアーナのデビュタント会場で、とうとうそれは起こるべくして起こった。
「アドリアナ・ヴァンディール侯爵令嬢!僕は君との婚約を破棄して、妹のリリアーナ・ヴァンディールと婚約を結び直す!」
宜しいのでしょうか、レオニード・ガイデアン侯爵令息?
その妹は──
「本当の自分になりたい」って婚約破棄しましたよね?今さら婚約し直すと思っているんですか?
水垣するめ
恋愛
「本当の自分を見て欲しい」と言って、ジョン王子はシャロンとの婚約を解消した。
王族としての務めを果たさずにそんなことを言い放ったジョン王子にシャロンは失望し、婚約解消を受け入れる。
しかし、ジョン王子はすぐに後悔することになる。
王妃教育を受けてきたシャロンは非の打ち所がない完璧な人物だったのだ。
ジョン王子はすぐに後悔して「婚約し直してくれ!」と頼むが、当然シャロンは受け入れるはずがなく……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
あの・・・・・・。
余計なことかもしれませんが「大団円」ではないですか?大大円は違うのではと思います。
勘違いしていたら申し訳ありません。
申し訳ありません、誤字でした。