完結 恋人を略奪されましたが幸運でした!

音爽(ネソウ)

文字の大きさ
1 / 4

0

とある日の午後、街角で商会の娘ロレッタ・モウゼンは学生時代の悪友リリアン・ホアンデと邂逅した。
同じく商家の娘であるのが原因か、何かとライバル視されて来た彼女はウンザリした顔を隠そうともしなかった。
「なによロレッタ、久しぶりに会ったというのに冷たいのね!」
「……会いたくなかったからに決まっているでしょう?」
ニタニタと意地悪い笑顔のリリアンは値踏みするようにかつての学友をジロジロ観察している。そして、その彼女の横に所在無げに佇む美男子を見て愛想よく微笑んだ。

「素敵な殿方ねぇ、是非紹介してよ」
「は?」
不躾に連れの男性に色目を使いだしたリリアンにロレッタの眉間に皺が寄る。関わりたくない彼女は離れようとしたが、連れの男は自己紹介を始めてしまった。
「やぁ、愛らしい御嬢さん。私はリディン・バードと言いますロレッタの恋人です、以後お見知りおきを」
「まぁ、ご丁寧に!私はホアンデ商会の娘でリリアンよ!よろしくね」
「ホアンデ商会!それは素晴らしいな、ガラス細工で有名な雑貨店じゃないですか」
褒められて良い気分になったらしいリリアンはお茶へ誘った。

「せっかく知り合ったのだもの、カフェに行きましょう!いろいろとお話ししたいわ!」
「ええ喜んで!」
二人は勝手に盛り上がりロレッタを放置して話を進めてしまった、今日は初めてのデートで歌劇を観る約束をしていたはずだった。膨れるロレッタに彼は「大切なお友達を優先すべき」と良くわからない言い訳をした。そもそもな話、ロレッタはリリアンを友人として認定していない。

学生時代の苦い思い出を頭に蘇ってしまったロレッタは、自然と彼らから離れて歩いていた。

あなたにおすすめの小説

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

貧乏子爵令嬢ですが、愛人にならないなら家を潰すと脅されました。それは困る!

よーこ
恋愛
図書室での読書が大好きな子爵令嬢。 ところが最近、図書室で騒ぐ令嬢が現れた。 その令嬢の目的は一人の見目の良い伯爵令息で……。 短編です。

毒姫の婚約騒動

SHIN
恋愛
卒業式を迎え、立食パーティーの懇談会が良い意味でも悪い意味でもどことなくざわめいていた。 「卒業パーティーには一人で行ってくれ。」 「分かりました。」 そう婚約者から言われて一人で来ましたが、あら、その婚約者は何処に? あらあら、えっと私に用ですか? 所で、お名前は? 毒姫と呼ばれる普通?の少女と常に手袋を着けている潔癖症?の男のお話し。

記憶を無くした、悪役令嬢マリーの奇跡の愛

三色団子
恋愛
豪奢な天蓋付きベッドの中だった。薬品の匂いと、微かに薔薇の香りが混ざり合う、慣れない空間。 ​「……ここは?」 ​か細く漏れた声は、まるで他人のもののようだった。喉が渇いてたまらない。 ​顔を上げようとすると、ずきりとした痛みが後頭部を襲い、思わず呻く。その拍子に、自分の指先に視線が落ちた。驚くほどきめ細やかで、手入れの行き届いた指。まるで象牙細工のように完璧だが、酷く見覚えがない。 ​私は一体、誰なのだろう?

愛されたい妹と逃げる婚約者

キャルキャル
恋愛
正気からバカップルを見るときっとこうなりそう

友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった

海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····? 友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))

「やはり鍛えることは、大切だな」

イチイ アキラ
恋愛
「こんなブスと結婚なんていやだ!」  その日、一つのお見合いがあった。  ヤロール伯爵家の三男、ライアンと。  クラレンス辺境伯家の跡取り娘、リューゼットの。  そして互いに挨拶を交わすその場にて。  ライアンが開幕早々、ぶちかましたのであった。  けれども……――。 「そうか。私も貴様のような生っ白くてか弱そうな、女みたいな顔の屑はごめんだ。気が合うな」

馬小屋の令嬢

satomi
恋愛
産まれた時に髪の色が黒いということで、馬小屋での生活を強いられてきたハナコ。その10年後にも男の子が髪の色が黒かったので、馬小屋へ。その一年後にもまた男の子が一人馬小屋へ。やっとその一年後に待望の金髪の子が生まれる。女の子だけど、それでも公爵閣下は嬉しかった。彼女の名前はステラリンク。馬小屋の子は名前を適当につけた。長女はハナコ。長男はタロウ、次男はジロウ。 髪の色に翻弄される彼女たちとそれとは全く関係ない世間との違い。 ある日、パーティーに招待されます。そこで歯車が狂っていきます。