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王女リリアと西の魔王
襲われたお城・1
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私、リリア・ポッツンケップ。
十四歳。
大陸の南の端にあるポッツンケップ王国の王女。
もっとも、お城の中でお人形みたいにかしこまってるのは好きじゃない。
この日も、お供のコボルド、ジョージを連れて、お城から少し離れたところにある森に、遊びに来ていた。コボルドっていうのは、犬みたいな顔をしたちっちゃい人型種族で、よく鼻が効く。
「姫さん、木の上なんかにお登りになっちゃいけねえだ」
数メートル下の地面から、ジョージのそんな声が聞こえてくる。
私は今、森の木の枝に座って、リンゴをかじりながら景色を見ていた。
森の向こうに平原が広がって、そのすぐ向こうに、ポッツンケップの王城が――私の家が見える。
大陸の北にある大帝国の王城に比べれば、おもちゃみたいなお城だけど、こぢんまりとして可愛い、と思う。
ここにこうして座って、物を食べながら景色を見るのが、私の毎日の日課みたいになってる。
次の王様になるための勉強だの、礼儀作法だのから解放されて、外で羽根を伸ばすのが一番の楽しみだ。……いや、剣術修行とどっちが上かは、迷うところかな。
もっとも、お世話係のジョージに言わせれば、
「あんまり危ないことをしねえでくだせえよ、怪我があったら、オラが怒られんだからね」
って話らしいけどね。
ジョージの言うことも分かるけど、体を動かしてあちこちに行かないと、息が詰まっちゃう。
そんなことを思いながら、お城を見ていた。
すると、空の上から、お城に向かって、なにかが降りてくるのが見えた。
それは、一人の人間だった。
とはいえ、むちゃくちゃ大きい。
二十メートルぐらいはある。
その大きな人間は、鋼鉄に身を固めていた。
そんな巨大な人間が、ポッツンケップ城へと降りた。
たちまちに、城の方から、悲鳴と、叫び声と、金属同士がぶつかりあう音が聞こえてくる。
お城のみんなが、鋼鉄の人間を迎え撃っていることは明白だ。
「こうしちゃいられない!」
私は、するりと木を駆け下りた。
「あ、降りてきてくれただ」
ジョージが安心したように言う。
「お城に帰るわよっ!」
私は森の中を駆け出した。
駆けながら、腰に差した剣を触る。
どうやら、こいつが必要になってきそうだ。
日頃鍛えた剣の腕が、役に立つ時が来たのかもしれない。
「どしてそんなに急ぐだ、姫さん」
ジョージが私を追って走りながら、声をかけてきた。
「お城が襲われてる!」
私は倒れた木を飛び越えながら答えた。
「そだども、うちの国が仲悪い相手がいたなんて話は聞いてねえけど……」
「私も知らないわよ。とにかく、鉄の人間が空から降りてきたの」
「鉄の人間……西の魔王だんべか」
「西の魔王?」
「んだ。空を駆け回る鋼鉄の魔物らしいべさ」
こんなことを話しながら、私たちはお城へ向かった。
十四歳。
大陸の南の端にあるポッツンケップ王国の王女。
もっとも、お城の中でお人形みたいにかしこまってるのは好きじゃない。
この日も、お供のコボルド、ジョージを連れて、お城から少し離れたところにある森に、遊びに来ていた。コボルドっていうのは、犬みたいな顔をしたちっちゃい人型種族で、よく鼻が効く。
「姫さん、木の上なんかにお登りになっちゃいけねえだ」
数メートル下の地面から、ジョージのそんな声が聞こえてくる。
私は今、森の木の枝に座って、リンゴをかじりながら景色を見ていた。
森の向こうに平原が広がって、そのすぐ向こうに、ポッツンケップの王城が――私の家が見える。
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ここにこうして座って、物を食べながら景色を見るのが、私の毎日の日課みたいになってる。
次の王様になるための勉強だの、礼儀作法だのから解放されて、外で羽根を伸ばすのが一番の楽しみだ。……いや、剣術修行とどっちが上かは、迷うところかな。
もっとも、お世話係のジョージに言わせれば、
「あんまり危ないことをしねえでくだせえよ、怪我があったら、オラが怒られんだからね」
って話らしいけどね。
ジョージの言うことも分かるけど、体を動かしてあちこちに行かないと、息が詰まっちゃう。
そんなことを思いながら、お城を見ていた。
すると、空の上から、お城に向かって、なにかが降りてくるのが見えた。
それは、一人の人間だった。
とはいえ、むちゃくちゃ大きい。
二十メートルぐらいはある。
その大きな人間は、鋼鉄に身を固めていた。
そんな巨大な人間が、ポッツンケップ城へと降りた。
たちまちに、城の方から、悲鳴と、叫び声と、金属同士がぶつかりあう音が聞こえてくる。
お城のみんなが、鋼鉄の人間を迎え撃っていることは明白だ。
「こうしちゃいられない!」
私は、するりと木を駆け下りた。
「あ、降りてきてくれただ」
ジョージが安心したように言う。
「お城に帰るわよっ!」
私は森の中を駆け出した。
駆けながら、腰に差した剣を触る。
どうやら、こいつが必要になってきそうだ。
日頃鍛えた剣の腕が、役に立つ時が来たのかもしれない。
「どしてそんなに急ぐだ、姫さん」
ジョージが私を追って走りながら、声をかけてきた。
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「私も知らないわよ。とにかく、鉄の人間が空から降りてきたの」
「鉄の人間……西の魔王だんべか」
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「んだ。空を駆け回る鋼鉄の魔物らしいべさ」
こんなことを話しながら、私たちはお城へ向かった。
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