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終戦
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「あと10年後だったらどうなってたかしらね」
勝利したゼベール海域より、帝国側へ転移してきたハウラナが海原に停泊する船を眺めて言う。
大小合わせて50隻はある大艦隊は、時代が違えば脅威だったろう。
「あそこから砲弾が届くほどに改良されていたら……恐ろしいな」クレイブが眉を片方下げた。
「ええ、夜襲なんかされたら夢心地で天国へ逝けたわね」
呑気にブランデーを落とした紅茶を飲みながら、パウンドケーキを食むハウラナである。
「ラナサマ コウチャノオカワリハ イカガデスカ?」傀儡メイドのミーニャが声をかけた。
「ええ、ありがとう。次はレモンと蜂蜜でお願いね」
「カシコマリマシタ」
つい先ほどイースレッドから使者がやってきて、降参の旨を受け取ったところだ。
いまや、遠く待機している艦隊全体から白い旗が幾枚も掲げられ海風に煽られている。
「無駄な事をしたわね、最初から喧嘩を売らなければいいのに……ねぇ、おかしいわよね?」
ハウラナはケーキに入っていたレーズンとクルミの食感に頬を緩ませて言う。
「あ、ああそうだな」
どこか歯切れの悪いクレイブ。
「敗戦国としての矜持を見せたかったのだろう?一応軍国家だからな」
「はぁ~国民を戦の犠牲にするバカが頭では先が知れるわね、いっそ造船技術だけ残して国を消しちゃったほうが良くない?帝国で吸収しちゃってよ」
空恐ろしいことをいうハウラナに、クレイブは紅茶で咽った。
「ゲッホ!ば、バカ!国盗りはそんな簡単ではないぞ!同盟国たちから避難がくる、いくら帝国といえ独裁政権は嫌われる、世界大戦に発展したら面倒だろ」
「ちゃっちゃと3国を潰したクレイブがそれ言うの?」
「あれも向こうが仕掛けた戦争だったから、ちょっと暴れただけだ。小国だったから問題なかったが、今回は軍大国で懇意してる国も多い単純じゃないんだ。イースレッドの造船技術はそれほど価値が高い」
なんだツマラナイとハウラナはそっぽを向いた。
彼女はレーネに牙を剥かれたことに、かなり苛立っているのだ。
それと……
「白状なさいなクレイブ、あなたイースレッドの王族の脳みそに干渉したでしょ?」
「……」
無言で肯定したクレイブに、ハウラナは「やっぱり、可笑しいと思った」と肩を竦めた。
負けが決まっていた戦争をイースレッドから仕掛けたことに疑問を持っていたのだ。
帝国がまんまと戦艦を手に入れたことには言及しない。
「まぁいいわ、それなりに報復したから」
そう言ってハウラナは3杯目の紅茶を口にした。
勝利したゼベール海域より、帝国側へ転移してきたハウラナが海原に停泊する船を眺めて言う。
大小合わせて50隻はある大艦隊は、時代が違えば脅威だったろう。
「あそこから砲弾が届くほどに改良されていたら……恐ろしいな」クレイブが眉を片方下げた。
「ええ、夜襲なんかされたら夢心地で天国へ逝けたわね」
呑気にブランデーを落とした紅茶を飲みながら、パウンドケーキを食むハウラナである。
「ラナサマ コウチャノオカワリハ イカガデスカ?」傀儡メイドのミーニャが声をかけた。
「ええ、ありがとう。次はレモンと蜂蜜でお願いね」
「カシコマリマシタ」
つい先ほどイースレッドから使者がやってきて、降参の旨を受け取ったところだ。
いまや、遠く待機している艦隊全体から白い旗が幾枚も掲げられ海風に煽られている。
「無駄な事をしたわね、最初から喧嘩を売らなければいいのに……ねぇ、おかしいわよね?」
ハウラナはケーキに入っていたレーズンとクルミの食感に頬を緩ませて言う。
「あ、ああそうだな」
どこか歯切れの悪いクレイブ。
「敗戦国としての矜持を見せたかったのだろう?一応軍国家だからな」
「はぁ~国民を戦の犠牲にするバカが頭では先が知れるわね、いっそ造船技術だけ残して国を消しちゃったほうが良くない?帝国で吸収しちゃってよ」
空恐ろしいことをいうハウラナに、クレイブは紅茶で咽った。
「ゲッホ!ば、バカ!国盗りはそんな簡単ではないぞ!同盟国たちから避難がくる、いくら帝国といえ独裁政権は嫌われる、世界大戦に発展したら面倒だろ」
「ちゃっちゃと3国を潰したクレイブがそれ言うの?」
「あれも向こうが仕掛けた戦争だったから、ちょっと暴れただけだ。小国だったから問題なかったが、今回は軍大国で懇意してる国も多い単純じゃないんだ。イースレッドの造船技術はそれほど価値が高い」
なんだツマラナイとハウラナはそっぽを向いた。
彼女はレーネに牙を剥かれたことに、かなり苛立っているのだ。
それと……
「白状なさいなクレイブ、あなたイースレッドの王族の脳みそに干渉したでしょ?」
「……」
無言で肯定したクレイブに、ハウラナは「やっぱり、可笑しいと思った」と肩を竦めた。
負けが決まっていた戦争をイースレッドから仕掛けたことに疑問を持っていたのだ。
帝国がまんまと戦艦を手に入れたことには言及しない。
「まぁいいわ、それなりに報復したから」
そう言ってハウラナは3杯目の紅茶を口にした。
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