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婚約者は肉オバケ
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イーライ視点
婚約者アリスの異変を感じたのは、彼女が療養して半月ほどの頃だった。
最初のうちは、元から痩せ気味のアリスを心配していたから血色がよくなり怪我の功名くらいに思ってた。
でも、いくらなんでも丸くなり過ぎていた。
ボクのお見舞い品の影響も少なからずあったと反省はした。
だから、花束や本などに変更して見舞いに行っていくようにしていた。
なのに、アリスはみるみる太ましくなっていく。
食事時は迷惑が掛からないように避けて会っていたがそうも言ってられない。
彼女が太った原因を確かめなければ……。
早速、ボクは昼食時間を狙って訪問した。
案の定、彼女の食事量は常軌を逸したものだった。
ギトギトのステーキに、バターたっぷりの山盛りのパン。それにねっとり濃厚ないちごジャムを大盛にして食べていた。
野菜などは見当たらない。
『そりゃ太るわ!!!フォアグラ用のガチョウの方が遥かにヘルシーな餌食ってるぞ』
ボクは腹の内で暴言を吐いた、だがこれくらい許して欲しい。
痩せろデブと罵らなかった事を褒めて欲しいくらいだ。
デザートはクリームたっぷりのケーキが毎食つくそうだ。
せめて果物に変えろよ、いくら療養とはいえ過剰なカロリー摂取じゃないか。
アリスは顔がパンパンで、首は肉マフラー状態になった姿で貪っている。
すっかりそれが当たり前の食事として摂っているようだった。
咀嚼する度に肉マフラーがボヨボヨと跳ねている。脂ぎった顔には吹き出物がたくさん出来ている。
正直、醜くて気持ち悪い。
こんな子を花嫁に迎えなければならないのか?背筋が寒くなったぞ。
冗談ではない!
ボクは慌ててスペンサー夫妻に進言した、これでは返って不健康になってしまうとね。
なんのための療養かわからないじゃないか。
だけど夫妻の返答に呆れかえることになった。
「そうか、キミは娘のために心を砕いてくれていたのだね。なんて優しいんだ、キミの土産はとても美味しいと喜んでいたよ。これからも贈ってやってくれたまえ」
「え、いや。あの喜んでくれるのは良いのですが」
ボクがそういう事じゃないと話そうとしたが、夫人が腰を折って来た。
「まぁ、アリスったら愛されてるのぇ。たくさん栄養を摂って元気にならなくちゃね、やっぱり夕食も多めにしましょう。結婚式に間に合わなかったら大変だもの~」
「いや、ですから。食べすぎは良くないと思います。ほとんど寝て暮らしてるんですよ?」
「平気よ、もうすぐリハビリが始めるわ。むしろ栄養不足のほうが心配だわ」
「……」
駄目だ、ぜんぜんこちらの話に耳を傾けてくれない。
スペンサー夫妻は長年不妊に悩んで、やっと授かった娘だから甘やかしたいのだろう。
一人娘だから可愛いのはわかるが、あまりにも非常識だ。
ブクブクと肥えて醜い肉オバケになったアリスの姿をおぞましく感じていた。
次第に屋敷に出向くのも嫌になっていく。
ご夫妻にはどんな姿だろうと愛娘なのだろうが、こちらはそうじゃない。
家同士の契約婚だから我慢はしてやる。父上の顔を潰すわけにもいかないからな!
まったく忌々しい家族だ!
同格でなければ潰してやるところだぞ。
だがな、そっちが改善する気がないのならボクだって好きにさせて貰おう。
こちらは渋々、化け物を娶ってやるんだからな、普通の結婚生活は送れないと思えよ。
婚約前から密かに愛していた恋人のポリーを心の妻として迎えよう。
平民の娘だから結婚は諦めていたが、愛妾として側に置くことにしよう。
それくらい当然の権利だと思う。
あいつらが何と言おうと止めるつもりはないから。
あぁ、嫌だ。
結婚式など来なければ良い。
婚約者アリスの異変を感じたのは、彼女が療養して半月ほどの頃だった。
最初のうちは、元から痩せ気味のアリスを心配していたから血色がよくなり怪我の功名くらいに思ってた。
でも、いくらなんでも丸くなり過ぎていた。
ボクのお見舞い品の影響も少なからずあったと反省はした。
だから、花束や本などに変更して見舞いに行っていくようにしていた。
なのに、アリスはみるみる太ましくなっていく。
食事時は迷惑が掛からないように避けて会っていたがそうも言ってられない。
彼女が太った原因を確かめなければ……。
早速、ボクは昼食時間を狙って訪問した。
案の定、彼女の食事量は常軌を逸したものだった。
ギトギトのステーキに、バターたっぷりの山盛りのパン。それにねっとり濃厚ないちごジャムを大盛にして食べていた。
野菜などは見当たらない。
『そりゃ太るわ!!!フォアグラ用のガチョウの方が遥かにヘルシーな餌食ってるぞ』
ボクは腹の内で暴言を吐いた、だがこれくらい許して欲しい。
痩せろデブと罵らなかった事を褒めて欲しいくらいだ。
デザートはクリームたっぷりのケーキが毎食つくそうだ。
せめて果物に変えろよ、いくら療養とはいえ過剰なカロリー摂取じゃないか。
アリスは顔がパンパンで、首は肉マフラー状態になった姿で貪っている。
すっかりそれが当たり前の食事として摂っているようだった。
咀嚼する度に肉マフラーがボヨボヨと跳ねている。脂ぎった顔には吹き出物がたくさん出来ている。
正直、醜くて気持ち悪い。
こんな子を花嫁に迎えなければならないのか?背筋が寒くなったぞ。
冗談ではない!
ボクは慌ててスペンサー夫妻に進言した、これでは返って不健康になってしまうとね。
なんのための療養かわからないじゃないか。
だけど夫妻の返答に呆れかえることになった。
「そうか、キミは娘のために心を砕いてくれていたのだね。なんて優しいんだ、キミの土産はとても美味しいと喜んでいたよ。これからも贈ってやってくれたまえ」
「え、いや。あの喜んでくれるのは良いのですが」
ボクがそういう事じゃないと話そうとしたが、夫人が腰を折って来た。
「まぁ、アリスったら愛されてるのぇ。たくさん栄養を摂って元気にならなくちゃね、やっぱり夕食も多めにしましょう。結婚式に間に合わなかったら大変だもの~」
「いや、ですから。食べすぎは良くないと思います。ほとんど寝て暮らしてるんですよ?」
「平気よ、もうすぐリハビリが始めるわ。むしろ栄養不足のほうが心配だわ」
「……」
駄目だ、ぜんぜんこちらの話に耳を傾けてくれない。
スペンサー夫妻は長年不妊に悩んで、やっと授かった娘だから甘やかしたいのだろう。
一人娘だから可愛いのはわかるが、あまりにも非常識だ。
ブクブクと肥えて醜い肉オバケになったアリスの姿をおぞましく感じていた。
次第に屋敷に出向くのも嫌になっていく。
ご夫妻にはどんな姿だろうと愛娘なのだろうが、こちらはそうじゃない。
家同士の契約婚だから我慢はしてやる。父上の顔を潰すわけにもいかないからな!
まったく忌々しい家族だ!
同格でなければ潰してやるところだぞ。
だがな、そっちが改善する気がないのならボクだって好きにさせて貰おう。
こちらは渋々、化け物を娶ってやるんだからな、普通の結婚生活は送れないと思えよ。
婚約前から密かに愛していた恋人のポリーを心の妻として迎えよう。
平民の娘だから結婚は諦めていたが、愛妾として側に置くことにしよう。
それくらい当然の権利だと思う。
あいつらが何と言おうと止めるつもりはないから。
あぁ、嫌だ。
結婚式など来なければ良い。
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