ソード・プリンセス! ~剣術王女の冒険日記~

吉口 浩

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王女リリアと西の魔王

帰り道・4

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 ホルスと別れた私たちは、森を抜けて、ピロノ村に泊まり、お城へと向かった。
 歩いてると、なんだか寂しい感じがする。
 魔王はやっつけて、力の腕輪も取り戻したし、なにも、落ち込むことなんてないはずなんだけど――。

「姫さん、寂しそうだなや」

 ピロノ村から城への街道を歩きながら、ジョージが言う。

「別に……そんなわけないでしょ」
「顔に出とるで、オラはアホでも朴念仁でもねえだよ」
「ぼくねんじん?」
「物わかりが悪い奴じゃねえってことだ」
「どういうことよ」
「まあ、姫さんも免疫がねえだからな、同じ年頃の男とあんなに一緒にいてから離れたら、そりゃ、おかしくもなるだ。なあ、魔王?」

 ジョージにそう振られて、魔王は、

「う、うむ」

 と、うなずく。

「ちょっと……それって、どういう意味よ」
「なあ、ホルスくんと離れたら寂しいだべよ、そういうことに興味の出てくる年頃に、あんなんと出会ったら、なあ」
「むむむ」
「いや、別にオラはあの子とのことを止めやしねえよ、間の抜けたところはあるけど、悪いガキンコでもねえと思うし……」
「それ以上言うと、あんたのことを真っ二つにしちゃうわよ」
「おおこわ!」

 と、逃げようとするジョージをとっ捕まえてやろうとした時だ。
 街道のお城の方向から、騎士の乗った馬数頭と馬車が走ってくる。
 馬車の中には、大臣のタリネンとバンダン将軍が乗っていた。

「姫様ー!!」
「姫様……」

 タリネンとバンダン将軍が、馬車から飛び降りながら声を上げる。

「タリネン! バンダン! どうしたのよ?」
「昨晩、ピロノ村にお泊りになった際に、村からの伝令が来ましたのでな。凱旋する姫様を、こうしてお迎えに参った次第でございます」
「ご無事なお帰り……なによりで……ございます……」

 タリネンとバンダンが私に深くお辞儀する。

「……ありがと」
「西の魔王というのは、さだめし強大な相手だったでございましょう」

 タリネンが言うので、私は、縛り上げたまま連れ歩いている西の魔王のことをちらりと見たあと、

「西の魔王『は』、どーってこともなかったわ」

 と、答えた。
 嘘じゃない。

   ※

 馬車でお城までたどり着いた私は、真っ先に、パパとママの寝室へと向かった。

「ただいまっ!」

 私はドアを開けながら言った。
 寝室では相変わらず、パパが寝転んで、うんうんと唸っている。

「おかえりなさい、リリア」

 と、ママ。

「ねえ、パパ、いい加減に元気だしてよ」
「おお、リリア……」
「ほら、これ。力の腕輪を取り戻してきてあげたわ」

 私はパパに、力の腕輪を見せた。

「おお……おお……我が王国の家宝が!」

 パパはそう言って体を起こし、私に抱きつくと、

「ありがとうリリア! お前こそが、我が王国の最大の宝だ!」

 と、涙を流しながら言った。
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