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穴は空いててもカロリーゼロはじゃない
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アフォカップルが旅立って約一か月のこと。
貴族街と平民街が隣接する中央区に私の小さなお城を借りた。
城とは言ってもほんとうの城ではないけれど。
「あぁ、ここまでこぎつけるのに時間がかかったわ~」
条件にあう物件が中々空きがなくて開業に至らなかったのよ。
外装はポップに仕上げ可愛らしく、店内も楽しい雰囲気に仕上がった。
まだまだ改良の余地はあるけれどね。
雇った店員たちも若い女の子を中心に営業していく。調理は家事に慣れてい主婦を採用したわ。
もちろん不測の事態を考慮して、護衛兼店員の男子も雇った。
小さなカフェだから人員はそれほどいないけどね。
プレオープンとなった店に、私の両親と義兄を招待した。
それから宣伝要員の貴族たちも幾人か招待済みだ。
物珍しいものには食いつきが良い、見たこともない店に興味津々に見てまわる。
私の母は特にハイテンションで、父は振り回されいる。
「アリス考案のお店なのよね、不思議なタイプのカフェだこと」
「ええ、提供する食べ物も独特ですの。是非堪能していってくださいね!」
「まぁそれは楽しみだわ!」
私は店員に声をかけ、販売予定の食品を各テーブルへ運んでもらった。
香ばしい香が店内に広がっていく、材料的にはかなり贅沢品と言えるが味は保証するわ。
黄金色に輝くソレは”ドーナツ”である。
ふっふっふー!少なくともこの国にはない食べ物よ!
記憶ノートにあったものでオリジナルとは言い難く発案者には申し訳ないけれど利用させていただきます。
甘くてサクサクふわふわの味は絶対美味しいから!
今回提供したのはイーストドーナツよ。
プレーンをはじめ、ドライフルーツアイシングをかけたもの、クリームサンドのものを用意したわ。
穴が空いた奇妙な形に躊躇う人々、私はドキドキでそれを見守った。
どうか早く食べて!
意を決した私の両親がドーナツを手に取った。
母は千切って食べようとしたが、それを制して齧るように薦める。
「お母様、ドーナツの美味しい食べ方は大胆にですの!絶対美味しいですから」
「そ、そうなの?……あらぁ」
貴族には少々抵抗がある食べ方だったかな?
最初に齧ったのは兄だ、サクフワとした生地をモソモソ咀嚼して瞠目する。
それからが早い、ガツガツと飢えた孤児のように一つ目を平らげて籠を空にする勢いで食べている。
父母は呆れて見ていたが、一口齧ると兄と同様な動作で平らげた。
うん、一安心!
ドーナツが嫌いな人はそうそういないわよね。
油と糖が合体したそれは最強だと思うわ。違う意味でも……
一心不乱に食べて、お代わりする私の家族に触発された人たちが次々と食べていく。
彼らは一口齧った後に一瞬固まり、それからスゴイ勢いで食べていく、やったわ!
「ドーナツ!なんて素晴らしい食べ物だろう!これはパンの一種なのかい?」
たらふく食べた兄が私を呼びよせて興奮気味に質問する。
「ええ、生地はほぼ同じですわ。仕上げ方はだいぶ違いますが」
油たっぷり使用する贅沢な調理方法が確立されてないので、かなり珍しいと思うわ。
焼きドーナツも良いけれどやはり揚げてないと”ドーナツ”として物足りないわ。
どのテーブルでもお代わりのコールが鳴りやまない。
油でもたれないか心配だわ、大丈夫かしら。
「皆様、脂分で口と胃が疲れてましたらハーブティをお飲みください」
私は再び店員を呼び、レモングラスとミントの茶を注いで歩くよう指示を出した。
少々食べ過ぎたらしい家族がハーブティの爽やかさに感嘆している。
こうして、試食会を兼ねたプレオープンは無事に終了したの。
でも油断は禁物よね。頑張らなくちゃ。
***
翌日、ベルフラワードーナツ屋を開店した。
ベルフラワーは花言葉から引用したの「楽しいお喋り」よ。
美味しいものを食べて楽しく会話できる小さな店、私はそんな場所にしたかったの。
初期は少々高い値段設定だけど、軌道にのったら安価に提供できるようにしたいわ。
身分に関係なく気軽に来て欲しいの。
その為には荒れ地の開拓を頑張ってもらわなきゃね。
近いうちに労いに訪ねましょう、もちろんドーナツの差し入れを持って!
初日は私もエプロンドレスを着て店主として店頭にたつことにしたわ。
先ずは宣伝よ、これ大事!
前もってチラシは配っていたが、それだけでは未知の食べ物は伝わらない。
小さくカットしたドーナツをピックに刺して試食してもらう。
老若男女問わず誰にでも食べて貰ったわ。
人々には甘くて美味しい新しいパンとして浸透したようで、二日目からポツポツと客が増えて行った。
ケーキドーナツも売れば、違いを分かって貰えるかしら?
残念なことに膨張剤の知識がない私は、しばらくの間は重曹がどこに売っているのかわからず苦労することになる。
ドーナツ店を開いて半月ほどになってから、薬店で胃薬として販売されていたことを知った。
知識の偏りは良くないと改めて勉強になったわ。
そして、ケーキドーナツを販売することになり、店は一気に知れ渡ることに。
ただ、重曹独特の風味が気になった私は、どうにか中和できないかと研究することになる。
ベーキングパウダーに似たようなものが出来るのはもっと後の話。
貴族街と平民街が隣接する中央区に私の小さなお城を借りた。
城とは言ってもほんとうの城ではないけれど。
「あぁ、ここまでこぎつけるのに時間がかかったわ~」
条件にあう物件が中々空きがなくて開業に至らなかったのよ。
外装はポップに仕上げ可愛らしく、店内も楽しい雰囲気に仕上がった。
まだまだ改良の余地はあるけれどね。
雇った店員たちも若い女の子を中心に営業していく。調理は家事に慣れてい主婦を採用したわ。
もちろん不測の事態を考慮して、護衛兼店員の男子も雇った。
小さなカフェだから人員はそれほどいないけどね。
プレオープンとなった店に、私の両親と義兄を招待した。
それから宣伝要員の貴族たちも幾人か招待済みだ。
物珍しいものには食いつきが良い、見たこともない店に興味津々に見てまわる。
私の母は特にハイテンションで、父は振り回されいる。
「アリス考案のお店なのよね、不思議なタイプのカフェだこと」
「ええ、提供する食べ物も独特ですの。是非堪能していってくださいね!」
「まぁそれは楽しみだわ!」
私は店員に声をかけ、販売予定の食品を各テーブルへ運んでもらった。
香ばしい香が店内に広がっていく、材料的にはかなり贅沢品と言えるが味は保証するわ。
黄金色に輝くソレは”ドーナツ”である。
ふっふっふー!少なくともこの国にはない食べ物よ!
記憶ノートにあったものでオリジナルとは言い難く発案者には申し訳ないけれど利用させていただきます。
甘くてサクサクふわふわの味は絶対美味しいから!
今回提供したのはイーストドーナツよ。
プレーンをはじめ、ドライフルーツアイシングをかけたもの、クリームサンドのものを用意したわ。
穴が空いた奇妙な形に躊躇う人々、私はドキドキでそれを見守った。
どうか早く食べて!
意を決した私の両親がドーナツを手に取った。
母は千切って食べようとしたが、それを制して齧るように薦める。
「お母様、ドーナツの美味しい食べ方は大胆にですの!絶対美味しいですから」
「そ、そうなの?……あらぁ」
貴族には少々抵抗がある食べ方だったかな?
最初に齧ったのは兄だ、サクフワとした生地をモソモソ咀嚼して瞠目する。
それからが早い、ガツガツと飢えた孤児のように一つ目を平らげて籠を空にする勢いで食べている。
父母は呆れて見ていたが、一口齧ると兄と同様な動作で平らげた。
うん、一安心!
ドーナツが嫌いな人はそうそういないわよね。
油と糖が合体したそれは最強だと思うわ。違う意味でも……
一心不乱に食べて、お代わりする私の家族に触発された人たちが次々と食べていく。
彼らは一口齧った後に一瞬固まり、それからスゴイ勢いで食べていく、やったわ!
「ドーナツ!なんて素晴らしい食べ物だろう!これはパンの一種なのかい?」
たらふく食べた兄が私を呼びよせて興奮気味に質問する。
「ええ、生地はほぼ同じですわ。仕上げ方はだいぶ違いますが」
油たっぷり使用する贅沢な調理方法が確立されてないので、かなり珍しいと思うわ。
焼きドーナツも良いけれどやはり揚げてないと”ドーナツ”として物足りないわ。
どのテーブルでもお代わりのコールが鳴りやまない。
油でもたれないか心配だわ、大丈夫かしら。
「皆様、脂分で口と胃が疲れてましたらハーブティをお飲みください」
私は再び店員を呼び、レモングラスとミントの茶を注いで歩くよう指示を出した。
少々食べ過ぎたらしい家族がハーブティの爽やかさに感嘆している。
こうして、試食会を兼ねたプレオープンは無事に終了したの。
でも油断は禁物よね。頑張らなくちゃ。
***
翌日、ベルフラワードーナツ屋を開店した。
ベルフラワーは花言葉から引用したの「楽しいお喋り」よ。
美味しいものを食べて楽しく会話できる小さな店、私はそんな場所にしたかったの。
初期は少々高い値段設定だけど、軌道にのったら安価に提供できるようにしたいわ。
身分に関係なく気軽に来て欲しいの。
その為には荒れ地の開拓を頑張ってもらわなきゃね。
近いうちに労いに訪ねましょう、もちろんドーナツの差し入れを持って!
初日は私もエプロンドレスを着て店主として店頭にたつことにしたわ。
先ずは宣伝よ、これ大事!
前もってチラシは配っていたが、それだけでは未知の食べ物は伝わらない。
小さくカットしたドーナツをピックに刺して試食してもらう。
老若男女問わず誰にでも食べて貰ったわ。
人々には甘くて美味しい新しいパンとして浸透したようで、二日目からポツポツと客が増えて行った。
ケーキドーナツも売れば、違いを分かって貰えるかしら?
残念なことに膨張剤の知識がない私は、しばらくの間は重曹がどこに売っているのかわからず苦労することになる。
ドーナツ店を開いて半月ほどになってから、薬店で胃薬として販売されていたことを知った。
知識の偏りは良くないと改めて勉強になったわ。
そして、ケーキドーナツを販売することになり、店は一気に知れ渡ることに。
ただ、重曹独特の風味が気になった私は、どうにか中和できないかと研究することになる。
ベーキングパウダーに似たようなものが出来るのはもっと後の話。
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