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魔女は国を棄てる
統制がとれなくなった王都はとても脆かった。
威張るしか脳がなかった王と貴族達は瞬く間に権威を失い、政府は解体されて無能の為政者は財産を取り上げられた上に王都を追われた。貴族も同様である。
こうして都心部は暫く荒れることになった。
それでも民たちから自警団が発足され、ギルドも助力した甲斐もあり、腐った頭だけが挿げ替えった。新しく生まれ変わりつつあるかつての王都は魔女ドーラの帰りを待った。
しかし、彼女の歩みは王都に向かうことはない、自由を得た魔女がどうして戻る必要があるだろう。
身分を捨て見た目をも変化させたきた彼女はやっと素顔のままで旅が出来る。
「このまま南へ進もうと思うの、南国はとても果物が美味しいらしいわ」
「そうなんだ、ボクも異国が楽しみだなどんな海が広がってどんな船が航行しているのだろう」
なんと彼らは国を出ようとしていたのだ、縛る物は何もない。ドーラはどこまでも自由なのだ。
だというのに、道中にまたも邪魔が入る。しかしアフォ王子ほどの威力はなかった。王都を追われて逃げて来た元バカ王子が暗黒騎士と共に合流したのである。
「またか、面倒だから丸焦げにしていいかな?」
「ま、待ってくれ!私はもう王族ではないんだ!一人の男としてキミを追いかけて来たんだ!」
「どっちにしろメンドクサイ」
今更、男としてやら愛やら語られたところでドーラには何一つ響きはしない。それに彼女には真のパートナーが出来て幸せな日々を送っているのだから。
やいやいと声を掛けてくる元王子にドーラは耳を貸すことはない。
空気を読まずしつこい粘着さはアフォ元王子と良く似ていた、さすが兄弟である。
「ねぇ外野がいい加減うるさいよね~」
「ん?あぁそうだね、せっかくの旅に水を差されてゲンナリかも」
友人から恋人へ昇格していたティモは少し照れくさそうに笑って恋人の言葉に同意する。出会った頃の不健康な青白さは改善され、血色の良くなった彼は中々の美形である。
「ティモの銀髪は陽に透けるととても綺麗ね!私は大好き」
「あはは、ありがとう。ドーラの方がずっと綺麗だけどね」
魔導荷車に乗ってイチャコラ始めた二人に当てられたブルーノはワナワナと嫉妬に震え、馬の背から無理矢理に会話に入ってくる。
「私もカサンドラの可愛い笑みはとても好きだよ!いいや存在そのものが尊い!」
「……」
無視されたブルーノは打ちひしがれて半べそになるが、女騎士がすかさずフォローした。
「ブルーノ様はとても聡明で上品な所作がカッコイイですよ!さすが元王子!」
「あ、そう――」
平民に落ちた元王子は虚しそうにその言葉を聞き流す。
***
やがて彼らは国境付近に到着した、隣国の砦兵が身分証の提示を求めてきた。
ドーラとティモは冒険者のカードを差し出しサクッと入国した。だがしかし、それに便乗して雪崩れ込もうとしたブルーノ達は当然に通せんぼを食らう。
「身分証のない者は通れない、入国審査の事務手数料と入国税を払え」
「え!?税金だと……私は王子で、あ」
とうに失せた身分を掲げようとしてブルーノはしまったという顔をする。なんとか取り繕うと言葉を繋ぐのだが、騎士が台無しにした。
「ええい、このお方はアルニム国第二王子ブルーノ様である!控えい」
「なんだと!?王族がいきなり越境するなど!ん……確かアルニム王家は解体されたはずだ。ふむ、黙って通すわけにはいかなくなったな」
護衛騎士が余計な事を宣ったばかりに隣国の兵は警戒を露わにして対峙する。
「あらお気の毒、じゃーね元王子」
「さようなら」
ドーラ達は涼しい顔で足止めを食う羽目になった二人へ、にこやかに手を振って別離の挨拶をした。
「ま、待ってカサンドラ!置いて行かないで!」
諦めの悪いブルーノは追いすがったが兵達がそれを阻む。元とはいえ王族が他国へ渡るにはそれなりに手続きが必要なのである、特に崩壊した国の元王族なのだから色々勘繰られて当たり前だ。
「さあさあ、私達は楽しく旅を続けましょうか」
「うん、ドーラ。キミとなら何処へ行こうと楽園に変わるに違いないよ」
「まぁ、ティモったら!」
初々しい恋人たちはまだ見ぬ新しい世界へ踏み出す、これからも様々な体験を重ねることになるだろうが、無敵の魔女と心優しいティモならばどこに行き着こうが幸せになるに違いないだろう。
Happy end
威張るしか脳がなかった王と貴族達は瞬く間に権威を失い、政府は解体されて無能の為政者は財産を取り上げられた上に王都を追われた。貴族も同様である。
こうして都心部は暫く荒れることになった。
それでも民たちから自警団が発足され、ギルドも助力した甲斐もあり、腐った頭だけが挿げ替えった。新しく生まれ変わりつつあるかつての王都は魔女ドーラの帰りを待った。
しかし、彼女の歩みは王都に向かうことはない、自由を得た魔女がどうして戻る必要があるだろう。
身分を捨て見た目をも変化させたきた彼女はやっと素顔のままで旅が出来る。
「このまま南へ進もうと思うの、南国はとても果物が美味しいらしいわ」
「そうなんだ、ボクも異国が楽しみだなどんな海が広がってどんな船が航行しているのだろう」
なんと彼らは国を出ようとしていたのだ、縛る物は何もない。ドーラはどこまでも自由なのだ。
だというのに、道中にまたも邪魔が入る。しかしアフォ王子ほどの威力はなかった。王都を追われて逃げて来た元バカ王子が暗黒騎士と共に合流したのである。
「またか、面倒だから丸焦げにしていいかな?」
「ま、待ってくれ!私はもう王族ではないんだ!一人の男としてキミを追いかけて来たんだ!」
「どっちにしろメンドクサイ」
今更、男としてやら愛やら語られたところでドーラには何一つ響きはしない。それに彼女には真のパートナーが出来て幸せな日々を送っているのだから。
やいやいと声を掛けてくる元王子にドーラは耳を貸すことはない。
空気を読まずしつこい粘着さはアフォ元王子と良く似ていた、さすが兄弟である。
「ねぇ外野がいい加減うるさいよね~」
「ん?あぁそうだね、せっかくの旅に水を差されてゲンナリかも」
友人から恋人へ昇格していたティモは少し照れくさそうに笑って恋人の言葉に同意する。出会った頃の不健康な青白さは改善され、血色の良くなった彼は中々の美形である。
「ティモの銀髪は陽に透けるととても綺麗ね!私は大好き」
「あはは、ありがとう。ドーラの方がずっと綺麗だけどね」
魔導荷車に乗ってイチャコラ始めた二人に当てられたブルーノはワナワナと嫉妬に震え、馬の背から無理矢理に会話に入ってくる。
「私もカサンドラの可愛い笑みはとても好きだよ!いいや存在そのものが尊い!」
「……」
無視されたブルーノは打ちひしがれて半べそになるが、女騎士がすかさずフォローした。
「ブルーノ様はとても聡明で上品な所作がカッコイイですよ!さすが元王子!」
「あ、そう――」
平民に落ちた元王子は虚しそうにその言葉を聞き流す。
***
やがて彼らは国境付近に到着した、隣国の砦兵が身分証の提示を求めてきた。
ドーラとティモは冒険者のカードを差し出しサクッと入国した。だがしかし、それに便乗して雪崩れ込もうとしたブルーノ達は当然に通せんぼを食らう。
「身分証のない者は通れない、入国審査の事務手数料と入国税を払え」
「え!?税金だと……私は王子で、あ」
とうに失せた身分を掲げようとしてブルーノはしまったという顔をする。なんとか取り繕うと言葉を繋ぐのだが、騎士が台無しにした。
「ええい、このお方はアルニム国第二王子ブルーノ様である!控えい」
「なんだと!?王族がいきなり越境するなど!ん……確かアルニム王家は解体されたはずだ。ふむ、黙って通すわけにはいかなくなったな」
護衛騎士が余計な事を宣ったばかりに隣国の兵は警戒を露わにして対峙する。
「あらお気の毒、じゃーね元王子」
「さようなら」
ドーラ達は涼しい顔で足止めを食う羽目になった二人へ、にこやかに手を振って別離の挨拶をした。
「ま、待ってカサンドラ!置いて行かないで!」
諦めの悪いブルーノは追いすがったが兵達がそれを阻む。元とはいえ王族が他国へ渡るにはそれなりに手続きが必要なのである、特に崩壊した国の元王族なのだから色々勘繰られて当たり前だ。
「さあさあ、私達は楽しく旅を続けましょうか」
「うん、ドーラ。キミとなら何処へ行こうと楽園に変わるに違いないよ」
「まぁ、ティモったら!」
初々しい恋人たちはまだ見ぬ新しい世界へ踏み出す、これからも様々な体験を重ねることになるだろうが、無敵の魔女と心優しいティモならばどこに行き着こうが幸せになるに違いないだろう。
Happy end
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