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おバカな婚約破棄
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「マニエ・ラグザント!お前との婚約は破棄だ!この罪人め!」
王家主催の夜会会場で婚約破棄宣言をしたのは、第二王子サンタアスだ。
「破棄は別にいいですが、罪人とは聞き捨てなりませんわ。罪状はなんですの?」
「んな!?破棄は良いだと?」
「はい、婚約破棄は嬉しいので了承します」
「ぐぬ!なんと可愛げのない!」
バカで浮気ばかりする王子に、未練を抱く者がいるだろうかと会場のどこかで話し声がした。
”不敬だ”とバカ王子は叫んだが誰も目を合わせなかった。
痺れを切らしたマニエが促した。
「私の犯した罪とはなんですか?はやく教えてください。ちゃんと証拠はあるのでしょう?」
「もちろんだ!言い逃れが出来ない罪の証拠はここにある!」
王子はズイッとある人物を横に招いて高らかに言う。
「彼女こそが証拠にして証人である!皆の者も心して聞け!」
勝手に巻き込まれた貴族達はウンザリした顔になった。
「……チェニー、どうしてあなたが証人なの?」
「それは私が被害者だからよ」
友人チェニーが眉をハの字に下げて悲しい顔をマニエに見せた。
「どういうこと?私は貴女になにも」
「したじゃない!私とサンタアスが愛し合っているのを知りながら邪魔をしていたじゃない!」
「は?」
「私達は貴女の存在、障壁のせいでデートもままらなかったのよ!悲しかったわ、週に5度しか会えない辛さがマニエにわかって?」
ヨヨヨと泣くチェニーであるが、屁理屈にさえなってない台詞にマニエは呆れる。
「……私は殿下と茶会すらまともにしてませんけど?」
マニエがそう反論すれば。
「お前のわがままのせいで俺は意に沿わない茶会が苦痛でしかなかったのだぞ!」
今度はバカが何か言いだした。
「茶会が私の我儘?一月に一度しかないのにですか?」
「そうだ!お前との茶など美味しくない!」
「そうよ!その一回のせいで私達は会えない日が発生して悲しかったわ!」
婚約者であるマニエを差し置いて浮気してました宣言にその場の全員が目を見開いた。
しかし、両陛下は微動だにしなかった、この茶番劇を前もって知っていたのだろう。
「なるほど、そういう筋書きですのね?」
マニエは壇上にいた二人を見据えてそう言った。
陛下たちは目を逸らしてブツブツとなにか言っていたが、もはやどうでも良いとマニエは思う。
王族が仕組んだこの断罪劇は誰も口が挟めない。
「私と殿下の婚約は王家側からの申し出でした、それなのにこの仕打ち……生涯恨みますわ。覚悟はよろしくて?」
マニエは偉そうにふんぞっていた王子を中心に言葉を浴びせた。
「さぁどうぞ牢獄へ案内しなさいな」
マニエは満面の笑みを浮かべて、あらかじめ待機していた兵士たちへそう言った。
王家主催の夜会会場で婚約破棄宣言をしたのは、第二王子サンタアスだ。
「破棄は別にいいですが、罪人とは聞き捨てなりませんわ。罪状はなんですの?」
「んな!?破棄は良いだと?」
「はい、婚約破棄は嬉しいので了承します」
「ぐぬ!なんと可愛げのない!」
バカで浮気ばかりする王子に、未練を抱く者がいるだろうかと会場のどこかで話し声がした。
”不敬だ”とバカ王子は叫んだが誰も目を合わせなかった。
痺れを切らしたマニエが促した。
「私の犯した罪とはなんですか?はやく教えてください。ちゃんと証拠はあるのでしょう?」
「もちろんだ!言い逃れが出来ない罪の証拠はここにある!」
王子はズイッとある人物を横に招いて高らかに言う。
「彼女こそが証拠にして証人である!皆の者も心して聞け!」
勝手に巻き込まれた貴族達はウンザリした顔になった。
「……チェニー、どうしてあなたが証人なの?」
「それは私が被害者だからよ」
友人チェニーが眉をハの字に下げて悲しい顔をマニエに見せた。
「どういうこと?私は貴女になにも」
「したじゃない!私とサンタアスが愛し合っているのを知りながら邪魔をしていたじゃない!」
「は?」
「私達は貴女の存在、障壁のせいでデートもままらなかったのよ!悲しかったわ、週に5度しか会えない辛さがマニエにわかって?」
ヨヨヨと泣くチェニーであるが、屁理屈にさえなってない台詞にマニエは呆れる。
「……私は殿下と茶会すらまともにしてませんけど?」
マニエがそう反論すれば。
「お前のわがままのせいで俺は意に沿わない茶会が苦痛でしかなかったのだぞ!」
今度はバカが何か言いだした。
「茶会が私の我儘?一月に一度しかないのにですか?」
「そうだ!お前との茶など美味しくない!」
「そうよ!その一回のせいで私達は会えない日が発生して悲しかったわ!」
婚約者であるマニエを差し置いて浮気してました宣言にその場の全員が目を見開いた。
しかし、両陛下は微動だにしなかった、この茶番劇を前もって知っていたのだろう。
「なるほど、そういう筋書きですのね?」
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陛下たちは目を逸らしてブツブツとなにか言っていたが、もはやどうでも良いとマニエは思う。
王族が仕組んだこの断罪劇は誰も口が挟めない。
「私と殿下の婚約は王家側からの申し出でした、それなのにこの仕打ち……生涯恨みますわ。覚悟はよろしくて?」
マニエは偉そうにふんぞっていた王子を中心に言葉を浴びせた。
「さぁどうぞ牢獄へ案内しなさいな」
マニエは満面の笑みを浮かべて、あらかじめ待機していた兵士たちへそう言った。
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