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王女リリアと西の魔王
ピロノ村のトロール・1
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「さあ、そういうわけで、馬に乗ってさっさと西に向かいましょう!」
私はジョージにそう言って、馬屋へ向かおうと部屋を出ようとしたが、
「いや、馬は使っちゃだめよ」
と、ママが止めた。
「えー、だってその方が楽じゃない」
「西の魔王が攻めてきたせいで、どの馬も怯えてるのよ。この状態で走らせない方がいいわ」
「うーん」
「それに、どうせ魔王の城があるのは険しい山脈だから、途中からは馬は使えないわよ」
「しょうがない。歩いていくわよ、ジョージ」
そんなわけで、私は部屋を出て、自分の部屋で荷物をずだ袋に詰め込んだあと、城門に向かう。
城門では、大臣のタリネンと、バンダン将軍が待っていた。
「姫様、お話を聞きましたぞ!」
と、タリネンは白髪頭をふるわせながら話かけてくる。
「本来なら……我々が向かうところなのですが……」
バンダン将軍の方は、ゆっくりと申し訳無さそうに言う。
「ま、ちゃっちゃと取り返してくるからさ」
私が言うと、
「父君と祖国をお気遣っての危険を顧みない姫様のお心、このタリネン感激至極に存じます」
タリネンは肩を震わせて泣き。
「ご武運を……祈らせていただきますです……」
バンダン将軍は、もぞもぞとお辞儀した。
「はいはい、んじゃね」
私は軽く手を振ってタリネンたちに別れを告げ、城門を後にした。
城門を出てしばらく歩いたところで、
「美しい誤解というのはあるもんだべな」
と、ジョージが言った。
「なにがよ」
「大臣さんは父上と祖国のためだって言ってたけんども、姫さん、ほんとは冒険に出たいだけだんべ」
「……腕輪を取り戻して、パパが元気になればいいとは思ってるわよ」
私は、そう答えた。
ジョージの言うのは半分は本当だけど、パパが心配なのも嘘ってわけじゃないもんね。
※
城を出てしばらく歩いたところで、ジョージが地図を見ながら、
「魔王の城のあるギザ山脈には、西に進むわけだんべ」
「うん、西の魔王ってぐらいだからね」
「そのためには、この街道を西に進んで、ピロノ村って村を過ぎて、その後、深い森を通る必要があるだな。森の向こうの湖を超えれば、ギザ山脈になる」
「うんうん」
「んだから、このまま西に進むと、今日はピロノ村に泊まることになるべ」
「ピロノ村かあ、どんな村だっけ?」
私が聞くと、
「別になんもねえ農村だべ、森のそばだから猟師も多い程度でよ」
「なーんだ」
「自分の国の村さになーんだとは感心しねえだやな姫さん、そんな、どの村にも特産品があるわけがねえべ」
「ま、そりゃそうだけど」
「姫さんも将来は女王様かもしんねえだから、世の中の『普通の村』も見とくことも大事でげす」
「はいはい」
まったく、ジョージときたら、たまに説教くさくなるんだから。
一応は私のお付き兼教育係だから、そういうところもあってもしょうがないのかもしんないけどね。
私はジョージにそう言って、馬屋へ向かおうと部屋を出ようとしたが、
「いや、馬は使っちゃだめよ」
と、ママが止めた。
「えー、だってその方が楽じゃない」
「西の魔王が攻めてきたせいで、どの馬も怯えてるのよ。この状態で走らせない方がいいわ」
「うーん」
「それに、どうせ魔王の城があるのは険しい山脈だから、途中からは馬は使えないわよ」
「しょうがない。歩いていくわよ、ジョージ」
そんなわけで、私は部屋を出て、自分の部屋で荷物をずだ袋に詰め込んだあと、城門に向かう。
城門では、大臣のタリネンと、バンダン将軍が待っていた。
「姫様、お話を聞きましたぞ!」
と、タリネンは白髪頭をふるわせながら話かけてくる。
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バンダン将軍の方は、ゆっくりと申し訳無さそうに言う。
「ま、ちゃっちゃと取り返してくるからさ」
私が言うと、
「父君と祖国をお気遣っての危険を顧みない姫様のお心、このタリネン感激至極に存じます」
タリネンは肩を震わせて泣き。
「ご武運を……祈らせていただきますです……」
バンダン将軍は、もぞもぞとお辞儀した。
「はいはい、んじゃね」
私は軽く手を振ってタリネンたちに別れを告げ、城門を後にした。
城門を出てしばらく歩いたところで、
「美しい誤解というのはあるもんだべな」
と、ジョージが言った。
「なにがよ」
「大臣さんは父上と祖国のためだって言ってたけんども、姫さん、ほんとは冒険に出たいだけだんべ」
「……腕輪を取り戻して、パパが元気になればいいとは思ってるわよ」
私は、そう答えた。
ジョージの言うのは半分は本当だけど、パパが心配なのも嘘ってわけじゃないもんね。
※
城を出てしばらく歩いたところで、ジョージが地図を見ながら、
「魔王の城のあるギザ山脈には、西に進むわけだんべ」
「うん、西の魔王ってぐらいだからね」
「そのためには、この街道を西に進んで、ピロノ村って村を過ぎて、その後、深い森を通る必要があるだな。森の向こうの湖を超えれば、ギザ山脈になる」
「うんうん」
「んだから、このまま西に進むと、今日はピロノ村に泊まることになるべ」
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「なーんだ」
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