完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ

音爽(ネソウ)

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その後、順調に愛を育みニーナとアルベルトは婚約した。出会ってから20日後のことでやや早いものだった。顔も知らず婚約する貴族もいるのでニーナは幸せな方である。

「ニーナ、また会いに来てしまったよ。あぁ、仕事を早めに片づけて来たから心配しないで」
「まぁ、アルヴィ様ったら、ついさっき先触れがきたばかりですよ」
「ごめん、ごめん、だって我慢できなかったんだよ」

意外にもアルベルトは子供っぽい所があると知ったニーナは急に親しみを覚える。彼はその相貌から冷たい印象を受ける、だがそれは全く見当違いでとても温かい人なのだ。彼が笑うとヒマワリがパァと咲いたようになるのだ。

「うふふ、今日はアールグレイにしましょう。オレンジかミルクを混ぜて」
「なら、私はミルクをお願いしたいな」
「わかりました、楽しみましょう」

彼に茶を供する時はニーナは手づから茶葉を用意して振る舞う、それを快く思うアルベルトは”なんて幸せなことだ”と感激していた。そんな時は必ず身体を左右に揺らす癖がでてしまう。

「あら、また身体が揺れてますよ」
「え?やぁ、失礼した。つい嬉しくてね、子供の頃からの癖でいけないな、でも君といる時くらいは許して?」
「仕方ないですねぇ、うふふ、皆には内緒ですよ」

こうして紅茶を飲む時間をふたりはゆったりと楽しむのだ。




***



「どういうことだ!屋敷に入れないじゃないか!」
父親と別れた後に早速と自分の部屋へレシア・ブランディを招こうとしたアルミロは憤慨する。早く愛し合いたいと思っていた彼はガッチリと閉じて開かないドアをガンガンと蹴る。

「ねぇーえ、まだぁ?私疲れてしまったわ」
「あ、ああ、待っていてくれ、家令がくればすぐにでも……う、ゲホゲホ……ゲホンゲホン!」
「……その咳、今朝からしているわね?どこか具合でも悪いの?」
「え、そんなことはないはずさ、喘息ならとうの昔に治っているしゲフ!ゲホンゲホォ!」

続けて咳を出しまくる彼に呆れるレシアは引いていた、"この人はとても身体が弱いのでは”と思うようになった。それならばそれでも良いと彼女はほくそ笑む。彼女が欲しいのは彼の家の財なのだから。

「ねぇ、こうしていても埒が明かないわ。近くに宿を取りましょうよ」
「あ、あぁゲフゲフ……そうしようか」
仕方なく二人は近所のホテルを取ろうと部屋を借りることにした、だが思わぬ事が彼らを待っていた。

「お部屋はお貸しできません、申し訳ない」
「え?どういうことだ!ボクはルファーノ伯爵令息だぞ、支配人を出せ!抗議してやるゲホゲホ」
何故といわれてもとフロントのホテリエは困り顔だ、止む無く支配人を呼ぶことになった。



「どうかなさいましたか?なにか不手際でも」
髭を蓄えた支配人はニコニコと愛想よく出て来た、するとホテリエがコソリと耳元で何かを伝える。にこやかだった支配人の顔がみるみると強張った。

「さっさと部屋を用意するが良い、ゲホゲホ、最上級のだぞ」
居丈高に威張り散らすアルミロは踏ん反りかえって言う、ルファーノ伯爵の名を出せばどうにかなると思っていた。

「……ここは王都一のホテルでこざいますれば、お客様のような方は相応しくないと考えます」
「なんだと!ゲホゲホ、どういうことだ、ボクはルファーノ伯爵令息で」
すると支配人は肩を竦めてこう言った。

「ルファーノ伯爵家は破産して貴族でもなんでもなくなったのですよ。ご存じない?」
「え……は、破産だと……どういうことなのだ、そ、そんなバカな!」












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