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旅仕度
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「行く当てがない旅だけど、いっそ他国へ行ってみたいわ」
「それは何故ですか?」
「だってこの国には聖女クラリスがいるもの安泰でしょ?似非とはいえ私にも力があるわ、聖女がいない国へ行けばお役に立てると思うの!」
自分を卑下していうクラーラに連れとなったアレンは眉を下げて「自己評価が低すぎる」と呟いた。
それから国境越えは想像以上に厳しいのだとアレンはクラーラに教えた。
「まぁ。そうだったの……世間知らずでごめんなさい」
「いいえ、ずっと教会に閉じこもっていたのですから仕方ありませんよ」
相変わらず敬語のままのアレンはそう言う。
「国々を渡るのに方法は一応ありますよ、頑張れますか?」
「ええ!広い世界を見たいもの、なんでもやるわよ」
彼女の目に覚悟を見たアレンは、では行きましょうと手を引いた。
今から出向くところは荒くれ者が多いから離れない様にと注意してクラーラを案内する。
やがて厳格な建物に辿りついた二人は、緊張の面持ちで門を潜った。
「ここは?」
「冒険者ギルドです、誰にも平等に身分証と仕事をくれるところですよ」
「平等!素晴らしいことだわ!」
「まぁ、落ち着いて。クラーラ様は偽名で登録しましょう。聖女の名は知れ渡ってますから」
「うん、わかったわ!」
登録専用の窓口へ向かい二人は能力テストを受けた。
アレンは火属性能力、クラーラ改め”ララ”は闇以外の属性持ちと鑑定された。
聖女とは知らないギルド職員たちは大騒ぎしてララを専属冒険者にと勧誘した。
白魔法に特化した彼女は貴重な人材なのだ。
それをやんわり断ったララはアレンと普通の冒険者としての身分証を手に入れた。
「さすがとしか言いようがないです、クラ……ララ様」
「褒め過ぎよ、アレンの火魔法は強いのでしょ?冒険者としてならそっちが凄いわよ」
お互いを褒め合いながら街道を急いぐ、長旅をするならと節約を徹底した。
当面の生活費を教会から退職金として受け取っていたララではあるが、アレンに「無駄遣い禁止」と言われそれを素直に受け入れていた。
しかし、譲れないものもあった。
「旅をするならテントは必要ですね、それから保存食を買いだめしましょ」
「テントってその布でできた臭いの?」
雑貨店にやってきた二人は折りたためるテントを探していた。
アレンが安価で丈夫そうなテントを指差していた、雨を弾くために油が塗られていて少し臭い。
「どうせならこっちが良いわ、二人で入ってもゆったりしてる」
ララが欲しがったのは少し値が張るドーム型だった、初期投資だからとララは言う。
「で、でも」
「長く使うなら断然こっち!安いほうは突風がきたら飛ばされそうだし、きっとすぐ破れてしまうわ」
見た目頑丈そうだが手に取ればペラペラの素材で布地の織り目も荒かった。
それでもドーム型は持ち運びに不便だと渋るアレンに「問題ないわ」というララ。
小柄なララが背負えるわけがないとアレンと店員が苦笑いした。
「もう、馬鹿にして。はい、代金よ」さっさと支払いを済ませてしまうララ。
少し拗ね彼女は頬を膨らませて、買い取ったドームテントをひょいと消してしまった。
「えええ!?今なにをしたのですか!」
「なにって収納したのだけど?」
「それは何故ですか?」
「だってこの国には聖女クラリスがいるもの安泰でしょ?似非とはいえ私にも力があるわ、聖女がいない国へ行けばお役に立てると思うの!」
自分を卑下していうクラーラに連れとなったアレンは眉を下げて「自己評価が低すぎる」と呟いた。
それから国境越えは想像以上に厳しいのだとアレンはクラーラに教えた。
「まぁ。そうだったの……世間知らずでごめんなさい」
「いいえ、ずっと教会に閉じこもっていたのですから仕方ありませんよ」
相変わらず敬語のままのアレンはそう言う。
「国々を渡るのに方法は一応ありますよ、頑張れますか?」
「ええ!広い世界を見たいもの、なんでもやるわよ」
彼女の目に覚悟を見たアレンは、では行きましょうと手を引いた。
今から出向くところは荒くれ者が多いから離れない様にと注意してクラーラを案内する。
やがて厳格な建物に辿りついた二人は、緊張の面持ちで門を潜った。
「ここは?」
「冒険者ギルドです、誰にも平等に身分証と仕事をくれるところですよ」
「平等!素晴らしいことだわ!」
「まぁ、落ち着いて。クラーラ様は偽名で登録しましょう。聖女の名は知れ渡ってますから」
「うん、わかったわ!」
登録専用の窓口へ向かい二人は能力テストを受けた。
アレンは火属性能力、クラーラ改め”ララ”は闇以外の属性持ちと鑑定された。
聖女とは知らないギルド職員たちは大騒ぎしてララを専属冒険者にと勧誘した。
白魔法に特化した彼女は貴重な人材なのだ。
それをやんわり断ったララはアレンと普通の冒険者としての身分証を手に入れた。
「さすがとしか言いようがないです、クラ……ララ様」
「褒め過ぎよ、アレンの火魔法は強いのでしょ?冒険者としてならそっちが凄いわよ」
お互いを褒め合いながら街道を急いぐ、長旅をするならと節約を徹底した。
当面の生活費を教会から退職金として受け取っていたララではあるが、アレンに「無駄遣い禁止」と言われそれを素直に受け入れていた。
しかし、譲れないものもあった。
「旅をするならテントは必要ですね、それから保存食を買いだめしましょ」
「テントってその布でできた臭いの?」
雑貨店にやってきた二人は折りたためるテントを探していた。
アレンが安価で丈夫そうなテントを指差していた、雨を弾くために油が塗られていて少し臭い。
「どうせならこっちが良いわ、二人で入ってもゆったりしてる」
ララが欲しがったのは少し値が張るドーム型だった、初期投資だからとララは言う。
「で、でも」
「長く使うなら断然こっち!安いほうは突風がきたら飛ばされそうだし、きっとすぐ破れてしまうわ」
見た目頑丈そうだが手に取ればペラペラの素材で布地の織り目も荒かった。
それでもドーム型は持ち運びに不便だと渋るアレンに「問題ないわ」というララ。
小柄なララが背負えるわけがないとアレンと店員が苦笑いした。
「もう、馬鹿にして。はい、代金よ」さっさと支払いを済ませてしまうララ。
少し拗ね彼女は頬を膨らませて、買い取ったドームテントをひょいと消してしまった。
「えええ!?今なにをしたのですか!」
「なにって収納したのだけど?」
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