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偽王女
しおりを挟むその後は何事もなく穏やかに過ごしていた、相変わらずポルドワンはチラチラとメリル・デイトリクスの周囲に現れるが侍女の牽制が厳しい。
「エイラ~そのように周囲を固めては交流できません、少しは緩めて頂戴」
「いいえ、お嬢様。あの男はダメです!絶対にです」
「もう~」
あの日、ミラ・ランドンから聞いた情報を思い出してエイラは『絶対に王女に相応しくない』と考えた。
「あの男は女生徒をとっかえひっかえ……あまつさえ」
エイラはブツブツと呟き移動中も不審者を見るような目で歩いた、怖がった男子生徒は遠巻きにして歩く。
「はぁ、こんなんじゃ相手などみつかりはしないわ」
そんな時だ、”王女メリントン・ファイブスターがお忍びで学園に通っている”という噂が流れたのだ。当のメリントンは学生カフェでお茶を楽しんでいたのだが、それを聞き思い切り噴き出してしまう。
「な!ゴホゴホ!ど、どういうことですの!?どうしてそのような」
「さぁ、噂の出処を探りませんと……」
侍女は「可笑しなこともあるものです」と首を傾げる、その割には大分落ち着いているようだ。メリントン・ファイブスターことメリル・デイトリクスは嫌な予感を覚える。
そして、その噂の人物は現れた。豪華絢爛なキラキラ衣装を纏い”いかにも”な恰好の王女殿下が廊下を練り歩く。傍らには護衛5名と侍女、メイドも5名ほど侍らせて歩いていた。
「オーホホホッ!苦しゅうないわ、我が民たちよ」
偽王女は悪びれる様子もなく本物の王女の前を過ぎて行った、ポカンとして見送るメリルは一体何者だろうと鈍った頭で考えた。
「お嬢様、戻ってきてください」
「え、ああぁ……ごめんなさい。あまりの事に意識が遠のいてしまったわ」
偽王女はとにかく下品で濃い香水をつけて「ふんふん」と鼻息荒く歩いていた。メリルは私もあんな風なのかと落ち込む。
「しっかりお嬢様、貴女はあんな酷い有様ではございません」
「そ、そう……それならば良い……って良くないわ!何なのよ自称王女様は何者なの」
するとこんな事をやりそうなのは「王様くらいでしょうね」と侍女は頭を抱えて言う。
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