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悲惨な試験結果
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季節は廻り冬を越え春となった3月、意気揚々と卒業式を迎えるつもりでいるヒーナとフレッド王子は相変わらず生徒会室に入り浸り腰巾着たちとカードゲームに夢中だった。
だがしかし、肝心な事を頭から抜け落ちていた、それは”卒業試験”である。成績が悪かろうと自動的に進級は許されていた彼らは現実を見ていなかったのだ。
中間の成績が最悪であろうと最終試験の結果が及第点を取れさえすれば無事証書が貰える。暗黙の了解である学園のやり方は少々温いが歴代の卒業生は皆そうしてきた。
矜持が無駄に高い貴族らは留年などしたくない、だから低学年のうちは遊びまくり最後の年にして砦となる卒業学年に突入とともに必死に勉学に勤しむのだ。
ところが例のおバカ二人はそんな常識などコロリと忘却していた、とうぜんのように問ひとつ解けずに試験は惨敗したのである。
学園長をはじめ教師一同は頭を抱えて緊急会議を開いた。
「前例がない脱落者が出てしまった、由々しき事態であるぞ。しかも王子ときた……男爵令嬢は捨て置いてもこれは看過できぬ」
白髪頭を掻きむしって唸るように言葉を吐いたのは学園長である、すぐ側に席を持った教頭も困惑のせいかしきりに眼鏡をクイクイ調えて王子の答案用紙を吟味している。
何度も見返してもその答案は白紙同然だったし、辛うじて奮闘したらしい箇所に至ってはデタラメな回答が書かれていた。氏名の部分に2点を付けたとしても総合点数は10点である、つまり全科目零点なのだ。
惜しい回答さえあればなんとかフォローのしようがあるが、ほぼ何も記入されていない。
ヒーナの答案用紙に至っては丸投げしたらしく抗った形跡は皆無で、己の名前の綴りすら間違えていた。これでは点のつけようがない。
「低学年時は零点でも進級させてきたから”油断”したのでしょうな可哀そうに」
いまになっても王族派の教頭が甘い事を述べるので教師らは怒りを露わにして彼を睨んだ。
「は?油断?何を言うか、端から学ぶことを放棄していた結果であろうよ!教頭までも頭が沸いたのか?」
激高した学園長が唾を飛ばす勢いで教頭を怒鳴りつけた、「油断」などと言ったのは何かしらの手を打って卒業に持ち込もうとしている思惑を読んだからだ。
そんな贔屓は許されないと教師たちは学園長の意見に賛同する。窮地に追い込まれた教頭はモゴモゴと言い訳を吐くとバツが悪そうに俯いた。どこにいても分が悪い王族派である。
卒業試験には追試があるが非常に難問である、付け焼刃で勉強しても王子らがクリアできるとは思えなかった。
学園長は「不正を働いたら教員免許を取り上げる」と教頭へ釘を刺した。試験問題の漏洩などあってはならない事件である。
さすがの教頭も職を失うのは御免被る様子で大人しくなった。
***
追試を受けても卒業は無理だと知った王子は顔色を悪くする、テストで何一つ解けなかった彼は零点の自覚はあったがまさか留年制度があったなど知らずにいた。
それは歴代の先輩方が留年したなど耳にしたことがないからだ、王子の側近達は「何を今さら」と呆れている。彼らとて試験半年前には「勉強はされてますか?遊び惚けてはいけません」と諌言していたのだから。
それだと言うのに……
「お前達!なぜもっと強く指摘しなかった?卒業に響くと説明してくれたら俺だって!」
八つ当たりを飛ばすバカ王子に側近らは冷たい視線を返して反論する。
「我らは散々と諌言してまいりましたよ、聞く耳を持たなかったのは誰です?」
「そうですよ、共に勉強会を開きましょうと誘いましたが逃げましたよね」
「ボクも王子殿下を個別指導しますと申し出ましたが構うなと怒られました」
上位の成績を収めて卒業が決定している側近たちは王子へ口撃した、そして聞きたくもない情報を彼に知らせた。
「ナディア様は主席で卒業が決まったようです、さすが勤勉な方だと感心しました」
「総合点はなんと497点です、素晴らしい結果だ!」
「難解な古語で満点を取られたそうで、学者になったほうが良いくらいだ!」
それを聞いた王子は顔を真っ赤に染めて、怒りと羞恥をどこにぶつけていいか分からなくなって失神した。
あまりにも気が昂ったせいで精神に大きなダメージを食らったのだった。
医務室に担ぎ込まれた王子は魘されながらもナディアを貶めることをブツブツと譫言を垂れていた。
「ゆ、許さない……夫になる者を立てないなど……くそう……覚えてろ」
「あぁ可哀そうなフレッド、ヒーナが慰めてあげる」
共に留年が決まっているヒーナは呑気なもので、もう一年学生気分が味わえるならそれもいいと宣ったのだ。
「社会人なんてつまんないわ、働くなんてヒーナ絶対イヤよ!」
*次回卒業パーティ断罪劇
だがしかし、肝心な事を頭から抜け落ちていた、それは”卒業試験”である。成績が悪かろうと自動的に進級は許されていた彼らは現実を見ていなかったのだ。
中間の成績が最悪であろうと最終試験の結果が及第点を取れさえすれば無事証書が貰える。暗黙の了解である学園のやり方は少々温いが歴代の卒業生は皆そうしてきた。
矜持が無駄に高い貴族らは留年などしたくない、だから低学年のうちは遊びまくり最後の年にして砦となる卒業学年に突入とともに必死に勉学に勤しむのだ。
ところが例のおバカ二人はそんな常識などコロリと忘却していた、とうぜんのように問ひとつ解けずに試験は惨敗したのである。
学園長をはじめ教師一同は頭を抱えて緊急会議を開いた。
「前例がない脱落者が出てしまった、由々しき事態であるぞ。しかも王子ときた……男爵令嬢は捨て置いてもこれは看過できぬ」
白髪頭を掻きむしって唸るように言葉を吐いたのは学園長である、すぐ側に席を持った教頭も困惑のせいかしきりに眼鏡をクイクイ調えて王子の答案用紙を吟味している。
何度も見返してもその答案は白紙同然だったし、辛うじて奮闘したらしい箇所に至ってはデタラメな回答が書かれていた。氏名の部分に2点を付けたとしても総合点数は10点である、つまり全科目零点なのだ。
惜しい回答さえあればなんとかフォローのしようがあるが、ほぼ何も記入されていない。
ヒーナの答案用紙に至っては丸投げしたらしく抗った形跡は皆無で、己の名前の綴りすら間違えていた。これでは点のつけようがない。
「低学年時は零点でも進級させてきたから”油断”したのでしょうな可哀そうに」
いまになっても王族派の教頭が甘い事を述べるので教師らは怒りを露わにして彼を睨んだ。
「は?油断?何を言うか、端から学ぶことを放棄していた結果であろうよ!教頭までも頭が沸いたのか?」
激高した学園長が唾を飛ばす勢いで教頭を怒鳴りつけた、「油断」などと言ったのは何かしらの手を打って卒業に持ち込もうとしている思惑を読んだからだ。
そんな贔屓は許されないと教師たちは学園長の意見に賛同する。窮地に追い込まれた教頭はモゴモゴと言い訳を吐くとバツが悪そうに俯いた。どこにいても分が悪い王族派である。
卒業試験には追試があるが非常に難問である、付け焼刃で勉強しても王子らがクリアできるとは思えなかった。
学園長は「不正を働いたら教員免許を取り上げる」と教頭へ釘を刺した。試験問題の漏洩などあってはならない事件である。
さすがの教頭も職を失うのは御免被る様子で大人しくなった。
***
追試を受けても卒業は無理だと知った王子は顔色を悪くする、テストで何一つ解けなかった彼は零点の自覚はあったがまさか留年制度があったなど知らずにいた。
それは歴代の先輩方が留年したなど耳にしたことがないからだ、王子の側近達は「何を今さら」と呆れている。彼らとて試験半年前には「勉強はされてますか?遊び惚けてはいけません」と諌言していたのだから。
それだと言うのに……
「お前達!なぜもっと強く指摘しなかった?卒業に響くと説明してくれたら俺だって!」
八つ当たりを飛ばすバカ王子に側近らは冷たい視線を返して反論する。
「我らは散々と諌言してまいりましたよ、聞く耳を持たなかったのは誰です?」
「そうですよ、共に勉強会を開きましょうと誘いましたが逃げましたよね」
「ボクも王子殿下を個別指導しますと申し出ましたが構うなと怒られました」
上位の成績を収めて卒業が決定している側近たちは王子へ口撃した、そして聞きたくもない情報を彼に知らせた。
「ナディア様は主席で卒業が決まったようです、さすが勤勉な方だと感心しました」
「総合点はなんと497点です、素晴らしい結果だ!」
「難解な古語で満点を取られたそうで、学者になったほうが良いくらいだ!」
それを聞いた王子は顔を真っ赤に染めて、怒りと羞恥をどこにぶつけていいか分からなくなって失神した。
あまりにも気が昂ったせいで精神に大きなダメージを食らったのだった。
医務室に担ぎ込まれた王子は魘されながらもナディアを貶めることをブツブツと譫言を垂れていた。
「ゆ、許さない……夫になる者を立てないなど……くそう……覚えてろ」
「あぁ可哀そうなフレッド、ヒーナが慰めてあげる」
共に留年が決まっているヒーナは呑気なもので、もう一年学生気分が味わえるならそれもいいと宣ったのだ。
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