その眼差しは凍てつく刃*冷たい婚約者にウンザリしてます*

音爽(ネソウ)

文字の大きさ
5 / 49

珍獣ベネット2

しおりを挟む
珍獣の乱入に一同は面食らう、ロードリック様は口を半開きで固まってる。

「ん?なによまた来てたの邪魔女ウザーイ!お義兄様ぁ西のサロンへ移動しましょう?お母さまったら酷いのよ、公爵令嬢のわたしに既製服で我慢しろって言うのぉ!」
ロードリック様の腕をぐいぐい引っ張り連れ去ろうとしてます。

この重い空気が読めないなんて豪胆な方です、悪い意味で。

「ベネット!どういう席か理解しての狼藉だろうな!?ただでは済まさんぞ!」
ビリビリと空気が揺れるような怒鳴り声でした。

穏やかな紳士のデンゼル様が魔王のような形相です、ちょっとビックリしました。
そんな顔もされるんですね?

「お義父様、破棄の相談だったのでしょ?理解してますよぉ婚約破棄したんでしょう?だったら邪魔女はほんとに要らないですよね、さっさと帰れば良いんですよ!これでお義兄様と私が結婚できるのよねぇ。あぁでもぉ王子にも求婚されちゃってたわ。やぁーん!ベネット選べなーい!やんやん♪困るぅ」

なにを言ってんだコイツ……?

侯爵家側は茫然です、バカの思考に追いつけません。
ロードリック様は固まったままです、ヘタレですか?いつもの動じない極寒キャラはどうしたんです?

時が動いたのは機転をきかせたアイスブラド家の執事のお陰でした。
護衛を呼んで珍獣ベネットを無理矢理退室させました、牢屋にでも入れて飼って欲しいですね。


***

珍獣ベネットのせいで一旦話し合いは中断ということになりました。
忌々しい……物事はサクサクと解決したいものです。

怒りをあらわにしたいところですが、わたしはクールダウンします。
感情のまま突っ走り、焦っても良いことはないですから。

我が家の庭園の四阿でハーブティ―を飲んで気を静めています。
「いかがですか?頭痛にも効果があるんですよ」
「ええ、ありがとう。飲みやすいわ」
侍女のルルは私の癒しです、見目も可愛くて大好きですよ。

「あぁルルがお嫁にくれば良いのに!貴族の男なんて俺様ばかりで嫌いよ!」
「まぁ、お嬢様。生まれた性別を間違えたんですね」

ほんとそれな!
矜持ばかりで空っぽの男と結婚するなんて虫唾が走るわ!
三日後の話し合いは絶対に婚約破棄をしなければ。

「ベネットがロードリックと婚姻すれば良いのよ」
血縁ではない兄妹なのだから法律上なにも問題はないだろう。

ただ、貴族の結婚は利がなければ結ばれない。
「ベネットの家は没落貴族だから難しいかしら?」

表向きアイスブラド家の後妻におさまったバネッサ様は、チャダル伯爵家の妻だった。
当主同士が親友という間柄で、伯爵が儚くなった後に保護したのが真相。

とうぜん愛はない。
デンゼル様は先妻の故シンシア様に生涯の愛を誓っている。
バネッサ様は淑やかな方で、居候として身を弁えているようだけど卑屈になりすぎ。

ただベネット嬢は勘違いした暴走娘になっている。
あの家はだいじょうぶだろうか。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

天然と言えば何でも許されると思っていませんか

今川幸乃
恋愛
ソフィアの婚約者、アルバートはクラスの天然女子セラフィナのことばかり気にしている。 アルバートはいつも転んだセラフィナを助けたり宿題を忘れたら見せてあげたりとセラフィナのために行動していた。 ソフィアがそれとなくやめて欲しいと言っても、「困っているクラスメイトを助けるのは当然だ」と言って聞かず、挙句「そんなことを言うなんてがっかりだ」などと言い出す。 あまり言い過ぎると自分が悪女のようになってしまうと思ったソフィアはずっともやもやを抱えていたが、同じくクラスメイトのマクシミリアンという男子が相談に乗ってくれる。 そんな時、ソフィアはたまたまセラフィナの天然が擬態であることを発見してしまい、マクシミリアンとともにそれを指摘するが……

2番目の1番【完】

綾崎オトイ
恋愛
結婚して3年目。 騎士である彼は王女様の護衛騎士で、王女様のことを何よりも誰よりも大事にしていて支えていてお護りしている。 それこそが彼の誇りで彼の幸せで、だから、私は彼の1番にはなれない。 王女様には私は勝てない。 結婚3年目の夫に祝われない誕生日に起こった事件で限界がきてしまった彼女と、彼女の存在と献身が当たり前になってしまっていたバカ真面目で忠誠心の厚い騎士の不器用な想いの話。 ※ざまぁ要素は皆無です。旦那様最低、と思われる方いるかもですがそのまま結ばれますので苦手な方はお戻りいただけると嬉しいです 自己満全開の作品で個人の趣味を詰め込んで殴り書きしているため、地雷多めです。苦手な方はそっとお戻りください。 批判・中傷等、作者の執筆意欲削られそうなものは遠慮なく削除させていただきます…

聞き分けよくしていたら婚約者が妹にばかり構うので、困らせてみることにした

今川幸乃
恋愛
カレン・ブライスとクライン・ガスターはどちらも公爵家の生まれで政略結婚のために婚約したが、お互い愛し合っていた……はずだった。 二人は貴族が通う学園の同級生で、クラスメイトたちにもその仲の良さは知られていた。 しかし、昨年クラインの妹、レイラが貴族が学園に入学してから状況が変わった。 元々人のいいところがあるクラインは、甘えがちな妹にばかり構う。 そのたびにカレンは聞き分けよく我慢せざるをえなかった。 が、ある日クラインがレイラのためにデートをすっぽかしてからカレンは決心する。 このまま聞き分けのいい婚約者をしていたところで状況は悪くなるだけだ、と。 ※ざまぁというよりは改心系です。 ※4/5【レイラ視点】【リーアム視点】の間に、入れ忘れていた【女友達視点】の話を追加しました。申し訳ありません。

初恋にケリをつけたい

志熊みゅう
恋愛
「初恋にケリをつけたかっただけなんだ」  そう言って、夫・クライブは、初恋だという未亡人と不倫した。そして彼女はクライブの子を身ごもったという。私グレースとクライブの結婚は確かに政略結婚だった。そこに燃えるような恋や愛はなくとも、20年の信頼と情はあると信じていた。だがそれは一瞬で崩れ去った。 「分かりました。私たち離婚しましょう、クライブ」  初恋とケリをつけたい男女の話。 ☆小説家になろうの日間異世界(恋愛)ランキング (すべて)で1位獲得しました。(2025/9/18) ☆小説家になろうの日間総合ランキング (すべて)で1位獲得しました。(2025/9/18) ☆小説家になろうの週間総合ランキング (すべて)で1位獲得しました。(2025/9/22)

王子殿下の慕う人

夕香里
恋愛
【本編完結・番外編不定期更新】 エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。 しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──? 「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」 好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。 ※小説家になろうでも投稿してます

「君の作った料理は愛情がこもってない」と言われたのでもう何も作りません

今川幸乃
恋愛
貧乏貴族の娘、エレンは幼いころから自分で家事をして育ったため、料理が得意だった。 そのため婚約者のウィルにも手づから料理を作るのだが、彼は「おいしいけど心が籠ってない」と言い、挙句妹のシエラが作った料理を「おいしい」と好んで食べている。 それでも我慢してウィルの好みの料理を作ろうとするエレンだったがある日「料理どころか君からも愛情を感じない」と言われてしまい、もう彼の気を惹こうとするのをやめることを決意する。 ウィルはそれでもシエラがいるからと気にしなかったが、やがてシエラの料理作りをもエレンが手伝っていたからこそうまくいっていたということが分かってしまう。

【完結】忘れてください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。 貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。 夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。 貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。 もういいの。 私は貴方を解放する覚悟を決めた。 貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。 私の事は忘れてください。 ※6月26日初回完結  7月12日2回目完結しました。 お読みいただきありがとうございます。

貴方にはもう何も期待しません〜夫は唯の同居人〜

きんのたまご
恋愛
夫に何かを期待するから裏切られた気持ちになるの。 もう期待しなければ裏切られる事も無い。

処理中です...