完結 貴方が忘れたと言うのなら私も全て忘却しましょう

音爽(ネソウ)

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永遠の秘密

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あれからというもの、ライネルは何かとポラーナを構うようになる。元から揶揄ってばかりいたので、はた目には変わらず兄妹がじゃれあい微笑ましく見える。だが、一つ違ったのは恋慕の情がそこあったことだ。

「に、兄様!距離が可笑しいです、そのように近づかれては、あ!」
「おや、兄ではないと言っただろう?ライネルと呼ぶように躾けたはずだけれど」
「ラ、ライネル……もう!呼びずらいわ」

なるべく距離を置こうとする彼女は身体を捻り、ライネルの顔を見ようとしない。それが気に入らない彼は強引に腰を抱いて「こっちを向いて」とやっていた。
「ヒィ!止めてください兄様!」
「ライネルだってば」
顔を真っ赤に染めてイヤイヤをするポラーナを見て、存外なかなか良い反応をするとライネルは微笑む。

「その可愛らしい反応は自惚れて良いのかな?ねぇポラーナ。私の事を異性として意識していると思って良いの?」
「だ、だって……兄様は狡い、そんな美しい顔で迫られたら誰だって」




彼ライネルの秘密は王族に見られる風貌にある、豊かな銀髪と金色の瞳だ。この特徴は先代王によく似ていた。それもそのはず、御手付きになった侍女が孕んで出来たのが彼なのだ。
すぐに母親と引き離され、アーリエント侯爵の養子として育てられたのだ。公にされておらず”触れてはいけない”秘密裡”のことだった。奇しくも母親の髪色が銀髪に近かったせいで侯爵家は選ばれてしまった。

最初こそは上手く愛せるか不安だった夫人だ、しかし、彼の愛らしく幼い微笑みにメロメロになった。
『貴方、この子は私の子。そうよね?だってこんなにも可愛らしいのだもの』
『あぁ。そうだな、私達はこの子に選ばれたのだ。なんと誉高い事か、目元が私に似ていないか?』
『まぁ、ホホホッ!親バカねぇ』

こうして愛情をたくさん浴びて育ったライネルは美しい男子に育ったのである。

「ねぇ、ポラーナ。私の出自について…」
そう言いかけた彼の唇にポラーナは指をやって「言わない約束だわ」と言葉を遮る「貴方はライネル、ここの侯爵の嫡男で私の秘密の兄だわ、そしてになったの」と微笑む。
「ポラーナ、私の愛しい女性。ずっとずっと焦がれて来た、決して離しはしないよ」
「ありがとう、ラ、ライネル。いつかきっと心から愛せるはずよ」

潤む瞳でそう言った彼女は一人の女性として彼と向き合う。
それから触れるだけの口付をしてこの秘密を永遠に閉じ込めた。








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