完結 妹がなんでも欲しがるので全部譲りました所

音爽(ネソウ)

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家族も気づいていた事だが、アロイスはカリーナと浮気をしていた。
瓜二つの彼女らだったが、貞操がゆるゆるなカリーナにアロイスは陥落したのだ。

見て見ぬふりを貫いていたユリアネは婚約者の交換を願われるのではないかと覚悟していた。別に愛してもいなかったし家同士の繋がりに過ぎないことを彼女は黙して受け入れていたのだ。
今となってはもうどうでも良いことだとユリアネは唾棄した。


婚約者が移ってしばらく後、ユリアネの見舞いにアロイスが申し訳なさそうに現れた。いまさら顔を見たくないユリアネは始終ソッポを向いていたという。
「勝手に幸せになれば良いわ、あの子も貴方もね……でも最後にお願いが一つあるの」
「願い?……あぁそれくらいなら聞くよ」
後ろめたさがあったアロイスはその願いを快諾する、彼女が元婚約者に願ったのは黒曜石の指輪だった。

カリーナは姉が指輪を強請ったらしいことを耳にしてイラついたが、黒い石と聞いて「そんな地味なもの要らない、姉様にあげる」と端から彼女のものでもないのに言い放つ。
斜め上の発言をするカリーナにアロイスは苦笑するしかない。


「どうせ貰うならもっと可愛いものを貰えば良いのに!気が利かないんだから!」
横取りするのが当たり前になっていたカリーナは可笑しなことを言う。
「私に似合うのは薄桃色よ、黒や灰色なんて地味なものは嫌いだわ。だって華やかじゃないもの」
色使いによって美しさは変わるものだが、彼女が欲しがるものはすべて明るいものばかりなのだ。色同士が喧嘩しようが綺麗であるなら喜んで身に着けた。

そんな彼女はセンスの悪さが目立ったが、気にしないし他人の助言など「嫉妬している」と解釈するのだ。
どんな色でも着こなせる己は最高に美しいのだと自惚れていた。

やがてユリアネがお願いした黒曜石の指輪が完成すると侍女の手によってベッドに届けられた。
アロイスの顔を見たくない彼女の抵抗故なのである。
黒曜石はさほど希少ではないので、なぜそんな石を選んだのか家人は誰も理解できなかった。
それでも彼女は嬉しそうにその指輪を填めて貰い、自身で動かせない腕を介助されてそれを眺めた。

「ふふ、嬉しいわ。注文通りに誂えてくれたのね」
この時ばかりはアロイスに感謝をした、そしてドアの陰から物欲しそうにチラチラ覗いている愚妹の姿を見て「やはり来たか」と微笑むのだった。


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