1 / 5
メリントン・ファイブスター王女の編入
しおりを挟む「メリル・デイトリクス公爵令嬢?聞いたことがないな」
「でもデイトリクスと言えば大富豪の名と同じじゃないか、ひょとしたそうなのかも」
彼らは編入してくると噂の女性について話し合っていた。箱入りの令嬢が気まぐれで王都学園にやってくると情報があったのだ。
「どうにも錯綜しているな、ほんとにいるのか怪しいもんさ」
ポルドワン・ランブールは胡散臭そうに「ふん」と鼻を鳴らす。お近づきになりたいものだと悪友はせせら笑う。
「お前がか?冗談だろう、たかが子爵程度の身分で何を言ってるんだ」
「そんな事を言うなよ~夢を見てなにが悪い、自虐してんだろ」
不貞腐れる友人にソッポを向いて「俺だったらギリいけるかも」とポルドワンは言う。
その次の週にその令嬢は現れた、緩くうねった淡い栗毛に同じ色の瞳の彼女は見目美しくそこに立っていた。正面玄関に到着した彼女は教師に促され校舎に入っていく。
『噂はほんとうしいな、デイトリクス公爵……だが娘がいたなんて聞いた事がないぞ。ひょっとしたら……隠し子かなにか?富豪の愛人の子供とか、あり得るな!』
にんまりと笑ったポルドワンは「手取り足取り教えてあげようじゃないか」とクスクスと笑いながら彼女の消えた校舎へと向かうのだった。
***
「よ、ようこそ。我が校へ!私は学園長の」
「あぁ、堅い挨拶はナシでお願いするわ、くれぐれも身分は内密にお願いね?」
「はい、もちろんです!王女殿下!」
「ほらもう!それがダメだと言っているのよ、私はメリントン・ファイブスターではなく只のメリル・デイトリクスですからね!」と学園長の耳を摘まんでそう小さく囁いた。
”メリル・デイトリクス公爵令嬢”と身分を隠し、瞳と髪色を変えてやってきた。多少王女と似ていたとしても、親戚であるデイトリクス公爵ならば誤魔化せるだろうと踏んでのことだ。
彼女はファイブスター王とある賭けをしていた。恋に恋する乙女の王女は結婚のことで頭を悩ませていたのだ。
「私は真に心から愛する方じゃないと結婚しません!例え陛下が立腹されようとね」
しかも彼女は望まぬ婚姻をさせるなら修道院に入ると脅す、これにはファイブスター王も頭を抱えた。現王の一粒種である王女を女王にしようと画策していた、王配は隣国の第三王子をと考えていたのだ。
「わかったから落ち着きなさい!ではこうしよう、王都学園へ行き半年間のうちに心を許す殿方を射止めなさい。期間内に現れなかったらアングラードの王子と婚約するのだ」
「ふん!良いでしょう、半年間ね、見ていなさい。私は真の愛を勝ち取って見せるわ!」
18
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
どうぞお好きになさってください
はなまる
恋愛
ミュリアンナ・ベネットは20歳。母は隣国のフューデン辺境伯の娘でミュリアンナは私生児。母は再婚してシガレス国のベネット辺境伯に嫁いだ。
兄がふたりいてとてもかわいがってくれた。そのベネット辺境伯の窮地を救うための婚約、結婚だった。相手はアッシュ・レーヴェン。女遊びの激しい男だった。レーヴェン公爵は結婚相手のいない息子の相手にミュリアンナを選んだのだ。
結婚生活は2年目で最悪。でも、白い結婚の約束は取り付けたし、まだ令息なので大した仕事もない。1年目は社交もしたが2年目からは年の半分はベネット辺境伯領に帰っていた。
だが王女リベラが国に帰って来て夫アッシュの状況は変わって行くことに。
そんな時ミュリアンナはルカが好きだと再認識するが過去に取り返しのつかない失態をしている事を思い出して。
なのにやたらに兄の友人であるルカ・マクファーレン公爵令息が自分に構って来て。
どうして?
個人の勝手な創作の世界です。誤字脱字あると思います、お見苦しい点もありますがどうぞご理解お願いします。必ず最終話まで書きますので最期までよろしくお願いします。
正当な権利ですので。
しゃーりん
恋愛
歳の差43歳。
18歳の伯爵令嬢セレーネは老公爵オズワルドと結婚した。
2年半後、オズワルドは亡くなり、セレーネとセレーネが産んだ子供が爵位も財産も全て手に入れた。
遠い親戚は反発するが、セレーネは妻であっただけではなく公爵家の籍にも入っていたため正当な権利があった。
再婚したセレーネは穏やかな幸せを手に入れていたが、10年後に子供の出生とオズワルドとの本当の関係が噂になるというお話です。
いつまでも甘くないから
朝山みどり
恋愛
エリザベスは王宮で働く文官だ。ある日侯爵位を持つ上司から甥を紹介される。
結婚を前提として紹介であることは明白だった。
しかし、指輪を注文しようと街を歩いている時に友人と出会った。お茶を一緒に誘う友人、自慢しちゃえと思い了承したエリザベス。
この日から彼の様子が変わった。真相に気づいたエリザベスは穏やかに微笑んで二人を祝福する。
目を輝かせて喜んだ二人だったが、エリザベスの次の言葉を聞いた時・・・
二人は正反対の反応をした。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる