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激動篇
精霊たちの祝宴
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この地に根を張って3年が経ち、ボクは18歳になっていた。
ボクの背は約20センチも伸びて、顔も童顔ではなくなった。
グルドは精霊にしては成長が遅かったと言って揶揄う、メイド達は「さすが我が王」と無駄に褒める。
だがマホガニーは……
「私の可愛い坊ちゃんが……いや喜ばしいことなのですが、気持ちが追い付きません!」
相変わらず鬱陶しいことだ、人間で言えば兄のように見守ってくれていたのだろうが若干慕い方に問題がある。
「これからは子供扱いするなよ、坊ちゃん呼びは封印しろ」
「……御意」
なにか引っ掛かりがあるが取り合えず良しとしよう。
それに僕には大きな目標が出来た、見た目だけの空っぽの国を発展させるのさ。王としての責務を果たさなければと覚悟したんだ。
ドリアードの国メリアーデは若輩国ではあるが国交に積極的にならなければならない。
とうぜん、人間も受け入れて共生せねばならないだろう。
だがしかし、王として先に済ませなければならない重要なことがある。
***
立国を祝う小さな宴を設けて4大精霊を招いた。一応、時の精霊もボクの肩にいるけれどね。
とはいえ、ウンディーネはまだ眠りから目覚めていないので3柱だけ揃う。
気まぐれなシルフィードが参加してくれただけ奇跡と言えた。
特に建国に貢献してくれたゲノーモスとサラマンデルには頭が上がらない。
彼ら二人は相変わらず仲が良く、頻繁にうちの屋敷に遊びに来ている。
それを聞いたシルは少々嫉妬したが、精霊同士が和平を結ぶ世なら安心だと笑った。
「それで、祝い事に余興があると聞いているが?」
銀の獅子アリエラがボクに擦り寄ってきて、林檎を強請りながら問いてきた。
ボクは居住まいを正してケジメをつけることを宣言する。
「皆聞いて欲しい、ボクは王としてこの地を統治し、本格的に立国することにした。まず、その最初の公務として婚姻の儀式を行おうと思う。……メイペル、ここへ来てくれ」
壇上の奥に控えていた彼女が白い衣装を着飾って姿を現した。
ボクの隣に辿り着くまで終始俯いていた、メイペルの耳が真っ赤だ。予め了承を得ていたがとても恥ずかしいようだ。
女性の機微に疎いボクは配慮が足りなかったかな?
「愛しのメイペル、始祖ドリアードに倣い精霊と人間の婚姻の儀をしたいと思う。どうかこの手を取って共に生きてくれないだろうか?何処よりも豊かな国を造ってみせよう」
ボクは両の手の合わせその上に緑の宝玉を顕現した、精霊が心から愛を請う時にだけ現れる結晶だ。
やっと顔を上げたメイペルの瞳に宝玉が映る、薄桃の頬に美しい雫が二つ伝う。
「素敵、まるで貴方の瞳のように煌いて神々しいわ。謹んでお受けいたします。」
メイペルが宝玉に手を翳すと傷口もないのに深紅の血が滴り落ちて結晶へ飲まれていく。
やがてそれは宝玉の中央に留まり赤く輝いた。
儀式をずっと見守っていた風の精霊シルフィードが声を張り上げる。
「ここにドリアードと人間の婚姻が結ばれた、新たに誕生した国と夫婦に祝福を!」
突如、風が吹き花弁が舞い散った、風の精霊の加護をこの地へ賜った。
「彼らに心からの祝福を!」
ゲノーモスが金粉を会場中に降り注ぎ、メイペルのドレスに金剛石を散りばめた。
「今日の良き日に華を添えよう!」
サラマンデルが会場の外へ出て、夜空高くに大輪の花をたくさん打ち上げてくれた。
ドドンと爆音が轟いてみんなは慄いたが祝賀等に大空へ散らばせる”花火”というものらしい。
「スゴイ、こんなの初めて見たよ!なんて素晴らしいんだ」
「そうだろう?これも人間として生きていた頃に得た知恵のお陰さ」
サラマンデルはそう言ってウィンクした、なるほど、人の知恵も悪くないものだね。
「とっても素敵な記念のなりました、皆様ありがとうございます」
王妃になったメイペルが優雅にお辞儀した。彼らは鷹揚に頷き礼を受け取る。
ただひとりの人間が精霊に囲まれるなんて居心地は良くないだろうに。
ボクは彼女を労うように頬を撫でた、少し驚いた様子だったけど美しい微笑みを返してくれる。
「ボクの凍えた心を溶かしてくれてありがとう、人を愛することを教えてくれた。キミだけを生涯愛そう」
「いいえ、御礼は私が言うことです。驕って生きていた私を変えてくれたのは貴方だわ。愛しています」
それから人間の習わしという揃いの腕輪を交換して硬い結びをした。
披露宴は一月近くも続いた、いい加減長すぎないかと思ったが、記憶の木で見た始祖の結婚はもっと盛大だったなと肩を竦めた。
祝宴が終了するとシルが居城を去る間際に小瓶を手渡してきた。
「ウンディーネからの祝いの品だ、キミの国が枯渇しない呪いが聖水にかけられている。貯水池に垂らすと良い。動けなくとも世の流れを見ているのだ感謝するように」
「ありがとう!彼女が復活したら盛大に祝うよ!どうか息災でと!」
「あぁ、伝えよう。また会おう若木の王よ」
眷属アリエラに跨るとシルはあっと言う間に去って行った。
一方、ゲノーモスとサラマンデルは、宴会で振る舞ったドリアードの美酒を気に入り過ぎて暫く居候したのは別の話。
ボクの背は約20センチも伸びて、顔も童顔ではなくなった。
グルドは精霊にしては成長が遅かったと言って揶揄う、メイド達は「さすが我が王」と無駄に褒める。
だがマホガニーは……
「私の可愛い坊ちゃんが……いや喜ばしいことなのですが、気持ちが追い付きません!」
相変わらず鬱陶しいことだ、人間で言えば兄のように見守ってくれていたのだろうが若干慕い方に問題がある。
「これからは子供扱いするなよ、坊ちゃん呼びは封印しろ」
「……御意」
なにか引っ掛かりがあるが取り合えず良しとしよう。
それに僕には大きな目標が出来た、見た目だけの空っぽの国を発展させるのさ。王としての責務を果たさなければと覚悟したんだ。
ドリアードの国メリアーデは若輩国ではあるが国交に積極的にならなければならない。
とうぜん、人間も受け入れて共生せねばならないだろう。
だがしかし、王として先に済ませなければならない重要なことがある。
***
立国を祝う小さな宴を設けて4大精霊を招いた。一応、時の精霊もボクの肩にいるけれどね。
とはいえ、ウンディーネはまだ眠りから目覚めていないので3柱だけ揃う。
気まぐれなシルフィードが参加してくれただけ奇跡と言えた。
特に建国に貢献してくれたゲノーモスとサラマンデルには頭が上がらない。
彼ら二人は相変わらず仲が良く、頻繁にうちの屋敷に遊びに来ている。
それを聞いたシルは少々嫉妬したが、精霊同士が和平を結ぶ世なら安心だと笑った。
「それで、祝い事に余興があると聞いているが?」
銀の獅子アリエラがボクに擦り寄ってきて、林檎を強請りながら問いてきた。
ボクは居住まいを正してケジメをつけることを宣言する。
「皆聞いて欲しい、ボクは王としてこの地を統治し、本格的に立国することにした。まず、その最初の公務として婚姻の儀式を行おうと思う。……メイペル、ここへ来てくれ」
壇上の奥に控えていた彼女が白い衣装を着飾って姿を現した。
ボクの隣に辿り着くまで終始俯いていた、メイペルの耳が真っ赤だ。予め了承を得ていたがとても恥ずかしいようだ。
女性の機微に疎いボクは配慮が足りなかったかな?
「愛しのメイペル、始祖ドリアードに倣い精霊と人間の婚姻の儀をしたいと思う。どうかこの手を取って共に生きてくれないだろうか?何処よりも豊かな国を造ってみせよう」
ボクは両の手の合わせその上に緑の宝玉を顕現した、精霊が心から愛を請う時にだけ現れる結晶だ。
やっと顔を上げたメイペルの瞳に宝玉が映る、薄桃の頬に美しい雫が二つ伝う。
「素敵、まるで貴方の瞳のように煌いて神々しいわ。謹んでお受けいたします。」
メイペルが宝玉に手を翳すと傷口もないのに深紅の血が滴り落ちて結晶へ飲まれていく。
やがてそれは宝玉の中央に留まり赤く輝いた。
儀式をずっと見守っていた風の精霊シルフィードが声を張り上げる。
「ここにドリアードと人間の婚姻が結ばれた、新たに誕生した国と夫婦に祝福を!」
突如、風が吹き花弁が舞い散った、風の精霊の加護をこの地へ賜った。
「彼らに心からの祝福を!」
ゲノーモスが金粉を会場中に降り注ぎ、メイペルのドレスに金剛石を散りばめた。
「今日の良き日に華を添えよう!」
サラマンデルが会場の外へ出て、夜空高くに大輪の花をたくさん打ち上げてくれた。
ドドンと爆音が轟いてみんなは慄いたが祝賀等に大空へ散らばせる”花火”というものらしい。
「スゴイ、こんなの初めて見たよ!なんて素晴らしいんだ」
「そうだろう?これも人間として生きていた頃に得た知恵のお陰さ」
サラマンデルはそう言ってウィンクした、なるほど、人の知恵も悪くないものだね。
「とっても素敵な記念のなりました、皆様ありがとうございます」
王妃になったメイペルが優雅にお辞儀した。彼らは鷹揚に頷き礼を受け取る。
ただひとりの人間が精霊に囲まれるなんて居心地は良くないだろうに。
ボクは彼女を労うように頬を撫でた、少し驚いた様子だったけど美しい微笑みを返してくれる。
「ボクの凍えた心を溶かしてくれてありがとう、人を愛することを教えてくれた。キミだけを生涯愛そう」
「いいえ、御礼は私が言うことです。驕って生きていた私を変えてくれたのは貴方だわ。愛しています」
それから人間の習わしという揃いの腕輪を交換して硬い結びをした。
披露宴は一月近くも続いた、いい加減長すぎないかと思ったが、記憶の木で見た始祖の結婚はもっと盛大だったなと肩を竦めた。
祝宴が終了するとシルが居城を去る間際に小瓶を手渡してきた。
「ウンディーネからの祝いの品だ、キミの国が枯渇しない呪いが聖水にかけられている。貯水池に垂らすと良い。動けなくとも世の流れを見ているのだ感謝するように」
「ありがとう!彼女が復活したら盛大に祝うよ!どうか息災でと!」
「あぁ、伝えよう。また会おう若木の王よ」
眷属アリエラに跨るとシルはあっと言う間に去って行った。
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