陰陽師、異世界に転生する

音爽(ネソウ)

文字の大きさ
2 / 2

知らない村に転生?

しおりを挟む
『うぅ……苦しい息が……出来な…い』
吾野は必死に抗うがどうにもならず圧されるままに穴深く落ちた、刹那に瞋恚鬼の咆哮を聞いた気がした。薄れ行く意識の遠くで『ああ、どうにか異界に落とせたか』と安堵する。しかし、藻掻き苦しみながら息が出来ぬまま彼の意識は途切れる。





「Λ§ΗΦ!」
”え?なんて?なんて言ってるの……”
「Λ§ΗΦ!Λ§ΗΦ!Σ¶ψΔ!」
”わからないよ……あぁ頭がとても痛い、静かにしてくれないか!”
聞こえたのは己の泣き声のようだった、一体どうしたというのだろう。自分は深淵とも言える異界への穴に落ちたと言うのは朧げに覚えていた、だが、この状況を知ったは訳が分からない。

「Λ§ΗΦ!」
「あぁもう!煩いな!どいてくれよ、手を遮るなよ、それとも鬼か?鬼が俺を……、全く煩わしい」
アガノは持てる力を振絞り己の両腕を掴むものを弾き飛ばした。すっと自由になれた彼は漸く落ち着いた。あぁ、なんと清々しいのか。


「Λ§ΗΦ?」
「え?あれ……俺は死んだんじゃ……とにかく一応は礼を言わなければ」
目の前にいたのは見窄らしい形の女だった。どうにも事態が飲み込めない。
褥と思われるそこからガバリと起きたアガノはキョロキョロと視線を這わせる、そこはどこかの小屋らしく藁が敷き詰められていた。自分を助けた恩人はとても貧しいと思われる。
「はあ……取り合えずありがとう、でもどうして拘束してたんだ?」
「ψΞ§¶、ΗД」
その女性は呆れたような顔をして肩を竦めている、こちらの言語がわからないようだ。どうにか打開策はないものかと思案するが、良い考えは浮かばない。

「あれ、どうして俺の背丈が、ええ!小さくなってる?これも異界の穴の影響か?」
手足を見るに明らかに縮んでいる、それは2歳児に満たないような幼さだった。彼は素っ頓狂な声を上げて狼狽える。鏡で確かめたいがここにはそんな高級品はない。

「Λ§ΗΦ、ψ§Ж!」
「え、なに?うわぁ!」
幼い彼は尻を叩かれて脇に抱え上げられた、どうやら介護してくれるらしい。仕方なく諦めて従えば沐浴をさせられた。冷たい水を頭から浴びせられ有無を言わさず洗わる。
「ぶわっ!冷たい……それになんだこれ?土?ああそうか、貧しい民はこうして洗うんだっけ」

それから数日をそこで過ごした、どうやらこの女性は自分の親らしいと気が付く。一方、村人達はよくよく見れば姿形は人のそれだが鬼のように青や緑の瞳を持っていた。最初は鬼かと疑ったがそうではないとわかる。
「うーん、俺の髪も目も異人のそれのようだ。つまり転生というものをしたようだな」

俄かには信じ難い事実だったが信じる他はないと諦めた、そして、グーパーする小さな手の平は色素が薄い、かつて育った都で時々異人と見られる人を見たことを思いだす。
「あれは鬼だと言われていたが異人だったのだな、知らぬとは恐ろしい事だ」
言葉の通じないその人々を恐れた都の民達は「鬼が出た」と言ってはその者達を虐げていた、彼は言いようのない虚しさを感じた。

!こちらに来なさい。全くお前ときたらまた泥遊びψΔЖ§をしたのね」
「あぅ、ごめんなさい」
手を払う母親はキリーと言うらしい、数日過ごすうちに言語を覚えた、所々わからないがまあなんとか理解は出来る。

「来年には三歳ね、良いスキル持ちになると良いけれど」
「え?すきる?ってなに……」
頭に?マークを上げた彼はキョトリと顔を傾ける、すると母親は水を手から滴らせた。
「私はこの通り水魔法持ち、とっても弱くて攻撃に向いてないけれどね、家事に便利で重宝しているわ」
「ほ、ほう……これは驚いた、スゴイなぁ」

かつては陰陽師として活躍した彼だが水を手から出した人間は初めて見た。隣人は火魔法が使えるという。陰陽師も式神を使うがそれは霊符あってのものである。
「なんていうかメチャクチャな出鱈目人間だらけだな、そして俺にもきっと……」
彼は己の小さな手を見てゴクリと唾を飲むのだった。









しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

ヒロインは修道院に行った

菜花
ファンタジー
乙女ゲームに転生した。でも他の転生者が既に攻略キャラを攻略済みのようだった……。カクヨム様でも投稿中。

悲恋小説のヒロインに転生した。やってらんない!

よもぎ
ファンタジー
悲恋ものネット小説のヒロインに転生したフランシーヌはやってらんねー!と原作を破壊することにした。

ヒロインガン無視で幸せになる話

頭フェアリータイプ
ファンタジー
死ぬ運命の悪役ですらないヒーローの婚約者が無関心に幸せを掴む話

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした

藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると 土地を蝕む邪気となって現れる。 それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。 派手な奇跡は起こらない。 けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。 ――その役目を、誰一人として理解しないまま。 奇跡が少なくなった。 役に立たない聖女はいらない。 そう言われ、私は静かに国を追放された。 もう、祈る理由はない。 邪気を生み出す原因に目を向けず、 後始末だけを押し付ける国を守る理由も。 聖女がいなくなった国で、 少しずつ異変が起こり始める。 けれど彼らは、最後まで気づかなかった。 私がなぜ祈らなくなったのかを。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

とある執事の日常 ~お嬢様の中身は恐らくギャル~

冬兎
ファンタジー
うちのお嬢様は絶対におかしい。 「道路やばくない? 整備しよ」 「孤児院とか作ったら?」 「困ってる人助けるのなんか当たり前っしょ」 貴族令嬢らしからぬ口調で突拍子もない提案を次々とぶつけてくるお嬢様、レティシア・リオネール。執事の俺、クラウスは今日も彼女の無茶振りに振り回される。 不思議なことに、お嬢様の理想論は必ず実現し効果を発揮する。 孤児院は完成し、医療制度は整い、領地は驚異的に発展していく。 元勇者の伯爵様、脳筋騎士団長、くのいちメイド長、双子の妹たち―― 濃すぎる面々に囲まれながら、俺は今日もお嬢様の思いつきを形にしていく。 気づけば、振り回されることに悦びを感じ始めている俺はもう手遅れかもしれない。 R8.1.20 投稿開始

処理中です...