お願いだから噛んで欲しい!

そらうみ

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もうどうしたらいいか分からない俺

※24※

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これは、やばい。

先ほどからバックで泰昌に打ち付けられているのだが・・・いつもと違う。

「あっ、あっ、あっ、あぁっ、あっ、んっ、んっ、くっ、あっ、あっ」

泰昌も、いつもより強く動いている気がする。
なのに俺は・・・全然イく事が出来ないのだ。

「あっ、あっ、あっ、ふっ、んっ、んっ、んんっ」

絶頂を迎える手前で、何かに抑えられているような感じがする。
そしてこの状態は・・・めちゃくちゃ辛い!
いつもなら、とっくに気を失うレベルのはずなのに!

そしてもう一つ、いつもと違うのは、俺の中の感度がおかしい。
俺の全感覚神経がそこに集中しているかのようで、泰昌の形や感触、熱までもが、手に取るように分かるのだ。

「あっ、あっ、あっ、やばっ、やばいっ、あっ、やっ、いっ、イきたいっ、あっ、イきっ、んっ・・・あっ、ぁぁあ」

泰昌が強く俺の中で吐き出したが、俺はまたイく事が出来なかった。
ヤバいヤバい本当におかしくなりそうだ!!!

俺は覆いかぶさって動かなくなった泰昌をひっくり返した。
そして泰昌のモノへと顔を近づけた俺は、必死に咥えて口を動かす。

普段なら考えられないような状況だが、頭がぼうっとしていて、とにかく早くイきたくて仕方がなくなっていた。
そしてそのためには、もっと泰昌に抱いてほしい。今咥えているモノを、もっと俺の中で動かして欲しいのだ。

「んっ、んっ・・・っ・・・んっ・・・」

必死に咥える俺。
そんな俺にあてられてなのか、すぐに泰昌のモノも固くなり、泰昌もゆっくりと起き上がる。

思えば、泰昌はもう何度俺に吐き出しているのだろう?どうなっているんだ?大丈夫なのだろうか?
分からないけれど、とにかく今は何度でも泰昌が欲しい。

泰昌が再び俺に覆いかぶさり、後ろから俺に入ってくる。

「ぁぁああっ・・・あっ、あっ、あぁ、あっ、もっ、もっと、ほしっ、あっ」

早くイきたい。
だから早く、もっと、俺の中に。

「あっ、あっ、やばっ、む・・・りっ、イき、たい・・・、しぬっ、んんっ、しんじゃうっ」

はい、やってる最中に絶対言う事ないと思っていた台詞まで言ってしまった俺。
もう本当にヤバい。

動き続ける泰昌が、俺の耳元で話しかける。

「蓮・・・首筋、噛んで欲しいって・・・言って?」

「? ・・・あっ、あっ、あっ、んんっ、んっ、ん」

思考がままならない俺に、何て言った?
・・・欲しいって言った? えっと、俺が泰昌に?
俺が泰昌にして欲しいこと? 今はイかせて欲しいのだけれど?

でもきっと、そう言う事ではないな。

泰昌はいつだって、俺にたくさん気持ちをくれているんだ。
俺は今、本当に幸せなんだと思う。
そんな俺が、これ以上泰昌から欲しいものなんて・・・。

だから、俺は・・・

「あっ、あっ、あっ、ほっ、ほしいっ、んっ」

「ん?」

「泰昌にっ、あっ、んっ、幸せになって、ほし、いっ、んんっ、あっ、あっ、あっ、ぁぁぁあああ」

俺は声を出しながら、ようやく絶頂を迎えた。
いつもよりも強く長く吐き出し、そして泰昌のモノを強く締め付けた。

「んっ・・・くっ・・・」

そして泰昌も、俺を後ろから強く抱きしめ、震えながらも俺の中で絶頂を迎えた。



発情期、恐ろし過ぎる。
こんなにやって、俺がようやく一回とか、一体どういう事だ?
俺とは対照的に、泰昌はもう何度目なのか・・・え、本当に泰昌が心配。

俺たちはうつ伏せになりながら、お互いを見つめ合っている。
俺は恐る恐る泰昌に声をかける。

「泰昌・・・生きてる?」

「・・・生きてる」

「俺、こんな事になるとは思ってなくて・・・」

「そうだろうな。今まで蓮が、誰かと発情期を経験していなくて良かったと思った」

「薬がなければ毎回こうなるなんて・・・。俺は今、薬を開発してくれた人達に心の底から感謝している」

「これがオメガなんだな・・・そう言えばさ、蓮は俺といて、首筋が疼いたり・・・しないんだよな?」

泰昌が手を伸ばし、俺の首筋を触ってきた。
そうか、泰昌は俺の高校の時の事を、ずっと気にしていたのか。

「高校の時の首筋の疼きはさ・・・オメガの成長痛みたいなもんだって」

「・・・特定の人の前で?」

「花粉症みたいなもんだって」

「花・・・粉症」

そう言うと、泰昌はベッドに顔を埋めて笑い出した。

うん、流石に花粉症は酷かったかな?

泰昌と一緒に居て首筋が疼いた事はないけれど、でも今感じる気持ちは、泰昌じゃなきゃあり得ないだろう。

俺は泰昌に擦り寄り、体をくっつける。

「首筋が疼く事はないけれど、今こんなになってるのは・・・泰昌のせいだからな」

俺はゆっくりと手を動かして、泰昌に触る。
すると、顔を埋めていた泰昌が俺を見た。

「発情期にこんな風になるのは、俺だけ?」

「うん、他で試した事ないけど、間違いなく泰昌だけ」

「絶対他で試すなよ」

「泰昌もな」

そう言いうと、泰昌が俺に覆いかぶさって口を塞いできた。
しばらくし、ようやく唇が離れた所で、俺は言った。

「泰昌、俺は泰昌に幸せになって欲しい。そして首筋だろうがどこでもいい、噛んで欲しい。・・・強すぎず、あまり目立たない範囲で」

「・・・うん」

「て事で、さっそくお願いするわ。今日なら泰昌に勝てる気がする」

俺はそう言って、ニヤリと笑いながら両手を泰昌に回した。

発情期だからだろう。先ほどからまた全身が疼き始めている。

下の方からじんわりと。

そして・・・その疼きはやがて、俺の首筋にもやってきていた。

【終】
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