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とある日の午後、街角で商会の娘ロレッタ・モウゼンは学生時代の悪友リリアン・ホアンデと邂逅した。
同じく商家の娘であるのが原因か、何かとライバル視されて来た彼女はウンザリした顔を隠そうともしなかった。
「なによロレッタ、久しぶりに会ったというのに冷たいのね!」
「……会いたくなかったからに決まっているでしょう?」
ニタニタと意地悪い笑顔のリリアンは値踏みするようにかつての学友をジロジロ観察している。そして、その彼女の横に所在無げに佇む美男子を見て愛想よく微笑んだ。
「素敵な殿方ねぇ、是非紹介してよ」
「は?」
不躾に連れの男性に色目を使いだしたリリアンにロレッタの眉間に皺が寄る。関わりたくない彼女は離れようとしたが、連れの男は自己紹介を始めてしまった。
「やぁ、愛らしい御嬢さん。私はリディン・バードと言いますロレッタの恋人です、以後お見知りおきを」
「まぁ、ご丁寧に!私はホアンデ商会の娘でリリアンよ!よろしくね」
「ホアンデ商会!それは素晴らしいな、ガラス細工で有名な雑貨店じゃないですか」
褒められて良い気分になったらしいリリアンはお茶へ誘った。
「せっかく知り合ったのだもの、カフェに行きましょう!いろいろとお話ししたいわ!」
「ええ喜んで!」
二人は勝手に盛り上がりロレッタを放置して話を進めてしまった、今日は初めてのデートで歌劇を観る約束をしていたはずだった。膨れるロレッタに彼は「大切なお友達を優先すべき」と良くわからない言い訳をした。そもそもな話、ロレッタはリリアンを友人として認定していない。
学生時代の苦い思い出を頭に蘇ってしまったロレッタは、自然と彼らから離れて歩いていた。
同じく商家の娘であるのが原因か、何かとライバル視されて来た彼女はウンザリした顔を隠そうともしなかった。
「なによロレッタ、久しぶりに会ったというのに冷たいのね!」
「……会いたくなかったからに決まっているでしょう?」
ニタニタと意地悪い笑顔のリリアンは値踏みするようにかつての学友をジロジロ観察している。そして、その彼女の横に所在無げに佇む美男子を見て愛想よく微笑んだ。
「素敵な殿方ねぇ、是非紹介してよ」
「は?」
不躾に連れの男性に色目を使いだしたリリアンにロレッタの眉間に皺が寄る。関わりたくない彼女は離れようとしたが、連れの男は自己紹介を始めてしまった。
「やぁ、愛らしい御嬢さん。私はリディン・バードと言いますロレッタの恋人です、以後お見知りおきを」
「まぁ、ご丁寧に!私はホアンデ商会の娘でリリアンよ!よろしくね」
「ホアンデ商会!それは素晴らしいな、ガラス細工で有名な雑貨店じゃないですか」
褒められて良い気分になったらしいリリアンはお茶へ誘った。
「せっかく知り合ったのだもの、カフェに行きましょう!いろいろとお話ししたいわ!」
「ええ喜んで!」
二人は勝手に盛り上がりロレッタを放置して話を進めてしまった、今日は初めてのデートで歌劇を観る約束をしていたはずだった。膨れるロレッタに彼は「大切なお友達を優先すべき」と良くわからない言い訳をした。そもそもな話、ロレッタはリリアンを友人として認定していない。
学生時代の苦い思い出を頭に蘇ってしまったロレッタは、自然と彼らから離れて歩いていた。
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