ソード・プリンセス! ~剣術王女の冒険日記~

吉口 浩

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王女リリアと西の魔王

帰り道・3

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 湖を渡った私たちは、しばらく、東に進んだ。
 森に入って、ゴブリンの集落をしばらく過ぎた辺りを歩いているところで、

「こら、ホルス! ピクルス一瓶取り戻すのに、どんだけ時間をかけようってんだい?」

 なんて声が、私たちの頭上からした。
 見ると、一人の太ったおばさんが、ほうきに乗って、私たちの頭上から降りてくるところだった。

「お師匠様!?」

 ホルスが叫んだ。
 ……ホルスのお師匠さまは、ゴウトなんてごつい名前の割には、女の人だったらしい。

「まったく、何日経っても帰ってこないんだから」

 太ったゴウトおばさんは、ホルスに言った。

「色々ありまして……」

 ホルスはもじもじとしてしまう。

「で、西の魔王から、ピクルスは取り返せたのかい?」
「その、西の魔王はやっつけたんですが、ピクルスは……ボクが着くまでに食べちゃったってお話で」
「なんだって! あんたって子は、ぐずぐずしてるんだから! ……まあ、食われちまったっていうなら、仕方がないけどね」
「すいません」
「まあ、いいさ。ところで……」

 ゴウトおばさんは、私の方を見て言った。

「なんだって、お城のじゃじゃ馬王女なんかと一緒に歩いてるんだい」

 どうやらゴウトおばさん、流石に高名な魔法使いだけあって、私の顔を知ってるらしい。

「一緒に西の魔王を退治してきたの。ホルスはがんばったし、帰っても怒らないであげてよ」

 私は言った。
 ゴウトおばさんは私をじろっと見たあと、

「それは、王女として命令しようっていうつもりで言ってんのかい?」

 と言った。
 私は首を振り、

「その、ホルスの……友達としてお願いしてるのよ」

 と答えた。
 すると、ゴウトおばさんはにやりと笑って、

「ふん、『友達の女の子』の頼みだっていうなら、聞いてやらないわけにゃいかないね。ホルス、乗りな。家に帰って、ゆっくり眠るといいや」

 ホルスはうなずいて、ゴウトおばさんの長いほうきの後ろ側にまたがり、

「リリアさん、ボクはこれで。あの……楽しかったです」

 と言ってきたので、

「私もよ」

 と、答えを返した。

「リリアちゃんや、またホルスと遊んでやりな、どうせそうなるんだからさ」

 ゴウトおばさんはそう言い残すと、すごい速度でほうきに乗って飛び去って行った。

「どうせなら、オラたちも城まで乗せてってくれりゃあええのにな」

 見送ってそう言ったのは、これまで黙って見ていたジョージである。
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