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王女リリアと西の魔王
ピロノ村のトロール・2
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ピロノ村へ着いた。
ジョージの言っていた通り、なんの変哲もない田舎の村だ。
違うことがあるとすれば、なんだかえらく雰囲気が暗いってこと。
みんながみんな、黙りこくって、下を見ながら歩いてる。
大人も子供も年寄りも、みーんなね。
そんな、全員が落ち込むほどのことなんてあるのかな。
「根暗な人の村なのかしら」
道行く人々の暗い表情を見たあとに、私はジョージに言った。
「んなはずはねえと思うんだけども……」
ジョージは首をかしげる。
私は、宿屋を見つけて、中に入った。
「いらっしゃい……」
やっぱり暗い表情の宿屋の主人のおじさんが、私たちをお出迎え。
「一晩、泊まりたいんだけど」
私が言い、
「こちら、王女のリリア様だべ」
ジョージが言う。
「おお、これはこれは」
おじさんがかしこまった表情になる。
「王女なことは、言わなくていいのに」
私がジョージに言うと、
「んだべか」
「お互いに気を使うでしょうよ」
「姫様となれば、最上の部屋をご用意……と言いたいところなのですが、うちにはただの藁布団の部屋しかございませんで」
と、おじさんが言うけど、私は手を振って。
「別にいいわよ、それで。んなことよりさ」
「なんでしょう?」
「この村の人たちって、いつもこんなに暗いわけ?」
「……それには、事情がありまして」
おじさんの顔が更に暗くなった。
「え、なになに」
「ここ最近、化け物が出るんですよ」
「化け物って、西の魔王?」
私が聞くと、おじさんは首を振る。
「そんな大物じゃないんですが……」
「じゃ、なんなのよ」
「森の洞窟に、一匹のトロールが住み着きまして」
トロール。
頭がにぶくて体が大きい、四メートルばかりの人型の化け物だ。
「この村を荒らしてるの?」
「左様です。正確には、荒らすと脅している、と言ったところですかね。貢物をよこさないと畑を荒らし放題にするぞ、と言ってきますものですから」
「貢物を渡してるの?」
「はい」
「ちょっと、そんな話があるなら王城にも言ってよ」
「少し前に、使いのものは出したのですが、なんでも事務手続きにえらく時間がかかるというお話で……」
「もう、うちの城の連中もなってないわね」
私は息を吸ったあと、
「よし! そのトロールは私がやっつけてあげる!」
と、叫んだ。
「姫様が、ですか?」
「城の連中の不始末は、私がケリをつけないと」
「しかし……」
「こう見えても、城で一番剣の腕が立つのよ、私は」
「いや、腕一番は剣術のイッサー先生だべ」
ジョージが言うので、
「元気は私の方があるから、総合得点は私」
私が言い返すと、
「ま、それはそうかもしれねえが」
ジョージは肩をすくめた。
「とにかく、王女として、国民が苦しんでるのを見捨てるわけにはいかないわ。そのトロールは私にまかせてちょうだい!」
おじさんは少し迷ったあと、
「そういうことでしたら、お願いします」
と、頭を下げてきた。
よーし。
西の魔王の前に、まずはトロールで腕試しよ。
ジョージの言っていた通り、なんの変哲もない田舎の村だ。
違うことがあるとすれば、なんだかえらく雰囲気が暗いってこと。
みんながみんな、黙りこくって、下を見ながら歩いてる。
大人も子供も年寄りも、みーんなね。
そんな、全員が落ち込むほどのことなんてあるのかな。
「根暗な人の村なのかしら」
道行く人々の暗い表情を見たあとに、私はジョージに言った。
「んなはずはねえと思うんだけども……」
ジョージは首をかしげる。
私は、宿屋を見つけて、中に入った。
「いらっしゃい……」
やっぱり暗い表情の宿屋の主人のおじさんが、私たちをお出迎え。
「一晩、泊まりたいんだけど」
私が言い、
「こちら、王女のリリア様だべ」
ジョージが言う。
「おお、これはこれは」
おじさんがかしこまった表情になる。
「王女なことは、言わなくていいのに」
私がジョージに言うと、
「んだべか」
「お互いに気を使うでしょうよ」
「姫様となれば、最上の部屋をご用意……と言いたいところなのですが、うちにはただの藁布団の部屋しかございませんで」
と、おじさんが言うけど、私は手を振って。
「別にいいわよ、それで。んなことよりさ」
「なんでしょう?」
「この村の人たちって、いつもこんなに暗いわけ?」
「……それには、事情がありまして」
おじさんの顔が更に暗くなった。
「え、なになに」
「ここ最近、化け物が出るんですよ」
「化け物って、西の魔王?」
私が聞くと、おじさんは首を振る。
「そんな大物じゃないんですが……」
「じゃ、なんなのよ」
「森の洞窟に、一匹のトロールが住み着きまして」
トロール。
頭がにぶくて体が大きい、四メートルばかりの人型の化け物だ。
「この村を荒らしてるの?」
「左様です。正確には、荒らすと脅している、と言ったところですかね。貢物をよこさないと畑を荒らし放題にするぞ、と言ってきますものですから」
「貢物を渡してるの?」
「はい」
「ちょっと、そんな話があるなら王城にも言ってよ」
「少し前に、使いのものは出したのですが、なんでも事務手続きにえらく時間がかかるというお話で……」
「もう、うちの城の連中もなってないわね」
私は息を吸ったあと、
「よし! そのトロールは私がやっつけてあげる!」
と、叫んだ。
「姫様が、ですか?」
「城の連中の不始末は、私がケリをつけないと」
「しかし……」
「こう見えても、城で一番剣の腕が立つのよ、私は」
「いや、腕一番は剣術のイッサー先生だべ」
ジョージが言うので、
「元気は私の方があるから、総合得点は私」
私が言い返すと、
「ま、それはそうかもしれねえが」
ジョージは肩をすくめた。
「とにかく、王女として、国民が苦しんでるのを見捨てるわけにはいかないわ。そのトロールは私にまかせてちょうだい!」
おじさんは少し迷ったあと、
「そういうことでしたら、お願いします」
と、頭を下げてきた。
よーし。
西の魔王の前に、まずはトロールで腕試しよ。
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